2025/07/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」にリュミエールさんが現れました。
■リュミエール > 「んぅー!! はぁ……あっつぃ。」
今朝方まで仕事をして今の今まで寝ていた後、軽くシャワーを浴びてから街に繰り出したはずなのに、もう汗で不快指数が高まる。
華麗にカフェでランチでも、という性分ではなかったから目についた昼からやっているような酒場の扉を潜る。
「あ、お姉さん。甘いお酒と、軽く何かちょーだい?」
昼間から酒に興じる客からの視線を尻目に、給仕へ注文をしてからカウンターに腰を下ろす。程よく冷気と風の通るこの店は外に居るより格段に快適で。
しかし難物が無いではない、カウンターに座った瞬間から大きな酒樽風のジョッキを手に持ち片に触れてくる冒険者風の男。
「私に触れるなら50ゴルドなんだけど? その汚い手、どけてくれる?」
空腹故に気も立っている。肌の露出の多い恰好故にそう見られることも慣れているが、
馴れ馴れしく触れてくる男であれば態度も露骨に、その手を払って置かれた果実酒に口を付けた。
それだけでも先ほどまでの剣呑とした表情とは打って変わって、にへらと表情は崩れる。
■リュミエール > 「甘いぃ……。 何これ?桃……? 違うの?」
ほんの少しの酸味と濃い甘さに思わず給仕の女性に声を掛ける。
どうやら東方の物らしいと聞けば、思いきりグラスを傾け飲み干して。
「おかわり!」
そこそこ濃いお酒で割っているであろうそれを抵抗なく頼んでは飲む。
添え物として出て来た小さめのサンドイッチを肴に、もう3杯目になろうかというところで……。
「やぁー、これほんといぃ……。 ねぇ他にお酒以外に出来ないのー?」
若干呂律と、表情が怪しくなってきた。
ただ食への興味からか、桃っぽいものを使ったものを求めたりするけれど。
赤い顔、回らない呂律に店主はいい顔をしなかった。昼間から泥酔者を生み出すわけにはいかないから、それはそうなのだが……。
カウンターに肘を置いて残りのグラスの中身をちびちびと、氷が解けた分だけまた飲んで、なんて風情に欠けた飲み方。
■リュミエール > 水を差し入れる店主の心遣い、空腹が満たされて落ち着いた思考。
しばらく管をまいていたけれどだいぶクリアになったのか酒と違う意味で顔が紅潮する。
ごちそうさま!とおお金を払って逃げ出した。その足は未だ少し千鳥足ではあったけど。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 酒場」からリュミエールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に影時さんが現れました。
■影時 > ――夜の冒険者ギルド。
併設されている酒場は昼食時にも負けない、またはそれ以上の喧騒と客の出入りで賑わう。
一仕事終えた後の宴席もあれば、死んだ仲間を悼むしめやかな酒の席もある。
声が掛かるまでひたすらに席を温め、杯を足し続けるものもあれば、報酬でホクホク顔の若手を狙う娼婦らしい女の姿もある。
色々だ。どのような思惑、考え方、在り方をひっくるめ、金さえあれば酒場は様々なものを受け入れ、注文の品を出す。
「おぅい、もう一杯くれるかね。ついでにこいつらの分の野菜スティックのおかわりも頼まァ」
そんな酒場の一角、壁際近くの丸テーブルの一つを占領する男が、卓上に見える小さな姿と共に声を挙げる。
仕事を終えて先ずは一杯。最後に残ってもう一杯、と言ったところだろうか。
卓上に散見する皿や器の数々は、一人で食べるには多すぎる。数人でシェアして丁度、と見た方がきっと丁度良い。
壁に得物らしい鞘篭めの刀を立てかけた羽織袴の姿が、手で摘まむ陶製の瓶をぷらぷらとさせて、おかわりを頼んでくる。
近寄るウェイトレスが呆れたように見遣るそれは、強い酒だ。ドワーフ仕込みの蒸留酒。
まだ飲むでやんすか、とばかりに見る姿は一人だけではない。卓上に座る小さな連れたる二匹の齧歯類たちだ。
煙草か葉巻よろしく短くカットされた人参を思い思いに咥えて、ぷはぁ、とする様を見るウェイトレスからそっと撫でられ、ぱたぱたと尻尾を揺らして。
その様子に苦笑交じりに肩を竦めつつ、注文を受けた姿が奥の方に向かう姿を見遣ろう。
まだまだ呑み足りない、吞める感覚はあるが、そればかりに任せるわけにもいかない。
羽織の内側を漁り、ごそごそ引っ張り出すのは数枚の依頼書の束。明日か近日か。請けるか否か等を考えておきたいものだ。
■影時 > 朝から昼にかけて王立コクマー・ラジエル学院の訓練の監督をして。
昼過ぎに昼食がてら、依頼探しに冒険者ギルドに顔を出した際に、緊急の討伐依頼に出張ることになった。
