2024/10/08 のログ
ご案内:「自然洞窟(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
その洞穴は入口に差し掛かり、臭いがした。
入口に施された装飾も、人とは少し違った文化のもの。

『この洞窟は我々の縄張りである』
そう主張するような、人間の頭骨と骨肉を組み合わせた、悪趣味な飾り。

まず間違いなく"人を喰らう魔物"の巣。

であれば、腕試しには丁度良かろう。
より逞しく強靭に鍛えられた、己の力を振るうに見合う相手の予感。
人喰らいの化け物とあれば、鬼とて同じ。
どれどのような怪物の巣窟か。沸き立つ闘争欲求のままに入口を塞いだ岩戸を蹴破り、その広い洞穴へと踏み込んだ。

宿儺姫 >  
入口こそ然程ではないもののその洞窟の内部は高さも広さもなかなかのもの。
それだけで、大型の魔物が潜んでいることが理解る。

概ね、想像通り。

奥から現れたの一匹の、牛頭の魔物。
その手に大振りの、無骨な槌を手にしている──侵入者の気配に、出てきたというわけだ。

牛頭(ミノタウロス)か。
 遺跡の地下に巣食っておるものと思ったがな」

巨鬼(オーガ)を思わせる様な巨躯。
それでいて、一応の武器を使う程度の知能もあると来た。

──真正面からブン殴り合うには良い相手だ。

……と、思っていたのだが。

宿儺姫 >  
「くっ……!」

数分後、その場には浅黒い肌に大粒の汗を浮かばせ、苦悶の表情を浮かべる牝鬼の姿があった。

「──ええい、遣りづらいといったらないぞ…」

咆哮とともに振り上げられた大槌。
岩礫を撒き散らすが如く叩きつけられるそれを、牝鬼は珍しく"避けて"いた。

気圧されている。
それが気に入らず、牝鬼は牙を向いて牛頭の魔物を見上げていた。
その視界に入り込むのは、屈強がすぎるその巨躯だけでなく、如何せん…どうしても眼に映り込む、巨大な男根の異様。
ビキビキと音が聞こえそうな程に熱り立ち、その野太さを誇るかのように脈動する剛直。
辺りには噎せ返る様な獣臭、雄臭。

睨みつければどうしてもそれが目に入ってしまうため、超やり辛い。

宿儺姫 >  
己が巣に入り込んだモノが人間に近しい生物、その牝であると認識した途端。
腰布一つもつけていない牛頭の魔物の股間が隆起し、ご覧の有様となった。

大槌を振り回されれば、同時にソレも振り回されるし、悪臭を放つ先走りが飛沫する。
さらに言えば、こちらが仕掛けようと、腹を殴りにいけばその邪魔になる。

「───」

別に生娘然とした何かがあるわけではないが。
悦んで触りにいってやろうと思えるものでもない。

しかしそれだけで好き放題に動かせてやれる程、この牝鬼もおとなしい気性はしていなかった。

宿儺姫 >  
何度目か、振り下ろされた大槌の一撃を牝鬼は両腕を交差させ頭上で受け止める。
強烈な重圧が背骨を渡り全身を押し潰さんとする──が、強靭な肉体と圧倒的な膂力でそれを受け止め切る。

「調子に乗って振り回しおって…いつまでも好き放題させると思うな!」

攻めあぐねるにも飽きが来た。
もう何処に当たろうが知ったことか、と。
抑圧された攻撃本能が解放される。

そのまま、大木を薙ぎ倒す様な牝鬼の脚が振り上げられ、牛頭(ミノタウロス)の巨大な睾丸を蹴り上げた。

宿儺姫 >  
───洞穴の外まで響く様な、巨躯の魔物の叫び声。

「ッ───。耳がヤられるわ」

ズ…ン。と洞窟を揺らしながらその場に倒れ伏す巨体を見下ろし、牝鬼はその両耳を抑えていた。
なんて悲鳴だ。

「はんっ、粗末なモノを振り回してイキがっておるからじゃ」

全然粗末ってモノではなかったけど。
あんなモノ挿入れられたら骨盤バラバラになって内臓の位置もおかしくなるわ。

一発で決着したが、まぁ…最大の弱点を剥き出しでブラブラさせているのだから、そちらが悪い。

──大槌を受け止めた両腕に強烈な痺れが残る。
以前のままの肉体の力であればそのまま押し潰されていたか。

より、全盛期の頃の肉体と力に近くなった。その実感を得る。

宿儺姫 >  
防御()けもしたし、回避()けもした。
牝鬼としては、納得のいく闘争ではない。

やれやれと剥き出しの岩肌へどっしりと腰をおろし、妙に感じた疲労感ごと、溜息を吐き出す。

「しかし牛頭(ミノタウロス)の巣とは。戦利品の期待は出来そうもないのう…」

オークなどであれば、人間から奪った食料などが貯め込んであることも珍しくないのだが。
ああいったものはより人間に近い、いわゆる亜人種に近い魔物の特性らしい。
それこそゴブリンであるとか、ある程度の知識があり独自の文化を築けることが前提となる。

何も身に着けず、粗雑な大槌をブンまわすだけの凶暴な魔獣の巣には、いまいち期待できるものはなかろうか。

「こんなモノを貰っても仕方がなかろうしな」

眼にするのは、投げ出された巨大な槌。
頑丈な巨木に鉄塊を括り付けただけのようなものであったが、この巨躯で振るえばそれは十分以上の超凶器だ。
…戦利品として持ち帰るにはいまいち、価値がない。

この奥にまだ何かしらあれば良いがな、と。
広く高い洞窟の天井から、視線を深い闇の覗く洞窟の更に奥へと向ける。

宿儺姫 >  
より強大な力がこの身に戻れど

真正面からの殴り合いでまるで歯が立たなかった彼の同族の雄、然り
そもそも殴り合いという土壌にすら及ばなかった彼の魔王、然り…

必要なのは回帰ではなく、全盛を超えること。
幸いこの身に宿る不死性はそう簡単に滅びを享受するものではない。
より強く、より耐え、より動く──、鍛錬などとは無縁故に、闘争を繰り返すことで、より強靭とする。

「──そういう意味であれば今少し遊んでやっても良かったが」

立ち上がり、倒れ伏した牛頭を見下ろす。

「貴様は雄臭くて叶わんわ。獣が過ぎる」

やれやれ、と肩を竦めると牝鬼は倒れた巨躯をそのままに、より奥へと続く洞穴を見渡す。

──牛頭(ミノタウロス)
遺跡に住むそれは、門番であることが多い。
そこまでは、牝鬼の矮小な知識量では知る由もない。

ご案内:「自然洞窟(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。