2025/04/16 のログ
ご案内:「無名遺跡深部(過激描写注意)」に宿儺さんが現れました。
■宿儺 >
「──此処の遺跡の主にしては、肩透かしだの」
魔物の遺骸──、否。
残骸と呼ぶに相応しい、血漿に彩られた遺跡の広間。
直前まで激しい戦いが行われたいたのだろう破壊痕をあちこちに残す、そんな空間で。
女鬼は血と脂に口元と濡らしていた。
無造作に尻を下ろすのは、女鬼の何倍かもありそうな巨躯の牛頭鬼
獲物であろう巨大な土が何か硬い物を殴りつけたかのように拉げ、側に転がり落ちている。
そして───。
「──マズい」
喰らっているのは、仕留めたばかりのこの遺跡の怪物の肉。
ボリュームのありそうな腕部を引き千切り、喰らいついたは良いものの。
「矢張り、牛に似ていても魔物、筋ばかりか」
鋭い牙が引きちぎった血肉を、ぺ、と吐き捨てる。
見るからに筋骨隆々、美味そうには見えないが、見た目通り固く筋張り喰えたものではない。
一部柔らかに実った部位はあれど自分自身の肉も不味かろうな、と嘲笑し、残った腕部の肉も、背後へと放り捨てた。
■宿儺 >
強者を喰らい、血肉とすることでより強い肉体となる。
幾度かの敗北を歴て、泥臭く鍛えることを知らぬ女鬼はそうしてより強く、頑強なものとなってゆく。
事実、肉の張り詰めかた、盛り上がりはより隆々としたものとなり──、
こうした、巨大な得物を持ち襲いかかる圧倒的な体躯の魔物を相手にも真正面からそれを捻じ伏せる程の膂力を得ていた。
しかし如何せん味が悪い。
竜や巨鬼に比べれば、家畜に似ている分牛頭鬼には期待をしていたのだが。
「──いや、豚鬼も別に、豚程美味くはなかったか。」
脂があった分まだマシではあったが───口元を舐り、指先で拭う。
そもそもが人喰いの鬼。人間の肉こそを美味いを感じるように出来ている。
──…人間の強者であれば、より喰らうに値する。
■宿儺 >
あるいは、魔族か。
特別な力を持った者や、魔法を得てとする者も多く、不覚を取ることも多い。
人と形が似ている分、多少は美味であろう。
かつて煮え湯を飲まされた魔王を打ち取り喰らってやっても良いか──。
屍の上に座り込み、くつくつと嗤う。
「──此奴が此処の主であるなら、もう此処には用はないな」
尻の下で息絶えている魔物を見下ろす。
強力な個体ではあり、多くのゴブリンや魔物を従えていた故、知性も多少なりあったのだろうが。
この広い遺跡の長とするには些か物足りない。
こういった魔物を倒せば、何か宝物でも溜め込んでいるのかと探し回るのが本来ではあるが、生憎とこの戦鬼にはそういったものに僅かも興味はなく──。
■宿儺 >
ざわり。
肌が粟立つ様な殺気を感じ、女鬼は立ち上がる。
やはりこの程度の木偶の坊が主であろう筈がない。
「くく、さて…喰らうに値するか?」
地に降り立った女鬼は実に愉しげに笑みを浮かべ、殺気のする遺跡の奥へと。
実に意気揚々と、歩み去っていった。
ご案内:「無名遺跡深部(過激描写注意)」から宿儺さんが去りました。