2024/11/22 のログ
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ご案内:「タナール砦・地下牢(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
静けさの支配する暗闇の中、鬼は覚醒める
薄く開かれた揺らめく翆の焔のような瞳は、閉ざされた闇の中に置いてもその景色を見渡す
薄汚い石造りの壁に床、魔物が暴れようと拉げぬだろう強固な檻柵
寝心地の悪い、幾度か此処を塒にさせられた砦の地下であることは起き抜けの鬼の頭でも理解できる

随分と手酷くやられたな
最後の記憶は定かではないが、敗北を喫したことは理解る
不滅の大悪妖が故に時間をかけ肉体は復元したが、肝心要、力の根源である角はまだ片方が折れたままとなっている

「フー……」

白く濁る吐息を吐く
枷は繋がれていなかったが、両腕と両脚が効かぬ
此処に投獄される折りに砕かれたか

敗けた者の末路なぞ、惨めなものだ
身の纏う襤褸布すら引っ剥がされ、冥闇の中に疵だらけの裸体を晒す

「──、角が復元(もど)れば脱出()るのは容易だが」

自らの身体すらも重く感じ、荒い石造りの壁へと背を預け、顎を持ち上げ天井を眺める

ご案内:「タナール砦・地下牢(過激描写注意)」にラグナスさんが現れました。
ラグナス > 魔族の男がその砦を訪れたのは、ある「噂」を耳にしたからだった。
曰く、『不死の鬼女が砦の牢獄に囚われている』と。
曰く、『腕を捥がれても、脚を折られても、例え首を切り落とそうとも、その牙だけで相手の喉笛に食らいつく暴れ鬼である』と。

そんな噂が語られるくらいの相手だ、今は囚われていようとも、誰も近寄ろうとはしないだろう…
――この男のような、自分の強さに絶対的な自信を持つ者以外は。

――遠くから石壁に響く、ゴツン、という鈍い音が二度、三度、鬼の耳に聞こえたかもしれぬ。
その音の主は…番人をいともたやすく殴り殺し、扉の鍵を奪い、囚われた女の前に現れるだろう。

右の拳には血の痕。左の手には煌々と燃えて持ち主の顔を照らし出す松明。

「――本当にいやがった。お前が噂の、不死身の鬼女ってやつか?」

低い声を戯れるように投げかけながら、無造作に扉の鍵を開け、牢の中へと入りこむ。
松明を差し伸べれば、お互いの顔が、そして娘の状況が、はっきりと照らし出されるだろう。

痛々しい姿とは裏腹に、大して苦しくもなさそうな様子…これは噂通りか、と喜びの表情を見せるように口の端を釣り上げて。

宿儺姫 >  
静まり返った牢獄に物音が響く
地下牢の、かなり奥に投獄されている牝鬼は来客の気配を感じ、その眼を凝らす

やがて、松明の灯が揺らめきその大男は現れる
──鬼である己を比べても遜色ないだろう体躯、そして照らし出される黒肌は黒曜が如き威容
人目で只人でないことは理解る

鉄格子を開き、中へと入り込むその雄を見上げるのは、
壁際に座り込み、全身に疵を残し、片角の欠けた褐色肌の牝鬼の姿
投獄されているだけあって相応に痛めつけられてはいるが、照らされるその貌には疲労の色も苦しげな様子すらもない

「くく、噂となっていたか…?」

曝け出された引き締まった体躯に牝らしい実りを見せつつ、顔の形作りは美女の威容
喉を鳴らし嗤う声色も、妙齢の女とさして変わらぬ牝鬼の姿は煌々とした灯りに実に照り映える

「不死身不滅であろうとこうして捕らわれもする。この借りはまたしっかりと返さねばなあ」

口の端を釣り上げる男に対して、女鬼もまた嗤って見せる
その眼はその様相にそぐわず、お礼参りに今から燃えている様でもあり、その牝の気性の粗さを伺わせるに十分たるものだった

ラグナス > 男も男で、眼下にてこちらを見上げる女の姿に、四肢を折られても決して心根が折れていないことが分かるその眼差しの強さに、感心の息を密かに漏らす程であった。
一目見て、強い、と分かる。
肉体も、精神も、その凶暴性も…己に似たものを持っていると直感する。

「ああ、てっきりザコ共がビビってるだけじゃねえかと思っていたが…物は試しに来てみるもんだぜ、こんなところでこんなに面白い『モノ』に出会えるとは。」

女の言葉にも未だ闘志が漲っているのが分かる。
――けれど。

「威勢のいい女だ、悪くない…が、今はそんな状態じゃ、立つことも難しいか?俺が試してやろう、鬼女の頑丈さを。」

言葉が終わるか終わらぬかのうちに、無造作に横薙ぎに振るわれる左手。
火の粉を散らしながら走る熱源。
松明による殴打を向ける。
先端に灯る炎がなくとも、並の人間であれば骨を折るような重さの一撃、笑う女の頬に容赦なくぶつけんと。
彼女は避けるか、受け止めるか、はたまた反撃に転じるか。
その対応を見極めんと、目を細め――

宿儺姫 >  
この雄が何用で訪れたのか
その答えはすぐに明かされる
紅い火が尾を引き、それが眼前に迫る

バァンッッ──

大きな音が地下牢に響き、眩いばかりの火の粉が散る
手向けられた松明での一撃を避けることなどせず、常人ならば首が折れよう一撃に牝鬼のか細くも見える首が捻じくれる

「──…」

しかしギロリとその翆の火を讃えた視線を男へと向け直せば、その腔内に溢れた赤黒い血を石畳へと吐き捨てる
松明程度の火では牝鬼の肌は焼けることもなく、その頬に僅かの煤を残すに留まる──そして

「随分な挨拶よの──暴れられぬとでも思っておるのか!?」

砕けた四肢なぞ知ったことかと両脚の筋骨が隆起し、その場に立ち上がる
砕けている筈の四肢を馬鹿げた筋密度が支え、そのまま片腕を振りかぶる様に、眼の前の雄へと打ち据えにかかる──
片角が折れた状態ではその剛力も半減といったところ──眼の前の雄が強者であることは肌で感じ、理解している
それでも一撃を手向けられ、発火しない様な温厚な種には非ず
避けず、受け止めず、喰らい、返礼を返す
肉を切らせて骨を断つ、普段通りの蛮勇な振る舞いは変わることなく、己を見定めようという雄へと向けられた