2026/03/05 のログ
ご案内:「タナール砦前 前哨基地」にリーネさんが現れました。
リーネ > ――前哨基地。

夜露の名残が踏みしめる地面から伝わってくる。
明け方の空気はひやりとしており、自然と背が引き締まる。
タナール砦からそう遠く離れてないこの基地は、
石壁と簡素な柵で囲まれた即席の陣営に近い造りだった。

しかし、その内側の中は整然とは言い難い。

王国兵の毅然とした隊列の傍らで、
流れの戦士や傭兵、冒険者達が作戦前の準備に取り掛かっている。
統一された軍とは違う、雑多な熱気が立ち込めていた。
ここに集うのは、王国の兵だけではない。

各地から遊撃の手練れ達――腕に覚えのある者たちが、この地に集められている。

此処は、唯の前線ではない。魔族軍との境界。
故に、この基地にはあらゆる(つわもの)が常に混在していた。

国軍だけでは人手が足りないのか、
それとも正規軍では動きにくい局面を想定しているのだろうか。
或いはその両方、か。

何せ、相手は魔族軍であるが故に、戦の常識が通じるとは限らない。
――奇襲、夜襲、魔術戦、魔獣の投入。

戦場の形は刻一刻と変わる。
だからこそ規律ある軍と、自由に動ける戦力を同じ場に置いたのだろう、
あらゆる事態を想定した攻防戦が、ほどなく始まろうとしている。

リーネ > その喧騒から少し離れた場所で、静かに膝を折る天馬騎士が一人。
白翼の愛馬――セレスタの首筋に騎士は手甲を外し、その鬣に優しく触れていた。

「――長距離飛行、お疲れ様でした。」

柔らかな声音と共に手指を羽の付け根まで滑らせ、丁寧に撫でやって。
ペガサスの翼に少しでも可笑しな所が無いか、確かめるような眼差しを送りながら。
疲労が蓄積していれば飛行性能に影響してしまう。
その為の確認作業だった。

彼は小さく鼻を鳴らす。言葉こそ交わせないが、
長年の付き合いも相俟って、何を伝えようとしているのか、
微細な仕草で何となく解ってしまう。

「今は貴方を整える時間です。
 ……ふふ、お利口にしていたら後でサジーを差し上げますから。」

金属が最小限に抑えられた精霊銀の装具を外して地面へ置く。
布と革が主体の軽やかな造りの其れを、ほんの少しの間だけでも取り去ってしまおう。
特殊な銀とはいえ、負担は負担なのだから。

鞍も手綱も無い天馬は、まるで湖畔に佇む白鳥のようで。
拡げた翼は朝の陽ざしを受けて、その輪郭に光を宿していた。

そのやり取りを傍目から見れば、
此処が戦場であることを忘れてしまいそうな、穏やかな光景だった。

ご案内:「タナール砦前 前哨基地」に李皇華さんが現れました。
ご案内:「タナール砦前 前哨基地」からリーネさんが去りました。
ご案内:「タナール砦前 前哨基地」にリーネさんが現れました。
李皇華 > 王都から離れた前線へと身を運んだのは、滞在先である公主の意向でもあり自らも魔族との戦と言うものを見聞するにも丁度いい機会でもあった。
遊撃の為に集められた手練れの集団は、腕でさえあれば身分の詮索を受ける事はないようで身を隠すには程よかった。
目深に被ったフードは容姿を隠すには最適であり、魔族軍の動向も逐一情報が入るのであれば、持参した地図を広げて確認していれば、地図を覗き込み、自軍がどう動くのかをあれこれ議論し始める辺りは、さすがに手練れの集団と言われるだけの事はある様だ。
軍議にも似た意見のやり取りは、なるほどと出てくる意見を楽しみつつ……地図は広げたまま席を立てば、少し集団から離れてほうっと深呼吸をもらした。

同行している黒猫はと言えば、離れた場所の木の上にて欠伸を漏らしており――その姿を目の端で認めながら、怪しまれないように少し散策してみようか。

リーネ > ――耳を澄ませば聞こえてくる。


斥候部隊だろうか、遠くで武具が打ち鳴る音が届く。
交わされる怒声。

続けざまに兵たちの足音、そして下された命令。剣呑とした雰囲気が漂う。

タナール砦の向こうに潜む魔族軍の気配。
静かな朝のひと時は、やがて訪れる戦の前の僅かな猶予に過ぎない。



程なくして、天馬騎士もまた。
愛馬との対話の後、背負った精霊銀の長槍(エヴァーグリーン)を手に戦場へと舞い戻る。
視界の端に、猫の姿を視止めた気はするも。
蒼穹を裂くよう飛翔する頃に意識は、制空権の維持へと流れて――。

ご案内:「タナール砦前 前哨基地」からリーネさんが去りました。
李皇華 > 「遊撃とは言え中々、優秀な方が揃っているようですね。
差し手が多ければ、その分、手も多くなりますし…そこから絞って練れば更にいても出来るでしょうし」

正規の軍と違い、臨機応変の動きを求められる遊撃には重要な部分であるので手は多いほどいいし、それに応えられるだけの技量もあるのならば敵軍の脅威にもなろう。
集めるのに相当な金銭が動いているようではあるが……。

「戦略的に重要な場所とはいえ、取った取られたの小競り合いで決定的な一手に届かない消耗戦ばかり……意図的なのかも知れませんが」

そんな呟きを漏らしたところで、届いてくる音は合戦の合図にも似たもの。
顔を上げれば、空を駆けていく馬の姿を捉えそれを確認するように目を細めた。
そういえば、ここに配属されているとされる騎士団があり、目にしたものがその一騎であろう。
同時に遊撃隊の召集の合図である喇叭が短く鳴らされ――溜息を漏らし乍ら元居た場所の方へと。
本来であれば一騎当千の実力は持ち合わせてはいるが、隠身で紛れ込んでいる為に使う術は最低限に留め、目立たない程度に遊撃隊の支援をしつつ最低限の戦果を挙げる事に徹し戦場を駆ける事になった。

ご案内:「タナール砦前 前哨基地」から李皇華さんが去りました。