2025/11/24 のログ
■彷徨う獄吏 > 澄んだ空気は深い森に流れる全ての音を魔物の耳に届けたが、街道を通る姿はついぞ見つからなかった。
魔物は小さく唸ると、身動ぎひとつしていなかった身体を鳴らすように気だるげに首や肩を捻る。
『─、───。』
詠唱を始める魔物の周囲に魔法陣が現れ、それを魔物が潜っていけば重々しい鎖束の擦れる音だけが森の静謐に響いていく。
その音が掻き消えていく頃には、木立の間にあった巨体の影はどこにもなかった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から彷徨う獄吏さんが去りました。