港湾都市ダイラスの名物ともいえる大歓楽街。
「至福の島」という意味を持つハイブラゼールがこの歓楽街の名前である。
元々は小規模な酒場やカジノの集まる場所だったが、ダイラスの街が大きくなるにつれ、この場所にも多くの人間がやってくるようになった。
一種の複合施設であり、幾つかの建物が合わさって一つの建築物となっている。
その中には酒場、カジノ、さらにはいかがわしい劇場なども設けられ、ある種の不夜城となっている。
闇が深い部分もあり、娼館や性的なサービスを提供する風呂屋などもこの建築物の中に収められている。
そこで働く者たちは様々な事情でここにいる。
カジノなどで負け、身ぐるみをはがされるような者、借金のためにここで働かされる者なども珍しくはない。
それでも、人が絶えないのは、皆一攫千金の夢を捨てられないためである。
参加者(0):ROM(1)
Time:15:26:17 更新
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 酒場」から睡蓮さんが去りました。
■睡蓮 > やがて運ばれてきたグラス一つ。
チップ数枚と引き換えに手元に引き寄せ。
酒精そのものの香りだけではない、後付けの香り。香辛料がほのかに鼻腔を擽るのに面白がるような眼。
一口、二口。
甘く香り、それでいて少しだけ舌先がぴりつく刺激を楽しみながら喉に通した。
「確かに港街らしいかも、なあ」
揺らすグラスの中身は、己の双眸の色身をさらに濃くした琥珀色。
照明を弾く色身。手の中で温めるように。
そうするとまた少し薫りが立つ。
給仕の言葉に、うん、と素直に耳を傾け、ゆっくりとグラスを傾ける。
耳に心地よい旋律、幾何かの言葉のやり取り。それらを肴に、その一杯が尽きるまで───留まるのもいいだろう。
■睡蓮 > 煌びやかではあるが、どこか俗な喧騒を泳ぐ香りが一筋。
新年の祝祭の浮ついた空気は失せつつある時節。
そうでなくとも賑やかな界隈に姿を見せる。ゆったりとした挙措は有閑階層を思わせるものの、どのような印象を抱いたところで、その女の本質は、漂う薫りのように曖昧ではあった。
喧騒に紛れる衣擦れの音を伴いながら、夜を知らぬ煌きの中に泰然と。
シェンヤン風の装いを纏った尖り耳。
長めの前髪から覗く眼差しがゆる、と酒場の様子を眺める。
小劇場を備えたそこは、退廃に寄りすぎる時間でもなく。
芸や酒精を楽しむ層も見受けられ。
であれば己でも問題はないか、と歩を進める。
しゃら、と振り香炉の鎖が揺れる。今はまだ香りを伴わないそれはただの飾りとして。
給仕の案内に鷹揚に従い、席に着いたら────。
奏でられる曲に一時耳を澄ませたのちに、ひとまず一杯をと給仕に注文を預け。
「拘り、は特にないかな。───そう、この土地らしいものであれば面白い」
淡く色づく唇に弧月を刷いて、細かい注文は任せると椅子の背に軽く身を預けた。
最初に届く一杯が何であれ、移ろう扉の気まぐれの行方を楽しむつもり。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 酒場」に睡蓮さんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 路地裏」からルーパスさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 路地裏」からディレッタさんが去りました。
■ディレッタ > ――この街では平然と行われる、ありふれた光景。
普段ならば、然程気には留めなかったであろう。
其れは猫の如き気まぐれか、或いは、彼女が仄かに感じた、既視感に応えてだろうか。
さりとて、語るべくは此処にはない。
「――Oui, mademoiselle,
いいわ……じゃあ今日は貴女とわたし、ランデヴーしましょ。」
前方からするであろう、けたたましい怒号なんて、ひとかけらも気にしない。
女は艶然と――ただ、嗤って、中指と人差し指でぱちりと指を鳴らす。
――刹那。爆竹でも投げ打ったかのような、派手な破裂音が空中に四散する。
其処に追っ手達は気を取られて呉れていれば良い。女の手品はただの前座。
街の夜光に照らされ、落ちた影が、するりと沸き立つように蠢いたと思えば。
此方に腕を伸ばしてくる彼女と、女二人を覆い隠す様に包んで、其の儘―――とぷりと。
飲み込まれるように、深く、深く、闇の中へといざなって。
「……怖がらなくていいわ。影は、寄り添うものだから。」
一言、そう告げて。
二人共ども、宵闇の中へと――融け落ちて行く。
積み上げられた樽の向こう側を、追っ手達が確かめる頃には、
最初から何もなかったかのように、忽然と姿、掻き消えて――
