2025/10/08 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にイザベルさんが現れました。
■イザベル > 積み荷を降ろし終え、部下たちを酒場へと送り出した後、誘いを断り一人残った船の前。
そのまま桟橋の先にある柵まで歩み寄りかかりながら夜の海を眺める。
夜の海風がマントと髪を揺らした。
少し長い航海の疲れもあるのだろうけれど、長めの溜息を零してから、身体を前かがみに傾けて柵に腕を載せた格好で時折灯台に照らされる海をただ見つめ。
「暫くは凪いでくれるだろうけれど…、荒れる前にもう一稼ぎしておきたいもんだねぇ。」
冬の海は夏の天候より読み辛い。動物の冬眠ではないが、稼げるうちに稼ぎたいと考えるのは当然で。呑気に飲んでいる船員はそんな姿を知る由も無いだろう。
ただ漠然と、忙しい時期が来る。そんな認識。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」にエリビオさんが現れました。
■エリビオ > 強い海風が悪戯に風の形に象る髪を掌で靡かせた。
吹き抜ける風が心地よくて細める瞳は空に君臨する丸い満月を眺めながら柵を沿うように歩んでいた。
その視線は積荷を下ろす大きな船の影へ、更に流れて桟橋の先へと視線が向けられる。
その佇まいから酔っぱらいや悪漢の類ではないと察すれば、宛もない歩みはゆるり、ゆるり、相手の方へ。
一人呟く声も微かに鼓膜に届く距離になれば明朗な声で。
「こんばんは。」
振り向けば桟橋の明かりに淡微笑浮かべて佇む姿が見えるだろう。
■イザベル > 暫く灯台と月明かりに照らされる濃い黒の海を眺めていた。
しかし、そろそろ落ち着いてきたろう船員の動向。ともなれば食事でもと試案を向けていた矢先聞こえた声。
「ん、こんな所になんか用かい?」
挨拶を返す所か、向けたのはそんな言葉。
停泊している桟橋に足を進めるのなんて余程の船好きか、酔狂か、或いは盗人か。
振り返り柵へと両肘を置くようにして彼の姿へと視線を向けた。
足の先から頭まで、見極めようとするように細められた双眸は鋭く。
■エリビオ > 歩み寄ろうとした脚はぴたりと止まり、鋭い眼差しに乱れた黒髪を再び掻き揚げながら。
「なんとなく?こっちの方にきただけ。」
柔らかな声色。挑むでも媚びるでもなく、ただ冗談めかしたように笑みを浮かべた。
灯台の光がその頬を掠め、海風に濡れた黒髪に薄く光を落とす。
「用ってほどでもないけれどさ。こうして夜の海風に当たるのが好きで歩いてたんだ。月も明るいし。
そうしたら――“海を眺めてる背中”が見えたから……つい親近感を感じて声をかけただけ」
柵の向こうの黒波を視線で追った。
「夜の海って、妙に惹かれるんだ。静かだけど、底の方で何かが蠢いてるみたいで。妖しく見える。」
その言葉の後、肩を竦めて苦笑を浮かべる。
「でも今のあなたには俺の方が怪しく見えてそうだね。」
風に混じるような低い笑い。
敵意の欠片もなく、ただ夜の静寂を一緒に眺めたいだけの声だった。
■イザベル > 髪をかき上げながら、何の事は無いという風に告げる様子に軽く肩を竦めては。
「中々に詩人だねぇ。まぁ夜風が気持ちのいい季節になった。ってのは同意するけど。
アタシはただ単に、凪いでる海に商機を見出してるだけで、アンタみたいに高尚とは行かないサ。
否定はしないねぇ。 ま、背後が海の桟橋で出口塞ぐ形での声掛けに警戒しないオンナなんざいないさ。気を悪くしないでおくれよ。」
そんな会話の中空気を読まない大きな声が彼の後より聞こえ、
どうやらやはり一緒に酒をと誘いに来たらしい。全く。と肩を竦めながら歩き出して。
「ま、そういう事だから、風邪には気を付けなよ。」
そう、すれ違い際に声を掛ける。迎えに来た船員から、揶揄されればしこたま強く頭を殴り。そのまま街の中へと消えて。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からイザベルさんが去りました。
■エリビオ > 「……詩人、ね。買いかぶりすぎだよ」
小さく笑って、去りゆく相手を見送り柵に身を預ける。
海面に映る灯りが波紋で砕け、ゆるく形を変える。
桟橋の先、船員たちの笑い声が届く。
そのまま、茫洋とした眼差しで海辺を眺め
「誰かとこの海を見たかっただけだったのにな。」
小さく呟く言葉も、漣が掻き消していく。
今少し夜の海を眺めてはその姿は桟橋から消えていったことで。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場」からエリビオさんが去りました。