2025/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にセリニアスさんが現れました。
■セリニアス > 陽も落ち始め、通りも賑わいに満ち始めた時刻。
今日も今日とて侍従を撒いて訪れたのは、依頼帰りの冒険者で騒がしくなりつつある冒険者ギルド。
フロアを挟んで併設された食事処で夕食を取り始めている者もいれば、興奮冷めやらぬと言った様子で仲間と喋っている者、はたまた、カウンター越しに受付の人間へと怒号を飛ばしている者までいるのだから、面喰ってしまうのも当然で。
「…………。」
思わず尻込み。
冒険者登録はまだ早い。と、年の離れた兄に止められた理由が分かったような、分からないような――尚更反発したくなるような。
入口近く、足は止めた儘フードの下からきょろりと周囲を見渡して。
■セリニアス > カウンター越し、受付嬢と目が合った。
――フードを深く被っているのだから、気がしただけなのだけれど。
年相応の好奇心に後押しされてしまえば、後は野となれ山となれ。
人混みを避けてカウンターの方へ――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセリニアスさんが去りました。
ご案内:「宿屋『綺羅星の籠』」にブールドさんが現れました。
■ブールド > 今日は主に男の客が多い。各個室で販売されているのは魔導撮影機具を用いて記録された映像や静止画。
最近扱い始めた商品――質の高い女性の物は特に高値で売れている事もあり、一時は斜陽を迎えていた宿も無事に息を吹き返すに至っている。
取引自体は実にシンプルな事もあり秘匿性も高い。
個室に宿泊をさせてリストを見せる。そのリストから指名を受けた物を翌朝までに準備しておく。
後は清算するときに品物と引き換えにして高額な料金を受領するという物。
当然の様に室内で楽しむサービスは付けていない。後始末が面倒というのもあるが、一度お金を出してしまえば次から次にほしくなるのが人の欲。
一晩という時間は短くもあり長くもある。
その間に物欲に支配された男たちが追加で発注する可能性もあるからだ。
むしり取れるだけむしり取る。その為の販売形式でもあった。
「いやぁ、しかし最近は売り上げが増えたおかげで宿も持ち直した。
本当に女神様サマって感じだよなぁ。」
ここ数日で増えたラインナップの数々。その売り上げを思えば笑みも深まり寒くなる外の気温とは裏腹に懐は温まりっぱなしだ。
女神――女性の宿泊客や来訪者がいてこその物であり、感謝の念を忘れずに、今は宿帳のあるカウンターで甘いケーキとコーヒーを配達させて楽しむ時間だった。
■ブールド > 元々、綺羅星の籠という名前は名前自体にある種の『おまじない』が込められた物だ。
綺羅星――目を惹く女性を意味し。
籠という逃れ様の無い檻を暗喩している。
とはいえ、昔はマッサージや薬草について本気で取り組んでいた時期もあったのも事実。
そう言ったものへの熱意の余剰もあって時折、学院へマッサージの有用性やら薬草――媚薬効果を持たないモノの有効性を訴える論文を出しては一笑に付され続けてもいる。
各所に出しては捨てられているために、ならばと悪用を始めて今に至る。
肉厚な体もマッサージを行う為に必要な筋肉の鍛え方をした結果でもあった。
栗とイチジクのタルトに手を伸ばし、コーヒーの苦みで口直しをする男の手元にある裏帳簿には見られては拙いだろう商品の映像や売れ行きを示す数字が並んでいた。
――真面目にマッサージや薬草について講義をするよりもずっといい収入を生み出してくれる女性の被害者には感謝してもしきれない。
■ブールド > からん、という音。扉に付けられたカウベルが鳴り響き新たな入店者が現れた証だ。
何時もなら疎ましく思う男性客も、今は貴重な金蔓でもある。
笑顔と契機の良い挨拶を向けてその男性客を迎え入れていくのだった。
ご案内:「宿屋『綺羅星の籠』」からブールドさんが去りました。