2025/07/06 のログ
■トルド > 「せめて仕事と住処が無いと……数日で帰宅する本当の家出にしかならないですし……。」
それで満足するのは本当の少年だったら、二つ返事で後先考えずついていったのだろう。その先にあるのは冒険か破滅か知れないのに。
とはいえ純粋な少年ではないからそんな臆した言葉も出る。
「ああ……、でも、それでも貴い血筋である以上安全には気を付けないとって…… なんの話です?」
突拍子もない話。そんな噂でも出回っているのかと、あくまで年相応の少年の顔で首を傾げる。
「生き返らせるなら悪魔じゃなくて天使様や神様じゃありませんか」
面白い事を言う。とその笑みをさらりとかわして見せながら、『悪魔だなんて怖い』と身体を抱えるように腕を巻き付けて嘯く。
噂の出所を気にしたり詮索でもしようものなら更に疑いを濃くするだろうから、子供特有のすっとぼけを。
■フレイヤ >
「私のうちに泊ればいいじゃない。
欲しいなら仕事もあげるわ」
さらりと言ってのける。
「ルドルフ家の息子、一回死にかけてるらしいのよ。
あとご両親が悪魔召喚の方法について調べて回ってるって噂もあったわね。
だから本当は死にかけてたんじゃなくて死んじゃったんじゃないかなって思ったの」
これでも王族なのだ。
いろいろ情報は入ってくるし、家とは関係ない情報源もいくつか持っている。
「あってるなら別に隠さなくていいわ。
ただ悪魔の知り合いがいたら楽しそうだなって思っただけだし。
――ね、本当はどうなの?
あなた、本当に悪魔なの?」
無邪気な笑みを見せて。
自分の推理があっているか、とただただ無邪気に聞いているだけだ。
■トルド > 「……ありがたい申し出です。身に余る光栄ですが王子
ですが、独立は人に施されて始める事では無いと思います。」
心より感謝を、しかし少年としては聊かしっかりし過ぎるキライのある返事を返した。
それは貴族教育の賜物か、ただ無駄に長生きしている魔族としての価値観か。
「そうみたいですね。ボクにはその時の記憶がないので、聞いた話でしか無いんですが……。」
生死の境を彷徨う程であれば記憶等曖昧にもなるだろう。
だからこそ、徹底してすっとぼけた。それが仮に王子の興味を引こうとも。事実究明に乗り出す事になろうとも。
「王子……この質問はヒドイです。
本当に悪魔なら絶対に正体を明かさないでしょうから否定します。
でもボクはボクなのでやっぱり否定します。」
何を言っても結局は相手が信じるか否かというお話になる。
『ボクはボクです。』と繰り返し紡いでから
少し機嫌を損ねた風を装って勢いよく立ち上がった。
「ボクはルドルフ家嫡男、ルドルフ・フォン・トルドです。今度悪魔って言ったら怒りますからね。」
そう腕を組んで王子を見やる。不敬も不敬。
■フレイヤ >
「そう?
でもじゃあ、どうするの?
家、帰りたくないんでしょう?」
こてんと首をかしげて見せる。
実際問題行く当てもないのなら家に帰るしかないだろう、と言いたげ。
「なぁんだ。
悪魔じゃないのね」
ぷす、と頬を膨らませて拗ねて見せる。
自分の推理が外れて面白くない、と言った様子である。
「――じゃあ、私のこともフレイヤって呼んで頂戴。
フレイヤ様とか王子とかじゃなくて、フレイヤ」
そうじゃないとずっと悪魔さんって呼ぶわよ、と。
■トルド > 「帰りたくないだけ、だから帰る。」
帰れない、ではない。あくまで自分の心の問題であるから、
その意味では王子との話で気分が晴れたというのは大きい。
だから、少しだけ頭を下げたのは感謝の証。
「……本当に悪魔だったら、ボクなら命奪ってますよ?」
バレてはいけないことが露見したならば、見た物を消すのみ、というのは何処の世界でも一緒だろうから。
嘆息交じりにそう紡いでから、続く言葉に、暫く呆気にとられたよう口をあけて……
「ぁ……ぇ? えぇ……それは、ちょっと……。」
流石にいくら何でも王族相手に呼び捨ては不敬どころの話ではなく、かといって悪魔呼びされるのも癪である。
暫く葛藤するように表情をコロコロ変えながらも、うーん、と一つ大きく唸って。
「わかった、フレイヤ。お陰様で帰る気分にもなったし。
ただまぁ……うん、今度仕事のことは改めて聞かせて。」
背伸びを一つ。帰る決心がついたようで、向き直りもう一度一礼。
「フレイヤも、あんまりへんな遊びしないようにね。」
そんな生意気一つ、告げて手を振ろうか。帰る道すがらも姿が見えなくなるまで何度か振り返り、手をふって。
■フレイヤ >
「そう?
