2024/02/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区(過激描写注意)2」に真白さんが現れました。
■真白 >
標的へと襲い掛かる彼女。
静かに音もなく、しかし確実に標的へ迫る暗殺者。
それは彼女だけではなかった。
標的に背後から迫る彼女の更に背後。
闇に溶け込む白い影、その双眸が闇に青い軌跡を描く。
通りを横切る様に跳ねた身体から僅かに遅れ、白刃が彼女の高さで横薙ぎに振るわれる。
彼女自身の殺気に紛れ込ませた僅かな殺気を捉えられなければ、刃は確実に首を両断するだろう。
■ルカイヤ > 「…ッ!?」
背後からの微かな気配にルカイヤは咄嗟に振り向くと、愛刀で刃を受け止める。
その金属音に標的が気付き、走って逃げだすのを横目で見ながら、ルカイヤは舌打ちした。
「ちっ…護衛ですか、小賢しい…。」
己を襲撃してきた存在に目を向ける。
かなり小さい。見るからに子供だ。
しかし、その魔力の気配は人間らしくない。
「生意気なガキですね。魔族だからと言って容赦はしませんよ?」
改めてヤタガン刀を構えなおすと、ルカイヤは少女に向け踏み込む。
腕も足もこちらが長く、リーチは全て上。
しなやかな腕の動きから繰り出される獰猛な刃が、少女を狙う。
■真白 >
こちらの攻撃を刀で受けられれば、「刀を振り抜く動き」から「押して自身を弾き飛ばす動き」に切り替える。
地に足を付けないまま刀で刀を足場に跳ぶように跳ね、空中をくるくると回転し、着地。
「護衛じゃない」
彼女の言葉を否定。
左手で鞘を持ち、右手で刀を持つ。
どちらを持つ手もだらりと下げ、自然体のまま。
構えらしい構えではない。
こちらに迫る彼女を、やはり棒立ちのまま見据え、
「あなたを殺しに来た」
刃が届く直前、ふ、と姿が消える。
勿論物理的に消えたわけではない。
ただ異常な初速で横へ跳ねただけだ。
正確には、速度自体はそこまででもないが、「初速」としては異常に早い。
更に動き出す直前、逆方向にフェイントも入れて。
並の相手であれば、消えたようにしか思えないだろう。
路地の壁を更に蹴り、身体を回転させながら、全体重を叩き付けるような斬撃を、やはり彼女の首へ。
■ルカイヤ > 目の前から、少女の姿が消え去る。
いや、並の人間であれば消え去ったようにしか見えないだろうが、
魔族の動体視力は辛うじて彼女の動きを追えていた。
「くっ…!」
咄嗟に頭を下げれば、紙一重で頭の上を斬撃が通過する。
そのまま地面を蹴って一旦彼女から距離を取る。
「殺しに…舐められたものですね。このサーペント・カバルのルカイヤが。」
少女の言葉は傲慢な魔族のプライドに傷を付けたらしい。
ルカイヤは彼女を睨みつけながら、刃を構える。
「こちらに何の得もありませんがいいでしょう…全身切り刻んで、嫌というほど後悔させてあげますよ?」
ルカイヤの姿が背景に溶け込むように消える。
屍食鬼の保護色は、夜の闇の中ではより一層効果を発揮する。
完全に気配を殺し、路地裏に静けさが広がる。
■真白 >
振り抜いた刀は、今度は何も捉えなかった。
勢いのまま着地し、そのまま靴底が地面を滑る。
「知らない。殺せって言われたから殺す」
彼女がどこの誰かは知らない。
ただ殺してこいと言われたから殺すだけだ。
物理が通じないならともかく、斬って殺せるなら殺せるのだ。
ぶん、と一度刀を振り、今度は低い姿勢で突っ込む。
地面を舐めるような低姿勢で彼女へ迫り、
「――っ」
彼女の姿が消える。
いや、見えにくくなったのか。
横薙ぎに刀を振るうが、再び空を切る。
それでも多少は夜目が効く。
くっきり見えるわけではないが、なんとなくでも場所はわかる。
急激な加減速と方向転換をランダムに繰り返しながらぼんやりと見える彼女を追いかけ、刀を大きく、しかし鋭く振っていく。
■ルカイヤ > 並の人間なら騙し切る擬態だが、この少女はそれでも追えるようだ。
