2024/05/25 のログ
メイラ・ダンタリオ >  
 戦は始まりではなく半ば
 メイラは、体も精神も満ちている状態で、鎧が引き起こす興奮状態による向上効果
 それに呑まれるように、兜を身に付けたままでは正常か瞳の様子すらわからない。
 長い黒髪が兜の外で伸びている。

 鎧の背から伸びる、平たい両刃の背骨みたいに蠢く剣刃尾が中空で浮いて
 左右に振れるように鋭い空気を出しているのは、無意識化の鎧に呼応した稼働
 まるで獣の尾が悦んで振っているように見えて、周囲に牽制している。
 少しでも見れれば間合いと見慣れ振りむくか
 掴んで牽制しようとするなら、あっという間に攻撃の矛をそちらへと向けるだろう。
 イーヴィア・ヴァルケスの拵えたメイラの鎧は、今獣染みた状態を作り上げていた。


   「縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ら視縲?邇区?縺檎視
    雋エ譁ケ讒倥′縺?↑縺上↑縺」縺ヲ縺九i繧上◆縺上@縺ッ繧ゅ≧縺?k諢丞袖縺後↑縺上↑縺」縺
    縺薙>縺、繧峨r菴募コヲ蛟偵@縺ヲ繧ゑシ√??繧ゅ≧雋エ譁ケ讒倥?菴輔b隍偵a縺ヲ縺ッ縺上□縺輔i縺ェ縺?▲縺」??シっっ!!」


 吠え続けている 喉から来るような唸り声
 でも両手で握り締めて振う巨剣の剣法は間違いなく狂いはなくて、染みついた動作のまま
 でたらめに振いまわしている力任せとは違っているせいで、ちぐはぐな 魔ざり者に相応しいそれを見せていた。
 体格は女の中でデカいだけ 鎧を含めてやっと男に届くかの人間サイズで、巨剣擬きを振るい上げ
 目の前の魔性と繰り広げている鉄の嵐の音。

 両腕を逆薙ぎの剣筋で斬り飛ばした後には、振り切ったまま両足は止まらないように
 兜からは汗か唾液かもわからない透色が流れて出ている
 異形貌を造る兜の乱杭歯の向こうからとめどなく
 そのまま、斬り飛ばした雄魔性に対し体を突貫させると、兜を押し付けるようにして前傾姿勢
 頭突き竜のように頭の掛かり一本で両足を浮かせるように、壁一つに激突させ、臓腑と肋骨
 それが砕け、ミシる音が頭部と首骨からくる骨振動で聞こえる
 更には、それで噴き出た血沫が口元から弾け、メイラの背鎧を濡らしていた。


   「―――■■■■■■ァ゛ァァァッッ!!」


 頭突きで臓腑も骨も砕いて、目の前で首を持ち上げて叫び散らかすそれ
 どっちが魔なのかと言わせるような大げさな動きのまま、剣を引きずり、血に塗れて探し始める
 まだ、メイラの頭の中の脳内麻薬分泌と鎧の興奮作用によるバフ化が収まる気配はない。 

ご案内:「タナール砦(過激描写注意)2」にザイラ・ル・セーチェーニさんが現れました。
ザイラ・ル・セーチェーニ > 果たして、この戦場はいつ頃のものだったか。
 夢のような、思い出のような、ただわかるのは自身は必死だったと言う事。
 必死に戦い、死にゆく仲間を見送り、ただ一人でも仲間を救おうと走り続けたこと。
 そして見る。その狂気を身にも心にも宿す獣の姿。
 いいや違う。あの漆黒の獣は、獣じみた鎧と言うだけであり、その姿は信じられない事に味方であったはず。
 そんな味方が血に塗れながらも敵に向かっている。味方など眼中にないようだった。
 
 「正気ではない、ですか…………」

 だが、味方は味方、こちらの声が届こうが届いてなかろうが、見捨てるワケにはいかない。
 矜持なのか、使命感なのか。わからないけれども…………。
 味方を鼓舞し、そして支援する自らの役割を放棄しては、何のための前進かわからなくなってしまう。
 だから…………。

「あの者に続け!怯んでいる今が好機だ!」

 敵すら怯んでいる、そして味方すらも恐れている。それ即ち…………。
 この戦場の空気を、あの獣鎧が握っていると言う事。
 それを使わない手はなく、だからこそ怒号を叫ぶ。
 そして、翡翠の身の丈以上にある巨大な弓を構えて、大きな杭のような矢を番える。
 ギチギチと太い縄から音が響き…………空気と空間を裂き、その矢があの獣じみた鎧の真上を過ぎ去って。
 
 轟音。矢が届いた先には、血煙となった魔族の雑兵達の姿。
 
「ご無事か!?」

 そう、血塗れで今にも死にそうだと思えるような獣鎧に近づく。
 明らかに正気ではない、だが、しかし、やはり捨て置けないのがこの姫騎士であった。

メイラ・ダンタリオ >  
 雄魔性を頭突き竜のように、前傾姿勢と頭部のみで壁際に押し付けるようにして放った一撃
 それが骨と臓腑を砕いて、背中を濡らさせるようにして尚、メイラは頭部も首も痛めた様子はない。
 もしくは、痛みが、脳内麻薬分泌と身体上昇を促す鎧の呪いによって生まれた軽減か。

