2025/03/27 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート・地下奴隷闘技場(過激描写注意)」にグライドさんが現れました。
グライド > 会場には、落胆の雰囲気が漂って居る
其れも其の筈だ、観客の目的としては大半が
女鬼の敗北を、その後に続く凌辱を求めて居たのだろうから

主催としては金が入れば問題無いのだろう、だが
こうまで立て続けに奴隷たちを負かされた、参加者側の貴族にとっては
何とかして一矢報いて遣ろうと言う自尊心の問題が浮上して居るのは明白か

其の辺りに居る、使えそうな傭兵や戦士達に、飛び入りの依頼を掛けて居るのが其の証だ
――とは言え、先刻までの惨状を見て、鬼の前に立ちたがる連中なぞ居ない
命が惜しい、とばかりに断られる度に、報酬の額がつり上がってゆく。

「―――――――……ったく、ど阿呆共がよう…。」

普通に考えて、勝利出来る相手では無いのだ。
だが、この場において、己は少しだけ流れを読み損ねた
誰も受けない事で貴族連中も諦めるだろうと思って居たが
逆に、意地の張り合いになった事で、つり上がった報酬額が
最後まで避けて居た己に、依頼を断れる空気感を、完全に失くさせて居たのだ

――これで受けねば、傭兵としての風評にも影響しかねぬ。
完全な、貧乏くじ。

盛大に溜息を零し、盾を担いで、会場へ降りて行く。
しばらくすれば、闘技場へと、鎧と盾を纏った男が一人、上るだろう

「………参ったな、こいつは。」

―――バケモノだぜ、と、独り言ちて。

宿儺 >  
なかなか現れぬ対戦相手に、女鬼はその場に胡座をかき欠伸を零しているところだった。

しかしそこに降り立った、鎧と盾の戦士──。
こういう場に、目立つ盾を持ち上がる者は珍しい。
大方、攻撃力に重きを置く者が多い所為だ。

「漸くか」

笑みを浮かべて見せ得た女鬼が立ち上がる。
人間の女と比較すれば多いな上背は、屈強な目の前の男と大きな差もない程。
その装備の重厚さこそはないものの、天然の鎧とも思える筋骨を纏っている──。

見るからに頑丈、見るからに怪力。
そんな女鬼の戦力は、上から眺めていたならば十分に存じていることか。

「随分と着込んでおる。くく、一つ前の男よりは持ちしそうだな?」

独り言を零す男に対し、どう見てもやる気満々の女鬼は重苦しくその一歩一歩を踏みしめ、笑みを深めながら新たな対戦相手へと歩み寄ってゆく──。

グライド > もし、互いの能力を数字で表すとしたなら
力も、俊敏さも、耐久力も。 己とは比べ物にならぬ。
暴力が襤褸を着て暴れて居る様な物だ、枷の有無など大した問題ではない

傭兵と言う立場柄、死線なぞ幾らでも潜り抜けて来てはいる、が
――これは、間違い無く、割に合わぬ。 どれだけ金を積まれてもだ。

「生憎、こいつが俺様の正装なもんでな。
―――正直気乗りはしねぇんだが、断ったら俺迄袋叩きだ。
精々加減してくれると助かるぜ、嬢ちゃん。」

――半分は軽口、もう半分は、本気だ。
勝てるか如何かでは無い、生き延びて帰れるかの方が余程重要。
相手からは見えぬだろう、兜の下で。 少しでも、己が付け入る隙を狙うべく、観察する。

――構えた大盾、盾兵と考えれば不思議は無い、其の装備だが
盾の突端には、刃が入って居る。 ――シールドソード。
盾でありながら刃でも在る、特異であろう其の獲物を携え
先ずは、じり、と、相手の出方を伺おう

まともにやり合ってはならない。 ――相対するは、あくまで怪物だ

宿儺 >  
投げかけられた言葉にその目を丸くする。
その言葉に足をとめ、くつくつと肩を揺らし笑いながらに。

「くく、よりにもよって"嬢ちゃん"とは」

そのように呼ばれたことなありはしない。
それはただ単、『珍しい』といった程度の反応ではあったが。

「気乗りがしない、と?」

片眉をあげ、訝しげな表情へと変わる。
なぜこの場で降り立ったのか。
金か、名声か、己の闘志か。
柵と事情か。

片手の手の五指を開き、ごきりと音を鳴らしつつ、もう一歩。

「───であろうと、追い詰めれば死力を尽くさざるを得ぬのが人間であろう?」

此処は闘技場。闘争の場。
降り立った以上は言葉は戯れ──直ぐ様切り替えた女鬼が石畳を砕きながらに蹴り、距離を詰める。

「それと、あいにく加減は知らんっ」

眼光が棚引く速度、その構えた大盾に向け──剛脚一線。戦斧を叩きつけるかの一撃を挨拶代わりと言わんばかりに振り切る──。

グライド > 向こうにとって、此方の事情など知った事では無いだろう
御尤もだ、客席の空気感や貴族連中が振りかざす権威の面倒臭さを
知って居た所で、一笑に付されるのがおちだろう。

