2025/07/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にサクリさんが現れました。
サクリ > 貧民街とは打って変わり、煌びやかで洗練された明るい街並みの丁寧に舗装された道を少女は歩く。
秩序の乱れ始めた国柄とはいえ、真っ当な紳士淑女もまだ多く残る富裕地区を歩く大胆な姿の少女は目を引くようで、冷ややかな視線を向けるものや強すぎる刺激に目を離せなくなるものまで様々だ。
それもそのはず、少女の服装は腹や大腿を大きく露出し、胸元も大きく開いた破廉恥な巫女服で、貞操を守るための役割を放棄するどころか今すぐに襲ってくださいと言わんばかりの煽情的な意匠である。
淑女であればこの服を着るくらいなら全裸でいる方がまだましだとすら言い出しかねない。
そんな破廉恥な装いを恥じることもなく少女は一人ぼそぼそと呟くように自身に寄生する「主」と対話しながら歩みを進める。

「ふむふむ、この王都で民を救済するには、まずは支援してくれる理解者…信者が必要で、権力者であるとより都合が良い、と。主はお考えなのですね?…なるほどぉ、とても参考になりますねぇ。」

少女の知能を借りることでようやく知恵を絞ることを覚えた低俗な魔物たる邪神によって、誰でも最初に考えつくような策を与えられた少女は、まるで妙案とばかりに感心しながら立ち並ぶ豪邸を眺める。
「主」の崇高な教えであれば少しの布教と実演があれば共感と理解を得られる自信はあるが、まずはどこの貴族にアプローチするべきであろうか。
少女はこれからの方針を考えるべく、広場のベンチに腰掛ける。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に紫霞妖仙さんが現れました。
紫霞妖仙 > 街の風景を眺めるあなた。どうやらここは貴族の居住区と言うよりは、高級商業区域と居住区域のはざまという風。このエアポケット的な広場も、公園だとかとして作られたスペースではなく、ちょうどその狭間に偶然できた空間のようなものらしい。

……見やるうち、一角に少し他と趣の違う風景が有るのに気づけるはずだ。ノーシス教の神殿や花や幕で飾られたマグメールの高級建築様式の建物とは違う、朱塗りの木造建築。オリエンタルな灯籠や金細工の装飾で飾り立てられたシェンヤン式の建物――何年か前にマグメールとは潜在的にも表面的にも敵対していたシェンヤンから公主が訪れ、マグメールにシェンヤン文化ブームが起こった事があった。今ではずいぶん少なくなったそれも、未だいくらか王都には残っていることをあなたが知っているかどうかはわからないが……その建物はどうやらその折に建てられた高級サロンだ。

<<おいで……>>

あなたはふと、そう声をかけられたように感じる。あなたの主も同様だ。誰かが、花が蜜を香らせて虫を誘うように。子どもに甘露を見せて脇道へと誘うように。あるいは娼婦があけすけに客を誘うように……あなた達を呼んでいるのだ。

サクリ > 「…ん?なんでしょうねぇ、あの建物。見たことない様式で…なんだか、とても…興味をそそられます。」

ベンチから「主」と対話しつつ街を見回すと、少女が未だ見たことのない様式の建物に目を奪われた。
まるで本能が抗うことを拒むかのように、その感覚が罠かもしれないという疑問すらも起こらないままに少女はその建物に引き寄せられていく。
カラカラと音を立てて戸を引きサロンの中に足を踏み入れる。
そしてまるで初めから知っていたかのように誘われるままに奥へ、奥へと歩んでいった。

「不思議な意匠の建物ですねぇ。こんな意匠、私たちの村では見たことも想像したこともありません。」

少女が我に返り、さて、勝手に入っても良かったのであろうか、などと少し心配に思い始める頃合いには、妖仙の待つ部屋の手前まで来ているころであろう。

紫霞妖仙 > 少女が部屋に入ったあとのことは……外からのものには語られぬ秘密――もし少女や邪仙がその事を口を滑らせなければ、だが。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」から紫霞妖仙さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からサクリさんが去りました。