 壁際から再び走り込みを決め、巨剣擬きで砦内部よりも、砦の聳える地面での戦闘を続ける最中
 その姿は一個の嵐で、一個の力で、味方は剣の間合いに取り付くことはできない為孤軍奮闘に近くなる。
 次の群れへと、剣撃が数度続いた時、後ろから聞こえたのは兵の一部の静止する声と、強力な風切り音。


   「■■■ッッ!?」


 衝撃 貫き 一閃
 身幅共に巨剣のようなそれを用いて盾に構え、爆風のような衝撃を和らげる。
 背中の二枚翼のような革マントが翻り、バサリと空に撫でられながら傍へ来た姿。
 後ろから聞こえるのは、今の状態のメイラに近づくのは危険だと止めようとする兵の数人の声。

 兜越しにぐるぅりと、その姿を視認するとメイラから発する息荒げな呼吸が兜の中から聞こえる
 これが目の前の相手には聴覚できるはず。
 興奮作用があろうと 目の前の敵を屠る為に色々と投げ捨てたようなザマになろうと
 メイラもまた、斬りかかれるほど 何でも有り ではなかった。


   「―――ザイラ・ル・セーチェーニ。」


 王族に対しフルネーム呼び
 あの者に続けと呼称する辺り、この頃に武勇を鳴らしていた目の前の王族は
 メイラの厄介さも在り方も、認識が薄い。

 ガシャッと兜の上半分がスライドし、赤い曇りガラスのような瞳と黒い髪が見える。
 ギザ歯がまるで磨かれた白いトラバサミのように存在し、瞳を細くして王族を見る。
 顔がややしんどそうにしているのは、精神的に急ブレーキを自己で掛けた反動か。


   「まったく、覚めてしまいましたわ。
    援護には感謝しましょう 王族が射ると周りの士気も跳ね上がりますもの。」


 メイラという力 ザイラという旗の一種
 近くも遠くも強いのがいると知れれば、周りも有象無象とは言えど、魔性を散らした姿
 それもまた、勢いづける一種のステロイドだ。
 だが、あの御方(我が王)以外 皆平等 その精神性を目の前の女ですら崩せない。
 数名の供回りが来ては、ザイラに付くだろうか。
 目の前のメイラの無礼な態度 言葉にしたいことはいくつもあるだろう。
 だが 今はそれどころではなく その程度で覆せるほど、目の前の黒鎧は薄くない。 

ザイラ・ル・セーチェーニ > 付き人が「なんと無礼な!」とでも言いたげに、いや、言おうと口を開くが。
 それを、火薬や魔砲などで若干焼き焦げた跡のある緋色の鎧を着たザイラは手で制す。

「油を売っている暇はないです。口を開く暇があればお前たちも前線に続きなさい」

 普段は礼儀正しく、そしてこのような高圧的な言い方はしない。
 しかしここは戦場。そのような作法を続けられるほど、ザイラは甘くない。
 余裕がないわけではない。より正確に言うと、その余裕を作ったのは目前にいるメイラ。
 ギザギザの、嚙みつかれれば肉に牙が食い込み、決して敵であれば離さないであろうその口を見ながら。
 しかしザイラはまったく意に介さず、むしろその血まみれのメイラへと近づいて。

「隙を作ったのはあなたのおかげです、ダンタリオ家のメイラ。
 話したいことはありますが、その傷ではお辛いでしょう。
 幸い兵たちはあなたの奮闘のおかげで指揮を取り戻しました。
 一度下がり、その失ったと体の穴を塞ぐべきだと私は思います」

 王族である。貴族である。名家である。だがここに王はいない。
 この身は騎士であり、そして戦う者。この弓も斧槍も決して見かけ倒しではない。
 先ほどの射った矢を見れば、虚飾ではないことは明白であろう。
 もっとも、この女にそれを見せつけるつもりもない。
 ただあるのは、この勢いを止めない事と、その勢いを作る彼女を死なせないこと。
 豪勇は聞いた。だが、不死身であるとは聞いていない。

「拒否してまだ戦うのであれば、私も旗を持ちましょう。弓を番えましょう。
 私はあなたほど前線にはまだ身を置いていない。あなたの判断をお聞かせください。
 この戦況、このまま押し切るために全兵士を向かわせるべきか。
 怯み、怖気づいているからこそここで一度引くべきか。
 メイラ、あなたはどう思われますか?」

そう、青い瞳が真っすぐに赤い瞳を射抜く。

メイラ・ダンタリオ >  
   「―――なんですって?」


 空気が一瞬 冷えた。
 メイラは王族や貴族の大半 声豚貴族や高潔さを失った者からは忌み嫌われる。
 王以外への敬意と目上意識が欠け、唯一人に対し全てを捧げているから。
 目の前の白斧の姫騎士は、黒鎧の怪力令嬢へと一度退かないかと進言している。

 多少の傷 多少の疲労 メイラはその認識でも今は鎧による疲労軽減と痛覚鈍伝が効いているのだろう。
 この大業物にできる鎧でも、ぶたれ、地面に叩きつけられたことも零ではない。
 その有様の中で尚大剣を叩きつけ続けているメイラに、一度退く進言。