気を付けてね」
ふふ、と笑う。
もう夜も遅いのだから。
「ああ、それは大丈夫よ。
私、殺されても死なないから」
さらりと。
絶対ではないが、少なくとも物理的な怪我とかでは死なない。
「――あは。
ええ、ええ、もちろんよ。
興味があったら連絡して頂戴。
トルドも、帰り道気を付けて」
ぱあ、と嬉しそうに笑い、帰るという彼に手を振って見送る。
振り向くたびに笑顔を向けて手を振って、それを何度か繰り返して、今度こそ一人になった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からトルドさんが去りました。
■フレイヤ >
「――さて。
今日は何して遊ぼうかしら――♡」
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からフレイヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 トゥルネソル家」にリスさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 トゥルネソル家」に影時さんが現れました。
■リス > マグメールの富裕地区にある、大きな屋敷。
通称でいえば、竜の巣と呼ばれる、大きな屋敷は、マグメールの商家のうち一つ、トゥルネソルが持つ屋敷だ。
広大な庭は、ドラゴンが生息するに問題ないくらいの広さ、そして、家の中には、人間に変化したドラゴンたちが、家令、メイドになって家を維持している。
其処の主は、リス・トゥルネソルと言う少女で、王都マグメール店の店長をしている。
両親は、ダイラスに住まい、そこが本店である。
父親は人間の海の男で、母親が、リヴァイアサンと言う、そこから始まる海運業から成り立っている商家。
今では、リスが眷属の竜などを使い、空輸を始めたことにより、様々な所から、様々な物を取り寄せることができるようになっている。
そして、取り寄せたものを安く売るという手法で財を築きあげる。
今日は、珍しくリスは家に居て。そして、の来客を迎えていた。
応接室には、忙しいところ、時間を作ってもらい、来てもらっていた客がいて。
今頃は、緑茶を啜っているだろう。
紀伊国屋本店の、高級羊羹を茶菓子にしつつ、だ。
それだけでも、判るものはどれだけのお金をかけているか、判るだろう。
応接室にたどり着けば、先に待っていてもらっていた、客に、入室のノックをする。
屋敷の主であるリスがするのは、首を傾ぐかもしれないが。
先に入っている相手に、着たことを示すのだから、とリスは考えている。
■影時 > 富裕地区に化物屋敷と口さがなく云われる邸宅は、きっと数ある。幾つもある。
しかし、文字通りの化物屋敷と定義できそうなものであれば、幾度もなく出入りする屋敷は間違いなくその一つだ。
門扉や柵の行使の合間から垣間見える家令、メイドの数はどれもこれも人間に見える。
だがその実は違う。時折響く咆哮。敵意を以って踏み込むなら、忽ち魂を砕く竜声とは、人間にあるまじき力。
何故それを持ち合わせるかと云えば、至極単純。ヒトではないから。故に化物屋敷。
――そこに何度も出入りする異邦の装いの男もまた、ある意味では化け物じみている。
忍者という生業で生き、闇の中で名を馳せたもの。
その業が求められた時代が終わった後の余生は、流れ流れてこの地での冒険者であり、この屋敷の家庭教師と。
だが、今日訪れる用件はそうではない。
毎日訪れても、文句は言われないであろうけれども、家庭教師の日とは別に訪れるのはもちろん、用事があってに他ならない。