こういう時もある。王都近辺、街道筋に出る魔物は速やかに排除しなければならない。
それも行商が雇う傭兵や冒険者たちで、対処できない程の勢力、脅威となれば猶更だ。物流は思いのほか容易く途切れてしまう。
着替えや身支度の暇も無かった。羽織や袴の裾に戦塵らしい汚れが残っているのは、それが理由である。
とはいえ――あり合わせながらも頭数を揃え、その中に経験者が交じっていれば、目的を果たすのは難しくない。
これ以上の厄介を経験したい?それなら君はタナール砦に向かうべきである。あそこはいついかなる時でも、修羅場に事欠かない。
「おお、来た来た」
占い師よろしく依頼書をテーブルの端に広げていれば、先程のウェイトレスが戻ってくる。
盆の上に乗せているのは蒸留酒の瓶と硝子の器に砕いて盛られた氷、そして小皿に盛られた短めの野菜スティック、水入りの皿だ。
それらを卓上に置き、入れ替わりに空になった瓶、器、皿と纏めて盆の上に置き、去ってゆく。
シマリスとモモンガたちが、去ってゆくウェイトレスにぱたぱたと前足を振り、野菜の方に向き直る。
愛らしい毛玉の顔に、どこか真剣そうな風情が過るのは、どちらが先に良い一本を奪い取るか、と言ったところか。
「――……あんまり暴れんじゃぁねえぞう。な?」
ぽそ、と零せば、耳を震わせた二匹が顔を向け合い、不承不承めいた仕草で已む無く一本を掴み、しゃきしゃきしゃき。
喧噪に紛れる咀嚼音を卓上に奏でだす姿を見つつ、手元のグラスにトングで氷を放り込み、瓶から酒を注ぐ。
溶けてからりと鳴る氷の音を聞きつつ、温くなった揚げ芋を口に放り込み、依頼書に目を落とす。
山中に潜む盗賊の掃討、奇妙に出現率が増えているゴブリンの群れの排除、未踏破遺跡の先行調査、いつか訪れた遺跡の再調査。
色々と気に掛かるものはある。ただ、どれもこれも、単独での受諾を前提とされていないのが聊か不満ではあるが。
■影時 > 「……この塩梅はあれか。いい加減、固定のパーティ組めとか言いたげな気もしてきたぞう。
あー。気持ちは有り難てぇが、お前らを頭数に入れられねぇんだわ」
冒険者も色々だ。活動スタイルという奴もまた色々である。
大雑把にありがちなことを思えば、臨時かつ即席で頭数を合わせる、気が合う数人で役割分担をする、最後に総取り狙いで単独、と言ったところか。
実入りが一番あるのは勿論単独行。だが、それは行先に応じた練度や能力が問われ、次第によっては未帰還者となる確率も増す。
依頼とは関係なく迷宮探索する場合を除き、ギルドの意向的には余り増やしたくないやり方かもしれない。
初心者、駆け出しの生存率を上げ、協働できる人材を増やしたいと思うなら、一定以上の実力者には誰かを付けたい、と。
冷えて露を纏いだすグラスを取り上げ、喉を湿らせてぼやけば、視線を感じる。
卓上から見上げる、ぢー、と言った眼差しは“あっしらは頭数?”と言わんばかりのもの。
首を傾げ、気持ちは有り難いがと苦笑交じりに伸べれば、しなしなと尻尾を下げて、やけ食いよろしくもしゃもしゃもしゃ。
単なるペット枠やにぎやかし以上に有能であるのは疑いない、のだが、世の中そう易くない。
「前衛は俺で行けるとして、だ。………………前衛多いか?」
師たる己を筆頭として、身内的に弟子で組むなら一応体裁は整う。術を抜きにすると全員が近接主体になるのはご愛敬だが。
名の知れた“くらん”やらパーティだと、専業の術師、弓使いなども混ぜるところだろう。
依頼書を捲る手を止め、指先でこつこつと天板を叩きつつ思う。
気配を殺し、消して、紛れさせて敵の群れの背後を取り、手堅く掃討して探索する。
危なげないと云えば危なげない。だが、それを許さない、自分達の得意スタイルを封殺する、抑止する敵も現れうる。それが現実である。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に篝さんが現れました。
■篝 > 悩みに暮れるその背中へ、一つ声がかかる。
「――片寄ってはいますが、やりようはあるかと。
加えて、不得手との会敵もまた試練の一つと考えます……」
それは聞き覚えがあるだろう、抑揚のない少女の声だった。
スルリと人混みを抜け出て机に寄り、机の上に広げられた依頼書と、それぞれ野菜スティックを頬張る小動物たちを一瞥し、緋色を伏せる。
普段の黒装束とは異なる、少女と呼ぶに相応しい風貌に身なりを整えれば、酒場でも悪目立ちはしない。
少々の動き難さに目を瞑れば、良い擬態であると言える。
「影時先生……。いつもこうして依頼書とにらめっこをしている……のは、気のせい?」
酒を片手に依頼書に頭を悩ませる。
そんなよく見かける風景とも言える姿に首を傾ぎ、空いている向かいの席に断りもなく腰掛け。