 赤い瞳が、ギョロリと周囲を見る。
 己に付き従う、狂気が伝染したように回りを滅ぼさんばかりの存在はいる。
 しかし、タナールの現在 防衛か 奪取かはさて置く
 メイラ自身よりも、周囲の様子をうかがうのは選択肢が己ではなく、周囲だからだ。


   「わたくしに対し、そんなふざけたことを言うのは貴女が初めてですわ 姫騎士。」


 敵意無き殺意を浴びせながら、巨剣を担ぐ


   「―――お前達っっ!! 一度撤退なさいっっ!! 損耗がいつもより厳しいですわっっ!!」


 周囲の群れにそう掛ける メイラの凡そ普段出さない声
 今回殺し合いに参加している兵がいつもよりも弱めだったことが原因か。
 ザワリと騒ぐのはありえない言葉に そしてあり得ないこらこそ
 即座に撤退を決め込む周囲。
 バチンッと三つ目兜が降りた。 額紅玉と左右空洞の、女型兜。
 乱杭歯越しで、歯軋りと唸りが聞こえそうな異形めいた造形。


    「アスピダの敵はこの場合、伸びて来るこそは凡そありえませんわ。
     調子づいた馬鹿と今後が続かない限りは。」


 それを知っていての発言だろう しかし、怪力令嬢に退かせたこの王族は
 後々多少噂めくだろう。
 白斧の姫騎士も、周囲に伝達させながら今回 凡そ無きタナールからの撤退線
 これにメイラが含まれているという事態となった。
  
 

ザイラ・ル・セーチェーニ > 冷え込んだ空気、己の放ったそれがメイラの気分を害したのかもしれない。
 だが、事戦闘による経験者は間違いなく自分よりも彼女の方が上。
 戦闘におけるセンスも、勘も、そうあるべく作られた家であるメイラには敵わない。
 たとえこの身を悪魔に捧げたとしてもメイラを上回る強さを手に入れることは叶わぬだろう。
 故に自身に扱えるのは、この血筋。旗本としての役割と、弓によって培った視野の広さ。
 前線でも戦える。後方でも戦える。専ら後方にいる自分だが、指揮の経験は薄い。
 なればこそ、先達である彼女の意見を聞きたかったのだが…………。

「…………」

 大剣担ぎ、ぶつかる殺意。正直、今まで戦ったどんな魔族よりも、人間よりも恐ろしい。
 ここが戦場でなければ失神し、失禁してしまっていてもおかしくはない。
 だがこの戦場の熱が、そして自身が戦場にいるという痛みが逆にザイラをその殺意から守った。
 いや、殺意を受け入れるという勇気を作った。
 ぎょろりと周囲を見た真っ赤な赤眼が、こちらを見て。
 その空気を揺るがす轟音に、ザイラもまた声を張り上げる。

「伝令!退却準備!騎馬隊は殿を務めろ!
 大弓隊!前線の撤退支援!!決して味方には当てるな!
 敵の後方を狙え!第六重装守備隊!撤退する味方を守れ!
 今生きている総員!生きて帰れ!!」

 そう指示を飛ばして、撤退戦を指揮していく。
 勢いづいたからこそ、引くことに対してもすぐに迅速な行動を行えた。
 戦った当初の損害は大きい。しかし撤退に及んだ際の被害は、ほとんどないと言っていい。
 損切り、と言う意味では間違いなくこのタイミングが最上であったのだろう。
 …………夢を見た。ともに戦場を駆けた夢を。



「…………老いましたね、わたくしも…………」

 そう、あの時と変わらぬ彼女を前にして呟く。

メイラ・ダンタリオ >  
 ―――夢を見ていた。
 あの見当違いも甚だしい言いぐさをした白斧の姫騎士
 メイラに撤退線をさせ、第六や弓と共に傍まで近づいてきた敵を屠る役を行う事にすら参加した。
 大将だの、なんだのと勝手に呼ばれるものの、メイラはどこまでも自由な立場でしかない。
 暴れまわり、崩し、罅をいれ、流れを増やし押し広げる。

 だからこそ姫騎士の事も守らず只管に敵を求めた。
 遠くも近くも厄介となった撤退の塊になにもできず、一定距離を置いてあの時のタナール
 それを後々奪い返す際のメイラの憤りと勢いは凄まじかった。
 黒鎧の怪力令嬢と白斧の姫騎士の妙なつながりはそこからだ。
 鍛えた力も斧も弓もあり、戦うという舞台では活躍できる 唯のシンボルではない存在
 そう言った者らは自然と轡を並べる機会が増える。
 全くもって忌々しい過去だった。


   「―――ん。」


 パチリ
 あの頃と変わらない霞仕上げの硝子のような赤い瞳
 白いギザ歯と長い黒髪姿
 カチューシャこそ外しているものの、ふさがった傷と痕はあの頃よりも増え
 既に起きているザイラに対し、無遠慮に くぁ と欠伸をすると
 その特徴的なギザ歯がこじ開けられ、虎鋏のような造形を見せる。
 目の前の存在は黒髪が伸び、むちましい体を見せている。




