2025/03/31 のログ
ご案内:「タナール砦・地下牢(過激描写注意)」に宿儺さんが現れました。
■宿儺 >
タナール砦。
現在は魔物が占領したいる砦の地下牢にて。
「(此れは、また厄ネタを引いたな………)」
自らの体躯の三分の二にも満たぬような童。
魔王を名乗る小童に真正面から叩きのめされ、片角を折られ地下牢へと拘束された。
数日は経ったか。
女鬼の四肢の枷からは重苦しい鎖が伸び、牢獄の石壁へと繋がれている。
裸に剥かれた浅黒肌にはあちこちに打撃痕や爪、牙の跡が刻まれた痛ましい姿。
その殆どは魔王との交戦後、魔物達の嬲り物となってつけられたものである。
何を仕様が一向に壊れる様子のない頑丈な女鬼は格好の的となったのだろう。
「っく…!!! ハァ…こんなちゃちな鎖で……」
ガキン、と硬質な音が鳴る。
片方の角を折られ、満足に力の発揮できぬ女鬼は鎖に囚われ、動けずにいた。
牢の扉は開け放たれているが、逃げることはできない。
また階段を降りる音が聞こえる。
やって来るのは女鬼を甚振りに来た魔物か、獣欲を満たさんとする摩獣か、色欲を讃えた魔族か。それ以外の何かか。
なにせ砦をとっているのは魔物の軍である。何者が現れようと不思議ではない。
■宿儺 >
現れたのは、3メートル近い上背の影。
人為らざる馬鹿げた筋肉質の体躯は下半身へゆくにつれ細り、動物のような姿を持つ。
両手で槌を持つ、猛牛の如く荒々しく息衝くそれは、牛頭の魔物
「──くく、どうした。報復でもしにきたか?」
ミノタウロスの片目は潰れ、赤黒い痂が張り付いていた。
…数日前に遡れば、それが女鬼自身の手によって手向けた傷であることが思い出される。
異形の魔物なれど多少なりと知恵はある──己の眼を奪った女鬼の、匂いを覚えていたか。
言葉に答えは帰ってこない。
ただ己の眼前に立ち、咆哮と共に槌を捻るように引き───。
「ぐぶッッ───!?」
剥き出しの女鬼の腹へと、槌が叩きつけられる。
打ち付けられた鋲が堅牢である筈の女鬼の腹筋を凹ませ、ぶちぶちと筋繊維を引き千切りながら圧し潰す。
「ぁ゛………カ、はっ…」
背後の石壁に亀裂が入る程の一撃を受け、枷に体重を預ける様に女鬼の肉体が崩折れる。
ただでさえの破壊力、片角が折れている状態では尚の事…。
しかしミノタウロスは落ち込む女鬼の頭、その亜麻色の髪を掴み上げ──再びの一撃を見舞った。
己の眼を奪い去った憎々しい女鬼を、辱めるでも玩ぶでもなく、怒りのままに幾度も打ち据える──。
──がしゃん、と鎖の重厚な音がなり、糸が切れた人形のように女鬼がその身体を鎖へと預ける。
己の首領たる魔王が捉えた獲物でなければ、そのまま喰らい殺していたかも知れぬ程の憤怒。
女鬼が項垂れ、動かなくなる様を見れば鼻息荒く、再び重苦しい足音を立て、牢獄から去っていった。
後には腹筋が完全に潰れ、破壊されて腹が大きく凹んだままとなった女鬼が残されていた。
「───…、ゥ……、…」
それでも鬼の命の火が消えることはなく、虚ろな翠の視線が去る者の背を追う。
どちらの眼を潰したかは覚えた。…次は眼だけでは済まさぬと。朧気なままに、己の意識に刻み込む…。
ご案内:「タナール砦・地下牢(過激描写注意)」から宿儺さんが去りました。