両肩に小さな毛玉を乗せた白いキモノ姿の男が、顔馴染みの家令長に挨拶し、腰に差した刀を預ける。
毛玉達はメイドの一人にわーい、とばかりに飛びついてゆけば、別室でもてなしてもらったり、遊びに付き合わせるのだろう。
そうして案内される応接室に座せば、用意されていた茶となんと、羊羹――羊羹。
大事なことだから二度書くが、如何にして調達したか聞くのも野暮な代物に戦慄しつつ舌鼓を打ち、暫し待てば。
「どうぞ。……というか、遠慮はしてくれなくとも結構だぞ?雇い主殿よ」
ノックの音がする。誰か、なぞ考える必要もない。気配もそうだが、思念の遣り取りも出来るのだから。
ともあれ、苦笑交じりに応えつつ、食べかけの羊羹を乗せた皿を卓に戻す。
■リス > 入室許可の声を聴けば、自室ともいえる応接間の扉を開けて、部屋の中に入る。
こちらを見ている人物に対して、少女は目を細めて見せるのだ。
「あら、親しき中にも礼儀あり、と其方のお国ではいうのではありませんか?」
くす、と楽しげに笑いながら、静かに歩みを進める。
失礼します、と言いながら対面に座れば、メイドが、主にも、緑茶と羊羹を。
それは慣れたもの、と言わんばかりに置いて、礼を一つして去っていく。
「お忙しい所、お呼び立てしてしまって申し訳ありませんわ。
それでも、ちゃんとして置かないといけないところありましたので。」
リスは彼の前に数枚の書類を、置く。
それは、契約書であり、その契約書には、リスの妹ラファル、娘のシロナ、フィリ、リーナ、リザの名前が載っている。
間違いなく彼が受け持っている生徒であった。
そして、それは、影時が教師として渡してくれた報告書が、契約書の下にある。
「妹だけ、ではなくなり、娘たちも見てもらえている観点から。
そして、その授業内容も踏まえて。
今までの報酬では足りないと、結論になりました。
そうですわね、ありていに言って、給料アップと、ボーナスのお時間です。」
商人として。
働きには正当な報酬を。
厚意に甘えるのはあったとしても、それと報酬をイコールにしてはならない。
彼の働きは、今までの報酬では足りないとなれば。
ボーナスとして、追加で渡す必要がある。
という事で。
「まずは、一人頭の教育の報酬を20%追加で。
次にボーナスとしまして。
今までで、足りないと判断した分、それに、
遅延補填としまして追加30%でお渡しをしようと考えてます。」
リスの判断はそれではあるが。
彼の意見も聞く必要がある、彼の知識は得難いものだ。
この国では無い常識や見識も鑑みれば、交渉の余地がある。
なので、と、如何でしょうか、と首を傾いで見せる。
■影時 > 「それはそうなンだが、もう少し遠慮なくされても文句を云う理由はこっちにはなくてね。
ともあれ、ドーモ雇い主殿。笠木影時、この通り参上仕った」
それはそう。それはそうだが、無遠慮なく応接室とは言え部屋に入られても問題はない。文句をつけようはない。
別段それで何かが問題にはならない。無作法であると吹聴するべき理由を己の中に用意できない。
入ってくる姿を見れば立ち上がり、着物の裾を払いながら会釈。短くも挨拶を述べる。
そのうえで主の分に、とメイドが用意する羊羹を見れば、思うものが湧いて仕方なくなる。
羊羹の凡その製法は知っている。最近、文献で聞き及ぶ限りなら、テングサを使うのだとも。
使い道、用途を思えば、先物取引という程大仰ではなくとも、輸入品としての商機を定義しても問題あるまい。
「こっちこそ、だ。……俺も俺で話を通しておくべき事項も抱えていてな。
念話で述べても良かったが、こういうのは対面で話をさせてもらうのが矢張り筋だろう、ってことで。
――真逆、何か粗相でもやらかしちまったかね?」