―――だから、構わない。 理由が何であれ、鬼の言う通り。
この場へと足を運んだ時点で、言い訳は出来ない
それに、だ。 ほんの少し。 そう、ほんの少しだけは。

己が技が、何処まで鬼をいなせるのか。
試して見たい気持ちも、無くはなかった。

「―――――おうおう、そうだろうなぁ…!」

そう言えば――出会った鬼は、これで二人目か、と。
不意に、そんな事が脳裏を過ったが。 其れも、僅かな事。
踏み込んで来た相手に、一気に集中を強めれば
踏み潰すかの蹴撃に対して、盾を斜めに構え、其の勢いを逸らしに掛かる

――シールドパリィ、この大盾をも砕きかねない、圧倒的な一撃への対抗手段
盾兵として、力ではなく、"技"で相対すれば。
盾の表面を滑る鬼の足先が、代わりに石畳を蹴り砕く事になるだろうか

「――――――んのっ、馬鹿力め…!」

――腕が、強烈な痺れを訴える。
力の矛先は完璧に逸らせた筈だ、だと言うのに、逃がし切れなかった衝撃。
上手く行ったと思う反面、これを何度も受けては、盾が、保たない。
反撃に、顔面にでも一撃叩き込んでやろうと思ったが、腕は諦めるしかなく
代わりに、構えた儘の盾面で、全体重を乗せた体当たりを仕掛けよう

「体重勝負ならどうだ、嬢ちゃんよ…!」

宿儺 >  
「っと…ぉ」

逸らしたか。
技巧を重んじる剣士や闘士には時折こういったことをされた経験がある。
真っ直ぐに攻撃を仕掛けても、その軌道…力の向きを逸らす技が在るのだ。
石畳を深く蹴り砕くことになり、衝撃で舞い上がった亜麻色の髪を振り乱しながら、女鬼は視線を向け直す。

「なかなかに頑丈な盾よ、の…っ!」

男が全体重を乗せた体当たり。
盾面を抱えるようにその手を広げ──正面から受け止めた。
勢いに僅か女鬼の脚が石畳を砕きながら後ろへとズレるも──。
おそらく、装備重量も加味した男の体重と然程変わらない女鬼の目方…。
人外の筋密度が齎す見た目以上の全体重。それを以て──。

「押しっくらなら、そこらの巨鬼(オーガ)にも負けぬぞ!」

愉しげに笑いながら、力を込める。
正面からの力比べという状況になればこの女鬼のテンションが上がらない筈もない。
そういった子供じみた…シンプルな"どっちが強い"が大好物なのだから。

グライド > そう何発も、あんな一撃を喰らっては堪らない。
幾ら力を逸らしたとて、この盾は何の変哲もない、ただ頑丈なだけの金属盾
あと何発受けられるかだって、定かでは無いのだ

だから、打撃勝負を避けるために、至近距離を選んだのだ
己が全体重を乗せた体当たりならば、多少なりと面食らうかも知れぬ、と
――淡い期待は、矢張り、淡いままに終わったが。
正面から受け止められる盾での突撃、体格で言えば僅かに己の方が勝って居ると言うに
其の重みは、まるで巨人でも相手して居るかの様。

「あーあー、やっぱり貧乏くじって奴だぜ…!!」

――離れれば、またあの打撃が襲い来る。
"力比べ"に女鬼が応じて居る今の方が、リスクは少ない。
とは言え、純粋な膂力で己が勝れるかと言えば――兜の中、自嘲する。

紛う事無き怪物で在る女鬼の、されど、童女の様に楽しげな表情は
如何にも近所のガキ達と遊んでやっている時の気分を思い起こさせる、が。

「―――やってやろうじゃねぇか、舐めるなよ、嬢ちゃん……!!」

――嗚呼、仕方がねぇ。 腹は括った。
怒号と共に、己が体躯の全ての力を振り絞って、押し合いに挑もう
単純な膂力だけではない、盾兵としての技、身体の使い方、重心の掛け方
あらゆる術を駆使して、其の単純な"強さ比べ"に立ち向かう