大雑把ながら、こちらがいる方に向かい刃を振るってくる。
しかし、狙いは正確ではない。ルカイヤは軽々とかわしながら隙を伺う。
「なるほど、多少は目がいいようですね?」
しかし、所詮は視界に依存しているようだ。
未だ刃はルカイヤにかすりもしない。
「ですが…所詮ガキはガキっ!!」
ルカイヤは一気に距離を詰める。
そして、少女の振るう刀を己の刃で受け止めながら、強烈な足蹴りを繰り出す。
手足のリーチ差を活かした体術。薙ぐような蹴りが、少女の脇腹を狙う。
■真白 >
やはり大まかにしか見えていない状態では当たらない。
ち、と小さく舌打ち。
「っ!」
何度目かの攻撃で、ガキン、と金属音。
同時にうっすらと見える影が攻撃を繰り出してくるのが見えた。
咄嗟にその軌道に鞘を割りこませるが、体格差は歴然。
衝撃を殺しきれるはずもなく、軽々と吹っ飛ばされる。
「ぅ、――く……」
身体が地面を転がり、止まる。
腕が痺れて、すぐには立ち上がれないが、どうにか起き上がって。
「、――」
その身体から、存在感が薄れていく。
彼女のような迷彩的なものではない。
存在感そのものが空虚になった様な、凝視していなければあっさり見失ってしまいそうな存在感の無さ。
『存在希釈』。
世界から自分の存在を薄めていく。
その状態から、走る。
速度だけではなく、存在感も含めたその緩急は先ほどの比ではない。
棒立ちの相手がいきなりトップスピードで突っ込んでくるようなものだ。
その体感速度から攻撃範囲の広い横薙ぎを繰り出す。
■ルカイヤ > 「やっぱり子供はよく飛びますねぇ?にしても…無駄に頑丈ですね。」
嘲るようなにやにや笑いを浮かべながらルカイヤは言う。
屍食鬼の全力の蹴りは無防備な人間程度ならそれだけで殺せるもの。
少女の頑丈さはなるほどやはり魔族らしい。
「起き上がりますか?根性ありますねぇ?もう少しおねんねしていて…も……?」
しかし、慢心もそこまでであった。
少女が起き上がったところまでは、ルカイヤは見えていた。
だが、不意に彼女の眼は少女の姿を見失った。
そして次の瞬間には、少女は目の前にいた。
「え……?」
彼女の横薙ぎの刃が、ルカイヤの腹を切り裂く。
致命傷にならずとも流れ出る血が、その位置をはっきりと示す。
■真白 >
「――見えた」
どうやら彼女の気配遮断は、流れた血には効果が無いらしい。
であれば刃は届く。
刃が届くなら、斬れる。
斬れば殺せる。
刀を振った勢いを殺すことなく向きを変え、今度は逆方向へ刀を振るう。
血の流れる場所から上、首のあたりを狙って。
当たれば今度こそ、首が飛ぶ。
■ルカイヤ > ルカイヤの保護色が解け、その褐色の身体が露になる。
そして、信じられないとばかりに目を見開きながら身体から切り離された首も。
一寸置いた後、彼女の首の切断面からは盛大に血が吹き出る。
ばしゃばしゃと血が零れるしぶきの音に混じり、首が転げ落ちる音。
それを合図にするようにルカイヤの身体はぐらりと傾くと、後ろに大の字に倒れ込む。
再び路地裏に静寂が戻る…。
■真白 >
血がまき散らされる前に、彼女の身体を蹴っ飛ばす。
非力な蹴りでも、その身体を後ろへ倒すことぐらいはできるだろう。
吹き出る血を被ることなく、血振るいで刀から血を振り飛ばす。
「っ――は、ぁ」
そのまま納刀。
蹴られた左腕の痛みに顔を歪める。
骨にヒビぐらいは入ったかもしれない。
数度の深呼吸の後、くるりと反転。
歩き去る足音は夜の路地裏には響かず、やがてその白い姿も闇に溶けて――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区(過激描写注意)2」からルカイヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区(過激描写注意)2」から真白さんが去りました。