2023/11/24 のログ
ご案内:「魔族の国・荒野(過激描写注意)」に天ツ鬼さんが現れました。
■天ツ鬼 >
「─────!!!!!」
日が陰りはじめた頃
タナール砦より早馬で数刻
魔族の集落を越えた先の荒野にて
巨躯の魔獣の咆哮が喧しく響く
そして、それに混じるは女鬼の狂笑
自身の体躯の雄に数倍はあるだろう、角と鱗に覆われた獣を相手取り、真正面から嗤いながら殴り合っていた
■天ツ鬼 >
魔獣の牙が圧し折れ、鱗が引き裂かれる
咆哮と血飛沫をあげながら双方は一歩も引かず互いの殴打、互いの爪撃を繰り返していた
如何ほどの時間が経ったか
とどめの一撃となる女鬼の一撃が魔獣の遥か大きな心臓を貫き、爆ぜさせる
絶命の声が天を衝き、巨躯の魔獣はぐらりと揺れて、地響きと共に大地へと倒れ伏した
「──くくッ、如何な名ある獣が知らぬが、心の臓を抉られては溜まるまい!」
心臓を貫き潰した右腕を引き抜き、ベトついた赤黒い血を振り払うように腕を振る
しかし勝ち誇る女鬼もまたぐらりと膝を揺らし、崩折れる
舞い上がっていた血飛沫は獣のものだけというわけでもない、女鬼もまたボロボロになりながら只管に獣と殴り合っていたらしい
「ぜー、ぜーっ…しっかし強靭な……ここらの主か何かじゃったか…?」
劣勢となって逃げもしないあたり、誇り高さすらもあったか
結局魔獣の死を以て、決着はなされたが……
「…呵呵、当面の食料には困らんな」
とりあえず身体を休めるか、と血溜まりの中へとどかりと胡座をかき、座り込む…
死ぬほど疲れた
■天ツ鬼 >
女鬼も大概全身を怪我しているが、この程度ならば休めば回復する
むしろこの程度は女鬼にとっては怪我の内にも入らない
過去、首を落とされた時は流石に死ぬかと想ったがそれもくっつけておいたら治ったものだ
「唖々、しかし堪らんなこの国は。野の獣ですらこの強さか」
同族…鬼の雄でも手を焼くだろうモンスターがうろうろしている
故郷の山も大概だったが、此処はまた一味違う
悪仙どもの術とはまた違った、マホウとかいうものを使う獣すらも見たことがある
──それらを統べる王、魔王となればその力量は…想像すればするほど女鬼の闘争欲求は沸き立ってゆく
過去邂逅したいずれかの魔王には手ひどい目に合わされたこともあったが、今は全盛期の肉体を取り戻している故に
本来あった邪悪な側面…やや残虐な気性と共に、この地のいずれかを荒らしてやろうかという魂胆すらもそこにあり…
■天ツ鬼 >
──思えばこの国にやってきてから出会った同族といえば、殊の外平和的な者が多かった
屈強な体躯、圧倒的な剛力を持っていても、少なくとも理性的…人間を意識的に害そうという鬼は見ていない
八卦山とシェンヤンのことを考えれば、人間との争いを嫌うものが流れてきていてもおかしくはないが…
それはそれとして、やや寂しいものもある。喧嘩相手くらいは欲しいものだ
それに…一匹くらい人を喰らう悪鬼として暴れていても良いのではないか───
そんなくだらないことを考えていると、漸く全身の擦傷から血が止まる。想ったよりもダメージは深かった
まだあちこちに赤黒い痣を残す身体をやれやれと起こし、あえて使っていなかった、荒れ地に突き立てた大鉈を手にする
魔獣の牙、角、皮、鱗は売り物になる
肉と臓器は…当面の食料となってもらうか