2024/07/13 のログ
ご案内:「魔族の国・鎧都市グレイゼル(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
あれから幾許か。
敗北を喫した超雄に連れてこられたのは魔族の蔓延る城塞の都市。
成程、ここから国境の砦に派兵しているのだと納得がゆく。
魔族の往来する街は、女鬼が角を隠さずとも闊歩するのに柵はなく。
洞窟を主な住処にしていた女鬼としてはやや浮わついた時間を過ごしていた。
…とはいえ。
「呵々っ、我の勝利ぞ!――さぁ、約束を違えるなよ!」
誇らしげに仁王立ちする女鬼の前には、己の倍はあろうか巨躯の悪鬼
こういった魔族や魔物の多い都市、喧嘩相手には困らぬこれ幸いと。
片っ端から喧嘩を売っては腕力で捻じ伏せ殴り倒し、酒を奢らせる…という。
そんなことを繰り返しているのだった。
何処にいても傍迷惑な雌である。
■宿儺姫 >
目方にしても己の数倍はあろう巨鬼を真正面から力で捻じ伏せる。
やはり、自身がか弱いわけではない。
なれば真正面からの力勝負で己を頭陀襤褸にしてみせたあの男は図抜けた存在なのだろう。
足元に付す筋肉の塊のような悪鬼共を見下ろしながら、こんな連中を顎先一つ、指先一つで操っているのであれば相当か、ともお思うはするが。
「――ふん。まぁこちらで酒が調達できる様に成ったことは感謝じゃな」
力自慢に見える魔族に喧嘩を売り、勝敗に酒を賭ける。
砕かれた四肢なぞすぐに癒え、そんなことを繰り返していた。
戦利品の大樽がドン、と眼前に置かれれば、
酒場の前にも関わらず蓋板を叩き割り、木製のタンブラにのがっぷり掬って雫を零すことも気にせずがぶがぶと飲み始める。
果実の酒も悪くない。最近はそう思うことも多くなった。
■宿儺姫 >
しかし女鬼に一つ処に留まる意思はない。
こうやってしばしば傍迷惑な勝負を仕掛け酒を調達に訪れることこそあるだろう、が。
「―――ぷゥ。しかし一先ずは…」
口元の赤褐色の雫を拭い、嗤う。
「雪辱は晴らさなければならんなァ」
剛力に絶対の自負を持つ己を、真正面から力で捻じ伏せてみた雄。
完膚なきまで、と言っても良い程の差であったにも関わらず、女鬼は嗤っていた。
天の見えぬ強敵久しからずや。
かの魔王はひたすらしつこく迷惑な女鬼に目をつけられたことを悔やむのか、はたまた───。
ご案内:「魔族の国・鎧都市グレイゼル(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。