■ルーパス > 近づく怒号、まるで包囲でもするかの如く、徐々に、徐々にその足音は近づいてゆく。
一つ、声が響く度、一つ足音が近づく度、その巨躯が震え現実から逃げるよう耳が伏せる。
浅い呼吸はともすれば、過ぎた物になりかけるほどの切迫を見せはじめた頃──。
「──ッ!?」
耳を伏せていたとはいえその分周囲へ警戒はしていた。それでも気づかない、気付けない。
そんな相手から、酷く甘く魅力的な提案がなされる。
ゾクッ、とまるで背筋を甘やかに撫でられるかのような声音。
その存在感は今の安寧を与えてくれた主にもどこか似たような安らぎを、
それでいて本能的に警戒を促すそれ──。
然し──。
「あ……、 ァ──。」
その声の方向へ、視線が向けられる。それだけでは足りず、
身体を捻り振り返った事でその身体は樽より露わに。
結果── 見つかった。
「おねが……、たすけ──。」
そう、最早一刻の猶予も、相手を巻き込んではいけないという理性も働かなかった。
黒と金の混ざり合う影へと、腕を伸ばし、助けを請う。
■ディレッタ > ――眠らずの不夜城は、何処まで行けど端が無いのだと。
人の欲は跳梁跋扈、横行闊歩するもの。
路地を行けば、階段を昇れば、何処からでも聞こえてくる
歓声や、嘲笑、囁きや、ため息――…
数多にも折り重なる其れは、街全てが巨大な生き物の様な呼吸。
――女はそれらを一つ一つ、吟味するかのように咀嚼し
雑踏に紛れる影達に、己が影を這わせては、その欲をつぶさに感じ取る。
観るように、触れるように。
「――……困ってる?」
この街に終わりは無い。あるのは欲が欲を呼び、夜が夜を食み続けるという事実だ。
姿を隠しているだろう、その傷が滲む背に、酷く甘やかな声音を掛けて。
それは、かの女性にとっては幸運足り得るかは本人次第ではあるけれど。
「助けてあげよっか。」
――とはいえ、状況に一刻の猶予もないのは確か。
藁にも縋るとなれば、彼女がこちらを振り向くならば。
黒地に黄金を纏った女が、屈託のない表情を浮かべて――その返答を待つ。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 路地裏」にディレッタさんが現れました。
■ルーパス > カジノ街の路地裏、太陽はまだ高く夜の盛況ぶりとはまた雰囲気を違えるその場所。
肩が、背中が、腿が無残にも切り裂かれ所々赤い鮮血の滲む身体。
自ら引き千切った鎖の代償と呼ぶべきもの。元の飼い主が差し向けた追っ手。
その苛烈さからも、愛情を持って逃げたペットを探している、なんて生易しい物でない事が知れて…。
「く……ッ、は、ァ ハァ──、 ク、ソ。」
折角、得られた平穏のはずだった。
然し観光客で溢れるこの街の、娼館街に立つ執事服の獣ともなれば噂にもなる。
娼館街からカジノ街まで逃げたはいいけれど、
『あのメス狼め、捕まえて犯してやる』
そんな怒号と複数の足音を敏感にその耳は拾う。
酒樽の積み重なる酒場の裏、その樽に隠れるよう、座り込んでしまえばもう、動けなかった。
いくら巨躯となろうとも、結局は買われ、飼われたあの時のまま──。
膝を抱えて蹲り、ありえぬ幸運を祈るだけの。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 路地裏」にルーパスさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からルーパスさんが去りました。
■ルーパス > カジノ街、娼館街を抜けた先にひと際煌びやかな繁華街が広がる。
通りの両翼にはドレスから貴金属、小物等に特化したものが並び、紳士淑女を彩るそんな場所。
勿論、表に張り出されている値札は庶民の手が出せるものではない。
それに、普段から一張羅で過ごす事に馴れてしまった身はそれを羨む事も無い。
「それに──、見せたい相手も──。」
今日も今日とて、娼館の女性陣がまだ小さな我が仔を可愛がってくれるというから
散歩がてら出てきただけで、未だにこの自由という身が不思議でしょうがない。
勿論、良くしてくれる同性が居る。身体を重ねる程の友達も出来た。
自らが経験してきた拘束の歴史からすれば、今は我が仔に縛られるだけの幸せな日々。
それが、時折……とても不安になるけれど。
そんな煌びやかな通りから一本外れる。薄暗い路地裏はそんな女をどこか安堵させた。
少しだけ、歩き疲れた事にして、壁に寄りかかり休息を。
その風体は客引きにも、どこかの貴族の護衛にも。或いは、太客目当ての娼婦にも似て。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にルーパスさんが現れました。