    ―――“タナール砦 現在 個室の休憩所”―――


 メイラはほぼ裸体姿
 目の前の筋肉がすっかり剥がれている“旧友”の姿を前に、体の感覚を探る。
 凡そ仮眠は熟睡ではなく、ほんの1,2時間か。
 
  
   「あら、ザイラがムチムチしてますわ。」


 あの頃は逞しかったのに、と言ってごろりと仰向けになる。
 両腕にある婀娜花の墨絵刺青が覗いた腕 伸びをすると、モソリと腕のスペースをつくるように
 ザイラの頭を抱いて引き寄せるか。
 深夜の空気 どこまでも静かだ。

ザイラ・ル・セーチェーニ > 深夜、すっかりとこの体はあの頃の影も形もなくなってしまった。
 愚弄されて然るべきだった頃の自分は、今もそうであるのだろうか。
 自分の浅い年月で、結局轡を並べたのはメイラにとってはどれほどの価値があったのだろうか。
 共に戦った。隣だったのか、後方だったのかも思い出せる、タナール砦とはそれほどの激戦区であり。
 だからこそ、このギザ歯の怪物とも言える女性はそこに惹かれるのだろうか。
 この考えすら、今も正しいかはわからなかった。

 ただ、まぁ、褥を共にしているのにわざわざそんなことを考えるのも無粋か。
 長い黒髪に、白髪も混ざってきたころ。裸体の彼女はムチムチとなった自分とは違ってあの頃を保っている。
 いや、むしろさらに頑強になっているのではないかとすら思う。

「ふふ、すっかり恥ずかしい体になってしまいましたね……」

 羨ましそうにメイラを見る。自身には彼女とは違う明確な老いを感じてしまう。
 彼女の言う通り、以前よりもだらしのない体になっている自分が恥ずかしい。
 しかし、あの頃のように戦場を駆け回ることはもう出来ない。
 まだ弓も引けるし、斧槍も振るえるが、それもいつまで持つか。

「鍛え直した方がいいんでしょうかね……」

 老いを言い訳にしていると言われればそれまでと自分でも思う。
 スペースを作った彼女の腕に、自らの頭を、そして脇に宝満な胸を当てる。
 厚みのある、非常に大きくなったもの。前と比べたら、張りが緩くなって垂れ気味であった。
 抱き寄せられれば、互いの黒髪の香りと、青と赤の瞳が交差するだろう。
 メイラの腕の刺青を、そっとなぞりながら。

「眠れませんか?」

 そう、見上げながら問いかける。

メイラ・ダンタリオ >  
 此処に現在、白斧の姫騎士がいる
 それに違和感を抱く者は少ない
 なぜならメイラを撤退させた逸話は健在であり、今では滅多にないであろう轡を並べた過去
 そして現在も振るえる結果が、タナールに補給部隊と共に王族として鼓舞をしに来たようなもの

 二児と夫がいる身でやってくる異例
 それができるのは過去の実績とメイラがいるという結果
 だが夫の裏切りとは呼べぬそれと、戦場での高ぶり消えないメイラの体が
 何の因果かこうして事を一度済ませて仮眠をとった後となっている。

 周囲を確認するメイラの状態に、傍で柔らかい体を押し付けるザイラ
 無意識か、持て余した乾きを癒して女を取り戻したが故か、男を擽る仕草だ。
 メイラはと言えば、それは当たり前のことで癖のせいか、貴族用 もしくは個室を与えられて当然な二人
 シンとしている中を確認し、やっと躰の力を抜いた様子。


   「別に、どっちの貴女も好きですわよ。
    最初出会った頃の夢を見ていたせいか、おっぱいとお尻が目立ったなと思っただけですわ。」


 令嬢口調に反した、魔性の若々しさと戦時の体を維持したそれ
 40近い体が尚、より色香を漂わせているザイラにとってそれは羨み
 夫と求める機会が途絶えている乾いた体の熱は逆に乾いているから冷められず
 だからこそ、まだ消えていない体の強さが閨に使われている。


   「まぁ否定してあげるより、示すほうがいいでしょう。」


 そう言って、カチューシャ 白いいつも身に付ける装飾品で、前髪事後ろへ抑える。
 髪型を手櫛で整えると、胸元まで掛けていたシーツ 掃われることもないまま
 躰の位置を変えて上のほうに陣取ろうか。


   「髪がなんだと 躰がどうだと 齢がこうだと、言えなくしてあげますわ。」


 白いギザ歯 苺色の舌 覗かせる霞瞳
 メイラは妖艶な笑みを返して、鼻先をちょんとお互い付ける位置で、両足開かせた腰
 朝立ち同然に起立している雌の肉棒 それを未だ乾いていない中に押し当てる
 それも当然か 不義同然に中に残した塊がまだたくさん残ったままだ。


   「ほら―――貴女を前にしてこんなにも、硬いと言わせますわよ。」


 腰をゆっくりと進めると、膨らんでいた白いシルエットが沈んでいく。
 がっちりと腰を力強く押し付け、付け根まで全身埋め込んで、腹部の筋肉が無い分だけ
 ねっとり柔らかく感じる出産経験のある膣内の中。
 其処に躊躇いなく子宮口まで亀頭を押し付け、示すように腰を小さく左右に揺らすと
 中で擦れる亀頭と膨らみ 力強さと熱が、求めてやまなかった乾きが潤んでいるザイラを犯す。 