一見すれば、親子とも見れなくもなさそうな外見年齢の組み合わせが言葉を交わし合う。
その上で用意される書類の文字列を一瞥する。見紛うこともない。契約書である。報告書もある。
この家の子女全てではなくとも、武術的な面を信任を得て任される以上、報告も抜かりなく。
口頭で述べて終わるのもなぁなぁになりかねない以上、冒険者ギルドにも倣って文書としても報告する。
「……――なんと。今でさえかなり便宜を図って貰っているってのに、望外過ぎる位だ」
叱責的な事項ならいくつか思い当たらなくもない、が。
そういう類とは真逆の内容を言い渡され、一瞬虚空を仰ぐ。金は在って困ることはない。
最近、入用になりがちな点が増えて、やりくりを考慮せねばと思っていた矢先のことである。
基礎分のベースアップと棒と茄子。もとい、ボーナス。さてさて、願いましてはと頭の中でパチパチとそろばんを弾く。
今の暮らしだと毛玉たちと増えた同居人を除けば、一人だけならやっていくに恐らく事足りるか。
家庭教師での収入には及ばなくとも学院教師分と、不定期収入とも云える冒険者としての収入を入れれば、はてさて。
「ここまで遇して貰ってこれ以上を求める、なんて言い出したら贅沢過ぎる。ご配慮痛み入る。
併せて、幾つか報告と相談がてら、な話があるんだが、構わないかね」
今まで指導分で足りないと判断した分の加算を思えば、タンス貯金的な備蓄も増えることになるだろう。
半分くらいは商会に預けておいていたとしても、それでも十分なものを蓄えられるに相違ない。
その上で、此れも踏まえて、最近の状況変化を改めて口頭で述べておこう。そう思い、背筋を正す。
■リス > 「うん、毎回思うんだけど。
こう……、なんか怖いのよね、その挨拶。」
次の瞬間いやーっ!とか言う掛け声で首をすぱぁんとされてしまいそうな、そんなアトモスフィアを感じてしまう。
そういう事をする人では無いと思うのだけども、なんかこう、根源的な恐怖を人間の部分が感じるのだ。
リス自身、半分人だから、と言うのが強いのかもしれない。
ちなみに、羊羹とか、そう言うのは、貿易で得ているものです。
音速超えた速度で運べば、ええ問題なく、腐ることなく運べるので便利。
「その方がありがたいわ、重要な事項ならともかく。
粗相と言うと、ラファルの方かしら、それともシロナの方かしら。
まあ、どちらにしろ、あれは、あの子たちが原因だし。」
特に、娘の中でも運動的に活発な方は、単独で何かしらをやらかし気味だ。
影時先生の教育が悪い、と言い切れないところもあるからその辺りに関しては、お目こぼしは致し方ない。
ただ、彼の用件を聞いてからにしましょうか、とお茶を一口。
文書の報告は嬉しい、記録になるから、だ。
それに後で見返して、どのような教育をしているのか、それを自分が学ぶこともできるから。
だからこそ、大事に、報告書は取ってあるのだ。
「あらそう?
でも、私は、トゥルネソルは、教育に力を入れているし、その積り。
そして、大事な娘たちの為だもの。
優秀な教師をつなぎとめるために、良い条件を更新するのは当たり前と思っているわ。」
だってそうでしょう?
お金はあって困ることは無いし、彼にも生活がある。
そのうえで、彼の時間を買うのだから、適正に、は大事な事だ。
「ええ。ええ。
ご相談は、聞かせてもらうわ。
キリが悪いから、ちょうどにしておきますか?」
こう端数があるのは、計算も面倒になりますしと。
プラスして、という所は、ある意味冗談だが、乗るなら確定する程度の冗談。
まずは、先程もそうだが、話を聞いてから吟味する。
ささ、どうぞ、と居住まいをリスも、正すのだ。