2025/09/13 のログ
ご案内:「街はずれの湖の畔にて」に夜宵さんが現れました。
■夜宵 > 剣術とはすなわち――人の心の現れ。
そして、刀とは――それを映し返す鏡。
握る者の激情、怯え、執念、そして祈り。
いかに鍛えられた刃であっても、
振るう者の心が濁れば、その軌道は鈍り、澱む。
逆に、心が透き通っていれば、
刃はまるで光そのもののように、迷いなく走る。
それは女にとって、
戦ではなく、神事に等しかった――
静寂の中、夜宵はただひとり、白の衣を揺らしながら立っていた。
袂に織られた藤の色が、まるで風に靡く花のように、波打つ。
■夜宵 > ――すっ、と音もなく。
それは、まるで夜の帳を裂くように、静謐に、慎重に。
白皙の指先が、迷いなく鞘に添えられ、
その細い指が僅かに力を込めると、祓刀は、音を立てずにその封を解いた。
鞘走り、というより――"導かれる"ように。
刃は、まるで自ら望んで宙へと姿を現す。
鞘から抜かれた"祓刀・宵霞"の刀身は、
月光を受けて鈍く透け、夜気を吸い込むように震えた。
その刃文は――まるで感情を持つように、波立つ。
銀の光が、刀身にそっと降り注ぐ。
それはただ照らすのではない。
闇に紛れていた"魂"の輪郭をあぶり出すように、
その刃文が――ゆらりと、顕になる。
流れるような刃文。
湿り気を帯びたような光の滲み…それは剣鍛冶の意匠ではない。
まるで、"情念"そのものが刃の内に宿り、浮き上がっているかのようだった。
夜宵の瞳が、その文様を見つめる。
その紫紺の奥に映っていたのは、祓うべき魔でも戦でもない。
ただ一振りの祓い刀と、自らの心。
■夜宵 > 「……嗚呼――今宵も、よく眠っていたね。宵霞」
誰に向けるでもなく、けれど、まぎれもなく"刃"へと語りかける声。
その声音に呼応するかのように――刃文が、りり、と。僅かに脈打った。
そう見えた気がするだけかもしれない。然しその"気配"は確かにあった。
空気が水気を含み、湿ったように変わる。夜が――息を潜める。
「…ふふ、怒ってる?
大丈夫…少しだけ、お話しただけでしょう――?」
言の葉はあやす様に刀へ語り掛けるものでもあった。
宥めるように、繊手が柄を撫でつけた。
「そんなに人と話しては駄目? ……難しいな、それは。」
夜宵の白い袖が、静かに揺れる。
藤色の意匠が、月明かりを受けて滲むように輝く。
彼女の体躯は、構えていないのに隙がない。
立っているだけで、まるで既に術の最中であるかのような。
儀式と意思が同居する静謐さ。
■夜宵 > 月が、刃文を照らし続けていた。
それはまるで――月自身が、この一振りの証人であるかのように。
虚空へ音もなく振り下ろされる血払いは、剣影の軌道すらも見せず。
これはただの刀ではない。
これは、情念の器。
夜宵の熱が宿る、祓刀・宵霞――
鞘口と鍔が触れ合い、鎺が嚙み合う音一つ。
ひとつだけ残して、女は音もなく――
ご案内:「街はずれの湖の畔にて」から夜宵さんが去りました。
ご案内:「宿屋『綺羅星の籠』」にブールドさんが現れました。
■ブールド > 平民地区の中でもそれなりに不便な場所にある宿屋。
本来はマッサージを行う為でもあり、売り上げの補助の為に様々な行為を撮影した上で横流ししての資金確保。
悪徳貴族や表に顔を出せない組織から実験要請で特殊な品種改良を受けた花を飾り、宿泊客を用いての人体実験の補助。
更にはそういった面々にとって都合の悪い人間を部屋に連れ込ませ、道義上表に出せないような行為を行い、裏の社会に流すためのハブとしての役割も果たしている。
もちろんそういった行為を咎められることもあるが『ウチはただの宿屋だよ。マッサージもしてるけどね』と言った具合にしらばっくれる。
賄賂で乗り切れる相手なら賄賂を出すまでもなく、賄賂の効かない相手だと――まぁ、一通りの痛い目を見るがそれまでだ。
痛い目を見ても全てを話せばどうなるかは言うまでもない。
だから多少の拷問や尋問にはクチを割る事は無い。
流石に宿にもマッサージの方にも客がいない期間が続けば続くほど裏のお仕事に手を染める必要があり、出来ればそれは回避したいと考えていた。
「……できりゃぁ睨まれない程度の付き合いが一番なんだろうがなぁ。」
今宿の一室には悪徳貴族からマッサージを施してほしいと言われて吊れてこられた女性がマッサージも終わり、新型の薬剤や媚香に様々な淫紋の実験台に使われるべく安置されている。
それ以外の部屋は空いている状況なので、客はある程度確保しておきたいとも思っていた。
■ブールド > 上にいる女性が何をして何故連れてこられたかは知らない。
ただ、今回受けた依頼はマッサージの依頼なのだ。
たまたまそれが、知人経由で部屋に飾ってみてくれと言われた薔薇に似た花を飾り、。試作品の香りを焚いてみてくれと言われた部屋を指定され。
巨大なベッドの上で時間をかけてマッサージをした結果放心状態に陥っているだけだ。
ゆっくりと部屋で『休んで』いるだけ。
言い訳としてはこんなところだった。もっとも、より深い追及を受ければマシな言い訳を考える必要もあるだろうが。
引き渡しの時間まではまだ猶予がある。外鍵をつけて部屋の中からの逃走は難しくしてあり、香の効果もまだまだ続く――説明だったはず。
「腹減ったなぁ。」
宿に新たな施設を作ったこともある。
そのでっぷりとまではいかないが膨らんでいる腹がグゥ、と鳴り響く。
安物の干しパンを口にするがとても満足できるような物ではない。
齧り、水を飲み腹に物をため込みつつ引き渡しで得るだろう金銭で何を食べるか。
それを考えて時間の経過を待っているのだった。
宿のカウンターは今日も閑散としている。食事くらいしても問題はないだろう。
■ブールド > やがて訪れた相手に引き渡しを追えて金銭を受け取る。
そこの流れは実にスムーズだった。
ご案内:「宿屋『綺羅星の籠』」からブールドさんが去りました。