2025/07/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にトルドさんが現れました。
トルド > 暑い。とても暑い。富裕地区の広場、アスレチック遊具の、縄が編みこまれた場所。そこへ横になり時間を潰す。
子供は外へ出て居れば怒られるそんな時間帯。アスレチック全体を照らす外灯のおかげで寂しくは無く、時折縄が軋む音が響く。

「そろそろ、色々考えないとかなぁ……。」

肉体の両親を白昼夢の中へ閉じ込め、なんとか生活しているのは流石に限界が近いのかもしれない。
そんな風に考えてしまうのは屋敷に居た所で両親の目が真に自らに向いていないがため……。
なまじ共感してしまったがために、子供の寂しさを感じてしまうのは、淫魔として有るまじき、恥ずべき話なのだが──、
それを何とかできないから一人縄に揺られて悩む。

時折広場の横を人が通過していくのが見えるものの、流石に時間も時間、誰もアスレチックには見向きもしなかった。

トルド > 色々考える。そう口に出したとて、子供が働ける場所等無く。
では男娼や奴隷として身をやつせるか、と問われてしまえばそこまでの覚悟もない。
漏れ出るのはただ溜息のみ、契約上元の姿に戻る事も叶わず、所詮人間の一生分位、なんてタカをくくっていた自分を殴りたい程。

「独り立ちするって…難しい………。」

思春期の誰もが経験する問題かもしれない。悶々とした気分を晴らすために、張ってある縄に臀部を押し付け身体を揺らし、目一杯軋ませた。
それは近くの道や広場に居れば聞こえただろう珍妙な音。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にフレイヤさんが現れました。
フレイヤ > 子供が外を歩いていれば怒られる時間。
ただしそれは怒ってくる相手がいる場合の話。
親と離れて暮らしている自分には一切関係がない。
お供も付けずに夜の散歩をしていれば、通りがかった広場から音が聞こえた。

「――?」

だれかいるのだろうか。
特に警戒もせずにその音の方へ。
危機感がなさそうな行動だが、実際危機感はない。
危ない目に遭ったらそれはそれで。

「あら、あなた。
 確か――そうそう、ルドルフ家の?」

貴族のお坊ちゃんだったはずだ。
自分とそんなに変わりない歳のはず。
名前までは憶えていないが、その顔と家のことは知っていた。
こちらもこちらでそれなりに名前の知られた――いろんな意味で――立場なので、彼もこちらのことを知っているかもしれないが。

トルド > 軋ませる縄の音そんな一人遊びにも飽きたころ、聞こえてくる足音。
少しだけ緊張に身を竦めたのは、怒られる、その対象の到来を警戒したから。
──が、声を掛けてきた相手は、自分と年端も変わらぬ姿。

「ァ……ぇ…… えぇ……?」

その姿は近しい年齢故に何度か見掛けた事はあった。説明も、その噂も嫌と言う程耳にはいっていた。
勿論、不敬をはたらいてはいけない相手、との一言も添えられて。

「えっ、と……はい。トルドです。フレイヤ様……。」

流石に縄に寝そべったままというわけにもいかず、慌てて起き上がると足がもつれて地面に膝をついた。
それを払いながら立ち上がると恭しく礼を。
『こんな時間にどうして』その問いだけはしてはいけない。噂話も相まって不敬にならぬよう、女性の姿をした王子へと頭を下げたまま。

フレイヤ >  
「楽になさい、別に取って食べやしないわ」

別の意味では食べるかもしれないが、嫌がる相手を無理矢理食べる趣味は――あるかもしれない。
けれどまぁ、少なくとも立場を利用して強制的に、と言うのは趣味ではない。
たぶん。

「それで?
 こんな時間にこんなところで何をしているの?」

自分のように夜な夜な遊び相手を求めて出歩いている、と言うわけでもあるまい。
アスレチックの一角に腰を下ろし、座ったら?と示しつつ。

トルド > 本当に?そんな言葉が口を突きそうになるのを堪えるが、
楽にしろと言われて楽に出来る程、杜撰な教育ではなかったよう。
ある意味礼儀正しく、ある意味慇懃無礼になってはしまうが、身分が身分、仕方がない事もある。

「いえ……別に、その。 ただ、帰りたくないなぁ……というだけで」

帰る場所もある、帰ろうと思えば帰れる。ただ足が向かない。それを拙い言葉で紡ぎ出す。
先にアスレチックに腰を下ろした事で、勧められれば断る事の方が不敬であると、一礼をし先ほどまで居た縄を繋いでいる木の枠に腰を下ろして。

「フレイヤ様も、護衛の方々はどうしたんですか?」

相手に話を振り続けさせるわけにはいかないと、考えた挙句出た言葉は、結局触れるなと言われていた地雷。
語彙や話題性に欠けていた子供は結局そう話すしかなかったよう。

フレイヤ >  
「ご家族と喧嘩でもしたのかしら?」

くす、と笑顔を浮かべながら。
そういう時もあるだろう。
自分なんてずっと家出しているようなものだし。

「別にいないわけじゃないわ。
 四六時中見えるところにいられても困るし、見えないところにいるんでしょう」

こっそり抜け出してきた、などとは思っていない。
こんなでも王子なのだ。
自分が気付かないところで護衛されているのだろうし、見えないのならいないのと一緒だ。
脚を組み、その膝の上に肘を置いて頬杖。

トルド > 「そんな所です。」

ただ一方的に臍を曲げている、しかもとてつもない身勝手で。
そう、冷静に第三者に話してみると意外とすっきり腑に落ちた。
だからといって現状が改善するわけではないのだが……。それでも少し気分は晴れた。

「確かに……、万が一事が起こった時に傍に居ませんでした、だと首が飛びますよね…。」

しかも物理的に、と、その重責を思えば視線を巡らせてみても人の気配も影も見えないけれど、きっとどこかで見てはいるのだろう。
それはそれで窮屈なのかもしれないと、鬱屈した行為のうわさがある王子、その様子に少しだけ同情を寄せた。
それもまた不敬なのかもしれないけれど。

視線を王子へと向ける。年齢による声変わりもまだ終わっていないだろうその声と、格好はパッと見女の子のそれにしか見えず。

「でも、本当に危ないですから程々にしてくださいね。王子に何かああってからじゃ遅いですし……。」

心配そうに告げる、どの口が?という話ではあるが、心配しての言葉なので許されたい。

フレイヤ >  
「あら、じゃあどうせだし家出でもしちゃう?」

三角座りをして、膝の上で腕を組み、そこに顔を乗せる。
アスレチックの上で器用に丸くなり、彼の顔をじっと見て。

「大丈夫よ、私のことなんてどうせ誰も気にしちゃいないわ。
 どうにかするなら私じゃなくて兄様の方が先だし」

兄と口にするとき、少しだけ目を細めて見せる。
表情にこそ出さないが、ほんの僅かにため息をついて。

「大丈夫よ。
 何かなんて起こらないわ。
 仮に起こったって『悪魔に頼んで生き返らせてもらえばいい』んだもの。
 ねぇ、ルドルフ家のご子息さん?」

妖艶な笑みを向ける。