2025/02/25 のログ
ご案内:「九頭龍山・天然源泉(過激描写注意)」に宿儺さんが現れました。
宿儺 >  
いくつもの源泉が湧き、それを引いた湯浴み場なども名の知れた九頭龍山。
山の奥、切り立った岩場の奥に白煙烟るその源泉は、そのまま生物が入るには余りにもな熱泉。

そんな白霧に満ちた、沸き立つ自然の源泉から、ざぶりと音を立て、身を持ち上げる者の影が在る。

「──、漸く癒えたか…」

やれやれと、辟易した様にそう吐き捨てるのは熱泉からその浅黒い肌の肉体を晒した一匹の戦鬼。
胸部や臀部といった特徴のシルエットから雌であるとわかるそれは、湯音を跳ねさせ裸身を切り立つ岩場へと乗り上げた。

近くの木々に粗雑に投げかけた布切れを手にとれば、無造作に濡れた身を脱ぐう。
傷は癒え、両の角も天を衝かんと生え揃い──手酷い目には遭ったが、再び万全の肉体を取り戻していた。

……発端は魔族の国で遭遇した異形の魔物。あれに完敗を喫したことが此処に至る全てだった。

「…くく、ただで済ましてやるにはこの宿儺、大人しい性分ではないぞ」

報復の炎を滾らせるかの様に、凶暴にも見える笑みを浮かべそう独り言葉を零し乍、申し訳程度の襤褸布を纏い直し、椅子代わりの岩塊へと腰を下ろす。

宿儺 >  
鬼、という種は元々が人以上に強靭であるもの。
故に勤勉に己を鍛え上げ、切磋琢磨する…などという者は…まぁいるにはいるが。
そういった者は求道者であるとか、修験者のような生活を送る者が殆どだ。
ただ己の力を誇示するかの如く暴れまわるだけの荒ぶる鬼の姫とはまた趣が違う。

では今以上に己を強くするものは何か。

「──より強き者を叩き伏せ、喰らう」

力と命に優れるものを喰らい、己の血と肉とする。
──これに限る。

あまり賢くない女鬼は、実に単純で具体性のない答えに辿り着き、満足げに笑っていた。

宿儺 >  
言葉を零しながら立ち上がる。
 
「そうとなれば…。呵々、いよいよ人喰い鬼も卒業か」

如何に強き人間であろうが所詮は食物連鎖の序列は下の生物。
それを喰らって己が強くなる想像には、いまいち辿り着くことが出来ない。

『ゴルルル……』

──立ち上がったのは、その気配を感じていた故に。
九頭竜山脈は険しく広い。無名遺跡群を麓に構え、賊だけでなく魔物の類も種は豊富だ。
唸り声を向けたのは───この辺りにしたラウンドウルフ、その群の主か。
明らかに通常のものとは違う、巨体。白銀の混じる黒の毛並みは雄々しく逆立ち、並の刀剣程度の攻撃ならば通さぬ程の強靭さを感じさせる。