2024/09/08 のログ
ご案内:「魔族の国・洞窟(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
此方のほうにも一つ住処となる洞穴があると良い。
帝国、王国、そして魔族の国。
あちらこちらへと一つどころにとどまらぬ女鬼。
その人外めいた風貌からまともな塒を求めることはほとんどない。

塒など適当な洞穴で十分。
とはいえ、住むのに十分な物件といえば限られる。
やれ、毒ガスが湧いていたり。
手の施しようのない程に蟲が湧いていたり。
故に"人型"の者が住まう穴ぐらが見つかるのが丁度よい。

中に踏み入り、奪えば良いからだ。

宿儺姫 >  
人のものに比べればおざなりな生活感。
しかしそこに住まう者は人ならざる荒くれもの。

それなりに広い空間、当然住まうものは己よりも遥かに大きな体躯の──悪鬼(オーガ)

人を喰らう鬼、という点では女鬼も然程変わらぬか。

「くく、デカブツめ。此処は我が住まうに丁度良い、退()いてもらうぞ」

言葉を理解する知能はあるのかないのか。
しかし無遠慮に縄張りに踏み入り憮然とした態度をとっている女鬼を敵性存在と判断するにそう時間はかからなかった。

その手に持った野太い棍棒を手に、巨軀のオーガが地響きと共に女鬼へと踏み出す。
女鬼の倍以上はあろうかという上背。
腕も脚も、胴回りにいたっては数倍では効かないだろう。

よく見る種とは肌の色が違う。
上位種か、あるいは特異種か───。

宿儺姫 >  
洞穴の主だろう、燃え盛る様な紅蓮の肌のオーガ。
大きな吠え声をあげ、洞窟内を震動させる程の声量。
さぞ強き雄であろう、と女鬼もまた沸き立つ闘争欲に笑みを浮かべる──が。

ふと、薄汚れた腰巻きを大きく押し上げ露出された巨軀の剛直が目に入る。
どろどろとした濃さを感じさせる先走りを零すそれは熱り立ち、なるほど目の前の鬼を雌として見ていることが在々と理解る。

「──い、いい度胸じゃな…」

さしもの女鬼も、思わず口の端が引き攣る。
しかしすぐにギラリと眼光を迸らせ───

「闘争の前に弱点を晒すとは、な!!!」

鬼が地を蹴り砕き、縄張り争いが始まる───。

宿儺姫 >  
───……

ズ………ン。

仰向けに斃れた紅蓮のオーガ。
幾度も女鬼の拳と蹴りを叩き込まれたその様相といえば、ボロボロといって差し支えない。
真正面からの殴り合いに興じた鬼同士の戦いと言えばそう長くは続かなかったが、女鬼が押し切った形となる。

「ぜぇ、ぜえー…た、タフなヤツめ…!!
 そおら、さっさとでていけ!此処は我の塒となったのだぞ!」

斃れたオーガの尻を思い切り蹴りつけ叩き起こす。
…住処を追われたオーガは文字通り尻を捲り、穴ぐらを追い出されることとなった。

「まったく…あんな大木ぶちこまれては我の腹が爆ぜてしまうわ」

己の腕どころか腿よりも太そうに思えた。
死にはしないだろうがさしもの女鬼とてあんなモノで穿たれるのは御免被る。

疲労感たっぷりの溜息と共に、その場に女鬼もまた仰向けに倒れる。
身体のあちこちに打痕こそ残ろうが、真正面から力のみで打ち勝った。その余韻は悪くない。

「──広くて悪くない場所じゃ。奪った価値がある」

今しばらく、休息が要る…か。

ご案内:「魔族の国・洞窟(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。