ザイラ・ル・セーチェーニ > 伽を共にすること、最初はどうなのかという気持ちはある。
 だが、それでもやはり熱は消えない物。戦うと言う意味でも、それ以外の意味でも。
 覚えてしまった熱は、決して忘れられない。それがザイラという女であった。
 体で覚え、知識で覚え、何でも覚えようとする努力家な面がそうさせてしまった。

「子を産むために、栄養は必須でしたからね。ついつい食べ過ぎてしまった……」

 しかしまぁ、醜いと言うほどではない。むしろ色香をまとうその姿は誰にとっても垂唾物だろう。
 戦場から帰って、昂ぶり冷めぬ彼女の相手を出来るのはそうはいない。
 夫は自身を労わってくれているが、もう自分は現役ではないと言われているようで。
 それが悲しくて、こんなことをしてしまっている。

「あら……寝ていたと思ったら、もうこんなになってしまうのですね」

 すっかり肉のついた太ももが彼女の腕によって開かれる。
 それでも、贅肉と言えるような肉はまだギリギリ……目立ってはいない。
 戦場で多少なりとも焼けていた肌は、今では王城暮らしで白い肌へとなっていた。
 よくよく見れば傷跡もあれど、それでも目立たなくなってくるぐらいには癒えており。
 その傷跡を見ることが出来るのは、ザイラが傷つく姿を見たことがあるからこそやもしれず。

「えぇ……とても、硬くて、素敵です……♥」

 熱っぽい視線。目と鼻の先にある、その美しくも恐ろしい笑みを浮かべる彼女を見上げて。
 「ふーっ♥ふーっ♥」と、獣のような、隠そうとしているが全くできていない熱い息。
 両腕はシーツを掴み、今か今かとその瞬間を待ち侘びているように秘部がヒクつく。
 鼻先にその息を吐いていれば、とろりと自らの内側にある彼女の種を零す。
 熱も潤いも冷めきらぬ、無毛の秘部へとメイラの肉棒が宛がわれれば。
 じっ、と熱っぽく見上げていたザイラの唇が僅かに浮き。

「ん”っ……お、奥に……はいって、きまさい……たぁ……♥」

 埋め込まれる肉棒の熱と圧、それを受けて、ぎゅうとシーツを強く握り込む。
 ゆっくりと埋め込まれていくその肉棒へと、色づいて包み込むように襞が集う。
 優しく受け入れるような、熱くトロトロの愛液がまとわりつき、肉棒を楽しませて。
 柔らかな身体がメイラを受け入れ、最奥に鈴口がたどり着く。
 そこから、深く子宮口へとキスする彼女の肉棒接吻に体を小刻みに震わせる。

「くっ、ぉ”~……っ♥ 中に、残った子種がっ……♥ あ、溢れちゃい、ますぅ……♥」

 かち、かち、とその左右の揺れに奥歯を噛み、熱と快楽を享受する。
 そうして、半開きになった唇を見せながら、メイラの苺色の舌へ、ザイラは桜色の舌を伸ばした・

メイラ・ダンタリオ >  
 仮にも戦場 仮にも今も息づく眠っているだけの砦。
 兵らはストレスを発散するために、現実を忘れるように敵も魔性といえど勃つなら犯す
 そんな場所で、この二人は褥と友好を温める為だけに勃起させ、濡らして、抱き合っている。
 過去から現在まで、経験から基づく怯えと萎えがない。
 だから、体こんなにもお互い、起き上がると熱くなっている。

 服に包まれているときとは違い、露出した肌から発する熱はシーツの中で増え
 この時期、生ぬるいどころか、暑い位に感じてしまうかもしれない。
 特に、目の前の柔らかく変わってしまったザイラよりも、メイラの筋質のほうがそうさせるのか。
 筋肉もソフトな部位も併せ持つメイラの体
 前髪を後ろに回したカチューシャ・ヘアは、何も隠さずお互いを映して、奥まで入り込んだ。

 息づく声は、もう不義も夫への躊躇いもない
 奥までぎっちりと埋め込まれた肉棒の反り返りを包み、締め付けることで全体的に感じ取っている。
 出産を終えても、やはり普通の女とは違い、腹部から締め上げる力がまだ備わっていて、ねっとり絡んで
 狭くて押し出すよりも、吸い込んで咥えこむような力具合。
 濁音混じりの小さな声 耐えているのは、この不義をアピールするように、痴女の様に声を出すわけにはいかないからか
 それを示すように舌を伸ばしてくる。
 メイラは瞳を細めて笑みを浮かべる 嗚呼、敢えてこちらからはしないであげたのに、と言いたげに。


   「 ほら シーィ…、…―――ん、む。」


 小さな鼻息に抑えて、唇を覆うと、お互いに抱きしめ直す。
 肘で空間を作るようにして、腰はべったりと押し付けて、真上から見れば、やや傾け合った貌
 唇を開けたまま結びあい、舌がくちりと絡み合う。
 腰は控えめ 小さな奥突きで、膣内よりも固い奥の窄まりを感じるように 小突いて擦って
 溢れる熱液と結合部がべっとりと粘りつくのを感じ取る。

