2025/05/25 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 断崖の山道(過激描写注意)」に茱萸さんが現れました。
茱萸 > 地には血が撒かれ、人であったものが撒かれていた。
圧倒的剛力で捻じ切られ、潰された肉は到るところに散乱し。
数刻を経て、屍肉を好む鳥獣が群がりはじめている。

それを眼下に見下ろして――剣山の如くに聳える断崖、岩の天辺。
ぽつねんと高みにて、一人の小娘が悠々と座している。
墨烏色の髪、切れ長の双眼、二本角。
肉付きのよい身に東方の装束を纏い、下駄を履いた脚をぶらぶらと揺らす。
そぐわぬ小柄は場違いが過ぎ、ゆえに異様だった。
――妖魅の類だと、誰しもが一目で察する程度には。

「…はて。この山には鬼が棲まうか。
 やれ退治じゃ討伐じゃと蟲どもが湧く。」

声とて随分と愛らしく、若い娘子のものだ。

それにしても、この惨状の発端である。
人違いならぬ鬼違いだろうに、群れをなす人間というのは聞く耳を持たぬから煩わしい。
うっかりと相手をしてしまったが、こればかりはきゃつらが悪いのだと小娘は嘯く。
誰だって、顔の前を羽蟲がぶぅんと翔んだら潰すだろう。
あるじさまだって赦すに違いない。赫に塗れた利き腕をべろで舐めた。

「……寝て過ごすか。」

一度頬を膨らませ、ぷ、と唇が口中より硬く白んだ小片を吹いて飛ばす。
それが何であるかなんて、語るべくもない。

ご案内:「九頭龍山脈 断崖の山道(過激描写注意)」にペッツルートさんが現れました。
ペッツルート > 鏡より外の世界を覗き見る悪魔は珍しい光景を目にしていた。
鏡に映るのはちぎれとんだ手足に砕け散った装備品。
恐らく討伐隊でも組まれていたのか、無数に散乱していた鏡の破片の一枚から興味を誘われてにゅるん、と山道に姿を現す。
途端に鳥獣がけたたましく威嚇してくるが、水銀の指を伸ばし鞭のように奮い、頭数を減らした後でその水銀の鞭から茨の様に棘を長く伸ばして黙らせていく。
……元々無惨だった肉塊が更に目も当てられない様になったが。どのみち人でなしの悪魔なのだ。
そんな些細な事に痛める心も揺れる感情も持ち合わせていなかった。

「――あーァ。人間が手ェ出せるよォな相手じゃなさそうなのになァ。」

鏡の内側からその主犯格の位置は目星がついている。
ついているが、鳥獣の相手をしている間に気取られたかもしれない。
視線を周囲から、鬼――魔族ともまた異なる存在へと視線を向けていく。
のっぺらぼうの様な水銀の面にぎょろん、と浮かび上がる単眼が人間の様に2つの瞳に。
それから変装し慣れた人間の顔立ちに変えつつ。まだ、相手はそこにいるだろうか?

茱萸 > さて、ごろ寝するかと天を仰げば――地を啄んでいた黒影が羽搏き、空へ帰るところ。
されど、妙に喧しく喚く。
はて、と思い、再度地へ双眼を凝らせば。

「ほ。」

思わず声が洩れる。凝った死臭が乱れ、風に馨った。
かそけき月光に燦めく奇妙な貌がある。あれが、鳥を払い、澱みを舞わせたのだろう。

「なんだ? あれは。」

ひとでは無い。化生の類か。
唇が、面白そうに弧を描く。途端。

ど ぷ ん。

小娘の身が、まるで水に潜るように影に没した。
翳を遁甲し、高みより一気に地まで下降するは、海奔る鮫の如く。
血肉散乱する地より爪牙を鋭く尖らせた腕を生じ、相手の足元を掬い薙ぐは、数秒とたたぬうち。
引っ掻くも空を切るも。ちょっとした挨拶――余興程度だ。

ペッツルート > 「お    ォ?」

目的の鬼を見つけたと思えば遠目からは飛び降りた――様に見えた。
それもこちらではなく山の向こう側に。逃げられたか、と思ったも束の間。勘も予兆も働かない。気配と言った物が欠落したかのように、ただ相手の腕が水銀で作られた足を薙ぐ。いや、引き裂いた。

水銀をある程度とはいえ固めていたために生半可な防具程度には硬い外装を誇っていたが、忘れたか。今しがた目にしていた冒険者の装備品の無惨な有様を。
周囲に飛び散るは血潮ではなく鈍く輝く銀色の雫。彼女の爪に銀を切り裂き水を薙ぎ、引き裂いた手ごたえを残し。

「ッぶね。鬼ってなァ肉体言語の挨拶が好みなのかねェ?」

物理攻撃を主体としているなら自分とは相性がいい。
気配遮断を伺わせるような予感や予兆の働かなさから他にも手はあるのかもしれないが。
それ以上は探りようが無い。だからやる事はシンプルだ。
周囲に飛び散った水銀の雫。それが地面に飛び散った直後に――跳弾を思わせる様に四方八方から鋭く、勢いも強く。
風の魔法――エルフの能力を食った事で得た知識や魔法を使い推進力を強化し。
ライフル弾の様に形状を整えた水銀弾が彼女の脇腹。足首。肩口を狙い殺到してくる。
――当たったところで、並の防具位なら破壊できる程度の威力。鬼にはどこまで通用するか。

「って、やべぇかもなァ。」

足を切り裂かれた。ダメージはないが攻撃に意思を通した分、自分の足の再生は一手遅れる。
この攻撃で少しでも時間が稼げるなら悪手にはならないが。