――盾が軋む気配がある。 壊れたら、赦せよと心の中で呟き。
全力で、ひたすらに押す、押す。 地面に突き倒すか、場外迄行ければ御の字だ
逆に、己が張っ倒される可能性だって在る、が
先の事を考えている余裕は、正直、無いのだ。

宿儺 >  
石畳を踏み締め、両腿と両腕の筋肉が隆起する。
そのサイズは到底男のものに及ぶべくもないが、その中身が段違いだ。
まともな押し合いであればまず鬼が押されることはないだろう。しかし。

「呵々…その意気や良し!!」

相手が応じると見るや、更に口角をあげ、女鬼は盾の向こうの男を押し潰さんと力を込める。
ギリギリと頑丈頑強なその盾が軋む音と共に、一歩、一歩、女鬼は前進せんと歩みを進めてゆく。

「全力で以て、押し潰してやろう…!!」

凶悪なまでの膂力。文字通りの怪物。
ただしその力の軌道は、余りにも真っ直ぐ。

故に隙はある──。男の培った、戦場での技巧がそこを突くことが出来るか、否か──。

グライド > ――実際に相対して、肌で感じる事も在る。
女鬼は確かに怪物だ、だが、其処に技は無い。
圧倒的な身体能力によって、獣の如く叩き潰す、其れだけ

其の単純さこそが女の強みでも在ろう、が、其処に付け入る隙も無くはない
己にとって幸いであったのは、此処が、戦場では無いと言う事だ。
闘技場、例え其れが形骸化して居る物であっても、ルールに縛られた場である、と言う事

「くく…そいつは…、……御免こうむるぜ…!」

刹那――僅かに体重を沈ませる。
単純な相手の力押しに対して、下から、かちあげる様な形で再びの体当たり
威力こそ、加速を乗せた物に比べれば劣るだろう、が
鬼の体勢を、僅かでも崩す事が出来れば。 ……其の身体を、浮かす事さえ適えば。

「――――――ぬ、ぉぉおおらああ!!!!」

どんなに怪力で在ろうと、どんなに重さが在ろうと
其の足先が地面について居なければ、力を発揮する事は、叶わぬ物
其の一瞬の隙を突く事が適えば、全力で女を押して、押して――場外の床面に、己が身体ごと押し倒し、叩き付けて遣らん、と

宿儺 >  
屈強な戦士といえど、矢張り人間の膂力ではこんなものか。
そう女鬼が勝利を確信した、矢先。
重心が沈み、前へ前へと押していた力が一気に前方へと解放される。──そして。

「う…、ぬっ!?」

男の渾身が、女鬼の両脚を地面から切り離した。
目論見通り、地を支えにしなければその怪力が発揮されることはない。
100kgを軽く超えるだろう女鬼の肉体を、かなりの重量であろう盾もとろも持ち上げるの流石のもの。

女鬼がその身体を浮かせてから、ほんの数瞬の出来事。

「──か、はッッ」

場外の床面へと強かにその背を打ち付け、押し潰される衝撃。
加速度と硬質な床面、そして頑強なる盾に挟み込まれ、さしもの女鬼も口から苦悶の声が漏れる。

確かなダメージを与えたことが、盾の向こうの男にも伝わることか。

グライド > ――身体が浮いた。 なら、其の機を逃してはならぬ。
段差の上から、鬼の自重と己が体躯、そして、鎧立ての重み迄乗せて叩き付けたのだ
頑強な鬼と言えど、これでけろっとされて居たら、己にはもう為す術がなかったろう

盾の下敷きとなった鬼を、其の儘押さえ付ければ
僅かに盾を浮かせ、そして、再び殴りつける様にして盾をぶつける
――この場において、場外判定による決着、何てルールが在ったか定かではない
もし女鬼が体勢を整えたら、其の時は劣勢に立たされるのが目に見えて居る

故に――追撃の手は緩めない。 相手が言った様に、脆弱な人間の身。
死力を尽くさざるを得ないのだ。

「今の内に…! 降参…! しといて! くれると楽なんだが、よ…!」

殴打を繰り返し、其の上で。 盾を一度手放せば、鬼が怯んで居る其の隙に。
――其の背に絡み付き、後ろから組みついて、首を狙う。
寝技組技も、戦場ならず人相手では重要な手段だ。
どうせ、幾ら殴った所で致命傷を与えられる気はしないのだから

今の己にとって唯一の、光明。
――其の儘、胴を足で制し、首を腕で締め上げ、意識を断たんとするのだ。
普通の人間相手で在れば、確実に。 首を折る程の、全力を持って。