 くち、くち、と互いの舌を表面のざらつきも、裏側の滑らかな部位も、ひとしきり楽しむと
 舌をゆっくりひっこめた。 でも、まだ唇は重なり合ったまま。
 舌だけ気遣うように納めて、まだ伸びるようなら舌先で ぐぅ、と押し込んで畳ませる。
 
 だから今から、強く動き始める。


   「―――っ♡ ―――っっ」


 声なき声 小さな篭り
 喘ぎ声が出ても、口の中で食べてしまう。
 声を食べながら、耳奥まで振動する声に、興奮は高ぶり、熟女の求めてやまない欲求不満
 それにこたえるように、未だ齢を重ねても若々しい体
 正常位での腰の動きは真っ直ぐ奥まで貫く、半ば近くまで抜いて奥まで叩きつけるピストン。
 肉音と粘音が、シーツの中で小さく聞こえながら、男の硬い存在感だけはありありと伝えて。


 

ザイラ・ル・セーチェーニ > 目を瞑り、その男の存在感を感じる。
 顔を真っすぐではなく、傾け合う事でより唇を密着させる行為。
 そうすることでより音を殺し、そしてより深くまで繋がり合う。
 熱くなった体をさらに熱くさせ、この気温の中でさらに体温を上げていく行為。
 だがそれを止めることは出来ない、冷めやらぬ熱を、かき消すことはザイラには出来なかった。

 奥まで入り込めば、最奥の肉天井を肉棒が突っつく。
 そのたびに、小さな嬌声が互いの口の中で響き、そして殺されていく。
 両足を大きく開き、伸ばす。より楽な姿勢を自身は選び、彼女の事を受け入れていた。
 右腕を彼女のうなじに回して抱き、左腕を彼女の背中に回して抱く。
 求め合う事に、なんの躊躇もない。シーツの中の熱がさらに高まっていくのを感じた。

「んっ……♥ ……ふ……♥」

 息を殺した嬌声は、外に届くことはなく。必死になっているのは感じていることか、息を殺すことか。
 肉厚な舌が蛞蝓のように口の中で絡まったと思えば、引っ込んでいくその舌。
 求めようとさらに舌を伸ばすと、それを強く押し返されて。
 どうしたのだろう、と疑問が浮かぶ前に―――奥に叩きつけられる。

「っっ――――♥♥ っ~~~~!♥」

 声が殺され、始まった、今までの長いピストンではなく、短く断続的に穿たれるピストン。
 ぎっ、とベッドがその動きの度に揺れ、最奥を何度も叩かれる。
 メイラを抱きしめる腕の力が強まり、流れる快楽を受け堪える姿勢を作る。
 声を殺し、両足が彼女の腰へと回されて。全身がそのピストンで動かされるたびに、足指が曲がり、ピン立ちして。
 微かな快楽だけでも体は逃そうと、いや、あるいはさらなる快楽を貪ろうとしている。

「はっ……♥ っ―――♥ っぁっ……♥」

 メイラと違い、枕に広がった黒髪の持ち主であるザイラ。
 その胸と額に玉のような汗を浮かばせて、彼女の動きに合わせるように両足に力が入る。
 ピストンに合わせて微かに腰を動かし、より最奥への衝撃を強くさせていた。
 そうすることで、より強く、最奥に当たった際の肉棒への刺激も強まる。
 そうでなくても、自らこうして動き出す熟女に、興奮を覚えない者はいるのだろうか。

メイラ・ダンタリオ >  
 始まった深夜の再動
 広がった そして少し踏まれる背の髪
 けれどもシーツで滑りながら、痛みもせずただ乱れていく。
 メイラの黒髪は、背中と残りが左右に分けられながら
 ああでも、お互いの事を隠すことはできない。
 前髪を抑え込んだ露わな額 お互いの貌すらくすぐらせずに、真横から見てもわかる不貞の印。
 熱烈に絡めた後は、離れることすら選択せず、吸い合い、鼻息でくすぐる恥ずかしさも忘れて
 薄く開いてもそれは息継ぎ。 また塞ぎ直し、最も密着できる位置を探るように吸い合う唇の食み合いまで見える。

 上からも、横からも、それが後ろからだって、篭った声 塞がれた媚鳴
 それだけで二人が何をしているのか察せれる絡み合いになっている。
 シーツの両手は、汗ばむ熱い体を覆うように、髪裏のうなじと背中に、それが強く
 あの頃より強く無くても、未だ強い手でグッと抱きしめられてもビクともしない。

 ぢゅぅっと吸う音と共に、鼻息が途切れ途切れのリズムで、何度もメイラが前後運動
 それを受け止めるザイラは、両足すらピンと伸ばすどこか、シーツがまだ取れないまま中で絡み合わせて
 そのシルエット 浮き上がる両足が腰に絡みつく造形は厭らしくて卑猥。
 声を食べられながら、肉棒を受け止める貌をメイラは赤い瞳が細く開いたまま見つめる。

 膣内が熱い まるで茹でたかのように出来上がっている。
 自分から腰を小さく動かし、リズムに合わせて奥を求める様子に、力を強めた。
 まだ物足りないのかと、そう言いたげに。


