2025/03/09 のログ
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ご案内:「貧民地区のある酒場(過激描写注意)」にTDさんが現れました。
TD > 「さて。ゲームをしよう」

一人の老齢の竜が酒場の一角に陣取っている。治安が良いとは到底に言えないスラム区画。更に言うなれば、竜の目の前には大量の酒のボトルも同時に陳列されていた。ボトルは全て透明度の欠片も無く、緑に着色されたガラス製のものであるものと思って欲しい。
加えて付け足すべき情報としては、同時にボトルに取り巻かれるようにして小さなデッサン人形も立たされていた。人体の五体と関節骨格を簡素に模し、没個性的にウィッグはおろか目鼻顔立ちすらも定かではのっぺらぼうの造形となっている。

「君には此処に陳列されている酒瓶が見えている筈だ。どの酒瓶の中身にも当然ながらと言うべきか酒が詰まっている。しかしながらその酒精の種類に関しては口にしてみるまでは解らない。君はテーブルの前に立位を保った状態でボトルの一つを選び、その中身を全て呷らなければならない。もしも瓶の中身を全て飲み干す事が出来たならば、その瓶底に溜まっている宝は直ぐ様に君のものとなる」

TD > そこで老竜は同じテーブル上に横たえられているナイフを鋭い爪の先をピンセットのように扱い摘まみ上げた。ただの模擬刀などの類ではない証拠に鋭利な輝きをあらわすそれを佇む人形の関節にへと軽く宛がう。

「ただ、君はこの勝負が続いている間は、膝を崩さぬようにして立ち続けていなければならない。もしもほんの僅かでも膝を真っ直ぐの状態を維持出来なければ君にはたちどころに手痛いペナルティが入る。左腕。右腕。左足。左腕。もしくは首から上。どれかを失う事になる。より正確に説明するならばその部分は肉ではなく、ただの人形となってしまう」

す、と、流すフリをしたその後に刃をかえして柄を手元に軽く握り締めた。周辺を良く見てみると良い。蝋燭の明かりだけが頼りの薄暗い酒場の光源に照らし出され、見れば手足の無い人間が幾らか地べたに横たわっている。その欠損した先の部位は瀬戸物のような焼き物に変質してしまい、在るべき関節からもげ落ちている様が窺えるだろう。
切除された生身の肉の根本は不可思議にも出血している様子はなく。暗く冷たい暗黒の断面図を曝け出すのみとなっている。

「だが、これを失った時点でまだ取り返す方法は在る。君は酒瓶の中身を飲み干し。そして底の財宝の代わりに手足を取り戻す、と、そう宣言するだけで良い。此処で重要な事だが…君はいつでもギブアップを宣言してこのゲームをやめる事が出来る。但し失われたものは取り返さない限り、手元には戻らない。そして一度ゲームをやめてしまえば二度目は無しだ、その時点で君はチャレンジの資格を失う」

TD > ごろん、と、音が転がった。完全な人形と成り果ててしまったゲームへの挑戦者が地に伏したその音が。誰も受け取る事の無くなった金貨の収まっているボトルをその手に取り上げる。金に困り、または物見遊山に挑んだ者達の成れ果ての中にまた一人の犠牲者が費やされた。
空っぽのボトルは店の従業員の手により片付けられ、また新たに供給された酒詰めの瓶が其の場に陳列され直す。

「次の挑戦者は?」

最初は酒場という場所も相俟って酩酊の勢いで入れ食いにゲームに挑戦する者達も少なくはなかったが、高まるリスクに従ってその気勢は大きく減衰してしまっている。遠巻きに見ている者達が居たとしても実際にテーブルの前に来ようとする肝の据わった者は差し当たってこの場には居ない。

ご案内:「貧民地区のある酒場(過激描写注意)」にスヴィチューナさんが現れました。
スヴィチューナ > つい先日、久々に本来の仕事で役に立つことが出来た。
これはもう祝うしかないと、本来の周期外していた為に所持金乏しかったが
少しでも飲みたくてこの酒場を訪れた。
しかし、普段その場に漂っているのとは違う雰囲気に
辺りの者へ何事かと尋ねると、返ってきたのは竜が持ち込んだ奇妙にして
危険な賭けの話。
詳しく聞くうちに、普段は下向いて人と合わせる事少ない視線が
徐々に上向いてきて、同時に怒りの色も露にしながら、
人垣搔き分けてつかつかと竜の眼前にまで歩み寄る。

視線外さないまま眼前まで来ると、両肩にかけたバッグと水筒を床に置いてから
口を開いたが

「わわわわわ、わたしが挑戦しましゅっ!
でもその前に確認したい事が2つあります、いいですか!?」

そう言ってから一度目を閉じて、再び竜の目見据える様に開き。

「1つ!今ここにいる賭けに負けた人たちの人数と
 無くした体の数を教えてください!
 2つ!瓶の中の宝と体の交換レートはどうなってますか!
 これはわたしがどこまでこの賭けに乗ればいいのかの指針になります、
 ちゃんと教えて頂けないなら、このまま詰め所に行ってあなたの事通報します!」

一息に言いきってからハァハァと荒く息ついて答えを待って。
ただ。よく見なくても判るだろう。
近づいてくる間も今も、ヒトとは違う種族と相まみえた経験少ないからか、
あるいは単純に恐れをなしているからか、女の体はカタカタと震えているのだ。

TD > 「おっと」

駆け巡るその足運びに面食らったかの様に目をしばたいた。座高の状態から上目に仰ぎ見るような素振りで相手の顔を見つめる。こちらがそれ以上に口を開く前に怒涛に浴びせかけられる饒舌な台詞の全てを顎を結んだ呈で聞き入っている暫しばかり。
ほんの僅かに目元を細めて微笑みかけつつ、ぴんと、長い爪を持った片手の指先を自分の顔の前に立てる。

「承知した。レディ。ではその質問にへと答えよう」

そしてその指先をそのまま、周囲に倒れている面々にへと指し示した。明確に死んでいる者は居ないが不具となってろくに動けず呻き声を漏らしている者達ばかりだ。

「此処に…そうだな、致命的に身動きの適わない者は三人となる。あくまでも全てと言うならば後二名だ。酒を一本呷る毎においてその中身の財宝と体のパーツ一つを交換する。レディ、君の…恐らく義憤に駆られた振る舞いはこの区画では大変に珍しいし、その意気込み自体は素晴らしい事であると私は思う。ただ、もしも君が此処に居合わせている者達の敗け分まで勝ち取る…私の勘違いであったならば謝罪するが。その積りであったならば、君が飲まなければならない酒瓶は一桁の範囲では最早収まらない」

そして卓上に載っている多くの酒の1ダースほどをその大きな掌でまとめ上げるようにして軽く前にへと押し出した。酒の種類は兎も角として酒好きのドワーフであったとしても卒倒するレベルの酒量を視線で示す。

「勇気在る振る舞いは賞賛しよう。だが、それに見合う程の強さを君は持っているかな?」