宿儺 >  
「ぐ、ぬ…っ!! 調子、に…!!!」

押し潰され、降りかかる追撃。
頑強な盾による殴打の連続。
ダメージがあったとて、それで怯むような、
当然の如く、降参などをするような気性ではなかった。
故郷たる八卦の山で暴れ続けた鬼姫はただ只管に獰猛で、闘争心を滾らせている。
幾度目かの盾の殴打。それを最後に盾を一度手放すことになる一撃に合わせ、女鬼が渾身の拳を盾の面へと叩きつけた。
轟音が響き──殴りつけた腕を取られる迄、女鬼は己の不利に気づけていなかった。

「っ…な──」

──鬼の体の造りは人と然程に差はない。
筋肉、内臓、消化器官──それぞれより優れていようとも、似ている。

組打の技か、と気づくよりも疾く、その頸には野太い男の腕がまわり。
更に屈強なれど細い腰回りを捉えられる───。

「──、し、ま……ッ…────」

頑強な鬼の骨格は頸もまた然り、しかし折れはせずとも脳への血流が途絶えれば、起こる現象は人と同じか。
鋭い爪を男の腕に立てようが、剛力がそれを阻むよりも疾く、瞬時にその視界に暗闇の帳が降りる。

「────」

びく、びく、と。
抵抗を見せていた四肢が落ち、痙攣する様は──明確に女鬼のこの場での敗北を示していた。

グライド > 四肢に伝う女鬼の抵抗
剥がされてなる物かと一層力を込めて縋りつき、締め上げれば
其れだけ血流を射途絶えさせ、暴れる女の呼吸すらも消費させるのだろう

――正直、必死で、どれだけの間締めあげていた革覚えて居ない。
ただ、鬼の意識が落ちたと言う事だけは、暫しして理解した
其れでも、腕を離せば、直ぐに復活してこぬとも限らぬ
故に、少しばかり念入りに締めたのは、女鬼の頑健さを、在る意味信頼しての事だ。

「――――――……っ…はぁ…、……嗚呼、くそう、全く…。」

実際に相対して居た時間は、さほど長くは無かったのだろう
だが、精神的な疲弊は、一昼夜戦場に居た様な気分に等しい。
腕から力を抜き、やれやれと大の字に脱力してから、勝ち名乗りの為に片腕を掲げて見せる

――とりあえず、報酬はせしめてやる、と心に決め。
そうなったら、もう、観客が盛り上がったか否かは如何でも良い。
身体を起こして転がった盾を背負い、ついでに、女鬼をかついで、勝手に退場させて貰う

阿呆みたいに重いが――勝者にとって、敗者は戦利品にも等しいのだ。
其れを、置いて帰る心算も無い。 其れが、闘技場における掟、誰も文句は言うまい。

――女鬼が、もし、次に目を覚ますならば。
きっと其の瞳に映るのは、何処かの部屋の天井が、最初となる筈だ。

宿儺 >  
怪力無双で番狂わせを起こした女鬼を、最終的にとはいえその身体一つで倒してみせた。
そんな男には称賛と拍手は惜しまれまい。
その後の凌辱劇を望む者にとってすれば肩透かしはあったやもしれず、それでも。

倒した奴隷を勝者が持ち帰る…それは当然の権利であり、この場では当たり前のように行われていること。
故にそれを咎めるような者はおらず──大人二人程はあろう目方を担いだ男は無事にその場を去ることが出来た。

───、そして。

目を覚ました女鬼といえば、男の姿を見るなり開口一番再戦の要求。
実に悔しげにそう喚く様は実に子供じみていたが。苦労して連れ帰ったことを男は後悔したのか。──其れ共。

グライド > 辛勝である。 しかも、油断をついた勝ち方だ。
再戦の要求なぞされた所で、身体が幾つあっても足りるか、なぞと突っぱねようとしただろう
だが、結局の所。 怪物には違いないが、如何にも、だ。
その子供じみた様相を見て居ると、構いたくなって仕舞うのが悪い癖、なのやも知れぬ

「………喧嘩で済むならな。」

多分、其れが男の妥協点となる筈だ。
傭兵としての仕事に差し支えが出ない程度、ならば。
きっと、諸々構ってやることになる筈だ。

但し、其の上で。 ―――勝者の権利だけは、其の内絶対に行使してやると
鎧も盾も無ければ、ボコボコにされる未来を想起しつつ、心に決めたのだ。

ご案内:「奴隷市場都市バフート・地下奴隷闘技場(過激描写注意)」から宿儺さんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート・地下奴隷闘技場(過激描写注意)」からグライドさんが去りました。