   ―――ごっぢゅっ♡

   ―――ゴ リィッ♡


 腰の音を控えていた動きが、奥に伸ばすように変わる。
 激しい肉音突きではなく、奥に腰を押し込む先を伸ばすようにして、来る力が伸びる。
 それは、ザイラに悲鳴に近い声 食べて、呑みこんで、また塞ぎ直して。
 両肘で浮かせた躰 空いた手で脇から肩を包んだ。

 もう、ザイラは逃げられない。


   「―――ん゛っぅ゛!」


 伸ばした強さのまま、動くが早くなると、子宮口にめり込む亀頭
 鈴口は向こう側を覗き込み、まるで射精種付けする為のように亀頭は役割を果たそうと、張りと反り返りが増している。
 膣内のうねる道を、肉棒が真っ直ぐに強引に形をつけ、奥さえ緩ませて、もう残っている精液はない。
 熱液と掻きだすような強ピストンのせいで、すっかり透明なものが溢れている。
 それを続けながら、シーツの中で聞こえる音が、布交じりに篭って増し始める。
 バサバサと布も動き交じりに、内腿に伝わる強さが鈍く聞こえながら、背中が爪を感じようと
 構わないように追い込んでいき。唇が薄く取れる。


   「   ♡」


 二人だけに聞こえる声 小さな、吐息交じり
 この不貞の先 このまましてしまうのか、それとも、外に出してしまうのか。
 キスと同じで選ばせるよう。 最も、腰の絡みつく欲する強さが、解かれない限り
 どちらの答えでも、決まっているけれど。

ザイラ・ル・セーチェーニ > 最奥にねじ込まれた瞬間、瞼が大きく見開かれ、全身が震える。
 この瞬間だけはどうしても慣れない、その衝撃は、脳が真っ白になりそうなほど。
 シーツは互いの汗ですっかりべたつき、しっとりと互いの肌に張り付いてしまって。
 そんなこともお構いなしの、彼女の強引な、子宮へのディープキスを受け入れて。

「っっ!!!~~~~~~~~!!!!」

 声にならない悲鳴、全身を掴まれ、彼女から逃げる手段を熟女は失った。
 互いの身長はほぼ一緒、しかし力はもう、全盛期ですらないザイラに抗う術はなく。
 半ば白目をむきかけけている瞳が、貌を見つめるメイラの視界に映るだろう。
 しかし、寸でのところで留まり、その瞳を改めて赤い瞳へと向ける。

「 ~~~~♥ っ……」

 その意図に気付くか、一瞬、足の絡みが解けかけるが―――。
 すぐに、その足を強くメイラの腰、どころか大きく伸ばして、半ば背中まで絡ませる。
 両腕と、両足による密着、彼女のその行為に、望むところだと言わんばかり。
 反り返る肉棒がより内側を強く擦り、竿全体に先ほどまでの比ではない刺激が起こるだろう。
 亀頭は子宮から溢れる白濁の本気汁でより滑りを強くさせ、スムーズにピストンをさせ、射精を促す。
 いつでも、そして絶対に、その中で果てさせる姿勢であった。

「っ♥ っ♥ っっ♥ ♥♥♥」

 何も言わない、嬌声だけが口腔に響き合う。
 何も言わずとも、その視線の力強さだけは、感じ取れたことだろう。

メイラ・ダンタリオ >  
 ふくよかな体と乱れる素振り
 声を必死に我慢して、お互い聞きたいのにこの密室になりきれない閨擬きの中
 疲れた躰を休める場所で、次の控えているかもしれない場所を前に爛れた空気。

 それでも振れるのだろう体は、加減もなにもなく
 老いて自信が薄れた下半身の機嫌を伺う中年のようにではなく、声を押し殺して攻める不義に身を費やす。
 躰は、一度緩まりかけて、けれどももう一度出された身 今より奥に注がれてしまうかもしれないのに
 もし孕んでしまったらと思うと この強い体では侵されてしまうかもしれないのにと
 そう頭はよぎるはずなのに、望むところと言わんばかりに、瞳は潤んで、お互いの唇ですら
 もう柔らかさと、一番いい角度を覚えてしまっている。


   「―――そぅ。」


 メイラは、妖艶な笑みのまま、止めることもなく勢いが増した。
 ここまでくると、もう自分の射精を促すための動きのよう
 膣内の柔身と吸い込むような締め付け 躰を押さえつけんばかりに絡みついてくるホールド。
 躰を押さえつけているから、奥まで延びるようなピストンを全て逃がさず受け止めてしまうザイラ。
 乳房同士で擦り合う汗と、先端が硬くなる部位が存在感を知らせ合いながら、密な音を立てている。
 二人は、唇も下半身も、殆ど離れることがないまま、寝起きとは思えないような行為の果てに
 最後は奥まで押し込むように、肩を掴む手と腰が弾き合わせて、とうとう先端が子宮飲み込まれる。
 濁音混じりの声、白目がかる瞳 それを見ながら、力み、声が息苦し気にメイラも達する声を出そうか。


   「ふ、ぐ、~~~っっっ♥」


 ピストンが止んだ、奥までグイグイと押し込まれたまま、竿が膨らみ、亀頭の先から迸る少し溶かした糊みたいな精液
 それが流し込まれ始め、ぐつぐつに煮えたぎったものは、先走りに滑らされて包まれ、中に何度も勢いづいて
 子宮の中で“ダマ”を幾つも壁際に当てて堕としこんでいく。
 腰が、全身がブルッブルッと震えながら、薄くギザを開いた口元と蕩けた霞瞳
 長い射精が終わっても、まだ残りを搾り取るように、子宮口に咥えこませたまま腰を動かして中に零していくだろうか。
 

ザイラ・ル・セーチェーニ > 爛れ合い、求め合い、次の時間など考えていられない。
 行為の最中に、余計な思考などいらない。必要なのはどれほどまで行為に集中できるか。
 不義と罵られようと、それでも自身は求めてしまう。
 この燻りを燃え上がらせ、ほんの少しだけの休息を得るために。
 結局、この行為が終わって満足しても、しばらくすればまた熱は戻ってしまうのだから。

「くぅ…♥♥」

 悲鳴のような声と共に、勢いが増したその動きを受け止める。
 激しく、互いの胸が擦れ合い、そして密着し、心臓の鼓動すら感じられるほど。
 その衝撃を、その快楽を、余さず受け止めようとする熟女の浅ましさ。
 これが自分なのだと言わんばかりに、肉棒を締め付け、達する瞬間を待ち望む。
 瞬間、最奥はじけた、彼女の熱を―――

「ん”っ~~~~~~~~~~!!♥♥」

 ガチガチと奥歯を揺らして、その衝撃を口に出さぬように声を殺す。
 がくがくと全身が弓なりに暴れそうになるが、それを捕まえている彼女が許さない。
 まるで陸に上げられた魚のように全身をしならせようとするが、体重をかけたメイラに駄肉つきはじめたザイラが逃れることはできず。
 なんとも無様な、半白目剥いて、中に放たれた”ダマ”がヘバりついていくのを感じる。
 足指が何度も、丸まってはピン立ちして、その快楽の激しさを物語っていた。
 全身に汗浮かび、すべてが終えれば、微かに動く腕で自らの額をザイラは拭う。

「…………昂ぶりを、私は鎮める事は出来ましたでしょうか?」

 そう、先ほどの色に狂った熟女はそこにはなく。
 慈愛の笑みを浮かべた、一人の女へと戻っていた。

メイラ・ダンタリオ >  
 フリではない足の張りつめ具合と、最後の中イキの声。
 達した際の声の濁音混じりは相変わらず食べられてしまいながら
 唇も離れた隠れた不義不貞 夫がどう思っているかも知らぬまま
 お互い 横恋慕や寝取りとも違い、ただ行為だけ没頭した果て。

 唇が離れ、舌も唾液もすっかり覚えてしまったせいか
 離れると存在感を失った唇の妙な寂しさ、空虚感。
 互いに汗が滴り、シーツ一枚の中が異様に暑い。
 まだ、奥まで咥えこんだままの姿で、暑さからカチューシャを外してしまうと
 前髪の乱れ具合 額に張り付く髪 先ほどよりも情事の跡が濃くなり、色艶に映るメイラ。

 ザイラも、行為を終えて熱量に、その額を拭いながらまだ密着に重なり合うまま
 その瞳は熱と情欲から解放されて、達した後の憑き物が落ちたような表情でメイラを見上げ、目が合う。
 笑みを浮かべる素振りと声に、メイラは即答せず少し考えるよう。


   「んー…、…逆に聞くことになってしまいますけれど。」


 悪戯めいた笑み クスりとしながら、髪が降りた妖艶な笑みとギザ歯が覗く唇
 動く声はまだ艶めかしく、前髪はこしょりとザイラの額をくすぐる。


   「貴女はこんないやらしい体で、一度で鎮めきれたと御思いですの?」


 この、わたくしの体で?

 そう付け加えるのは、一度で満足やヘバることがないと知れている体のせいか。
 クスクスと笑みながら、唇を塞いで、少しの間だけ舌をまたお互い混ぜ始める。
 舌先が舐め合いながら、吸い合って、抱きしめ直しながら、吸う音が離れる際、小さく卑猥にとれる。
 最後に小さく出した舌先で舌なめずりして見せるそれは、本当に鎮めきれていない熱を帯びた瞳。


   「ふふっ。」


 答えを聞くのを待つ素振りのまま、中のものも萎えていない。


   「ねぇ、どうなんですの?」


 

ザイラ・ル・セーチェーニ > カチューシャを外して、自身よりも若々しいその黒髪を見上げる。
 ベッドの中、女体たちは未だ密着したまま、乳を重ね合わせながら。
 互いに達したが故の、全身に浮かぶ汗は筆舌しがたいほどに流されており。
 就寝前に一度体を拭いたのに、結局またこうなってしまった。
 悪戯めいたその顔に、こちらも薄く笑う。

「そう来なくっちゃ、ね…♥」

 ふふふ、と互いに笑い合う。体の火照りは、未だ冷めない。
 明日のことなどどうでもいい。今どこまで気持ちよくなれるか。
 それだけを追求すればいいのだ。

「じゃあ、まだまだ……爛れましょう…メイラ♥」

ご案内:「タナール砦(過激描写注意)2」からザイラ・ル・セーチェーニさんが去りました。
ご案内:「タナール砦(過激描写注意)2」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。