2024/05/28 のログ
ご案内:「自然洞窟・オーガの巣(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
宿儺姫 >  
「ぐ、ぬぐぐぐうぬぬぬぬ…ッッ!」

そこは山中奥深くかはたまた魔族の国か。
ただの洞窟にしては人ならざる者の生活感がそこに在り、
野生動物や…おそらく人か、魔族か──それらの髑髏が乱雑に転がる洞窟の薄暗い闇の中。
照らしあげる光は発光する天然苔の類だろう。
壁面に映し出されるのは、取っ組み合いをする者達の影だ。

方や見上げる程の巨影。
もう片方といえば──人間に比すれば長身だろう恵体の牝。
均衡など保てるべくもない体格差、押しているのはむしろ劣勢に見える女のほうだった。

長大な牙を持った巨躯の魔物…この洞窟に済むオーガを相手取り、一歩も引かず、むしろ押す。

やがてオーガの筋骨盛り上がった腕が押され折り畳まれれば、情勢は一気に傾き──。

「があッッ!!」

獣の咆哮にも似た声を張り上げ、組み合っていた大鬼を壁へと叩きつけ──、瞬間。
大木をも一撃で薙ぎ倒さんとするような剛脚が放たれ、オーガの首をあらぬ方向へと叩き折っていた。

宿儺姫 >  
「──っ、なかなか…! 門番としては相応しい力の持ち主じゃったわ…」

ぜはー、と疲労感をたっぷり含んだ息を吐き出し、その場に胡座をかいて座り込む。
…さしものオーガといえど首を折られては立ち上がることもできず、その場に崩れ落ちていた。

珠のような汗が首元を滑り、褐色の丸みを滑り落ちる。
大鬼との力と力の張り合いを真っ向から制して見せた女鬼とて無傷ではないらしく。
洞窟のあちこちに叩きつけられたと見える破壊痕が残り、その身にもまたいくつもの傷が刻まれていた。

「唖々、しかし。此処のヌシには、より期待が持てるという、もの…!」

自らの強靭な脚を引っ叩くと、立ち上がる。
門番でこの程度、奥に坐すだろうこの洞窟の主はさぞ強力な雄に違いあるまい。
期待に沸き立つ闘争心、その炎が吹き飛び底冷えする程の畏怖を与えてくれるに値するか否か。
愉しみでしょうがない鬼は休憩もそこそこに、門番の背後に鎮座していた古めかしい木戸を蹴り砕き、オーガの巣窟──その更に奥へと歩みを進めていった。

宿儺姫 >  
さすがの巨体、当然の巨躯。
深い洞窟、巣穴と言えどそう大所帯ではないらしい。

「──これで3匹目。門番のあの雄はやはり相当の手練れじゃったか」

ズン、と踏みつける女鬼の足の下には倒れ伏した大鬼の姿。
いくら身体が大きかろうと、樽の如く肥え太ったそれでは女鬼の動きについてこれるはずもなく。
一匹、そしてまた一匹。
女鬼が洞窟の奥へと進む後には昏倒させられたオーガが転々と転がっていた。

こちらが小さいと見るや、正面から力任せに襲ってくる。
その気性は好感が持てる。小癪な策を弄する小鬼どもより余程良い。
しかし力で圧倒するだけ、の彼らでは…。サイズは小さくとも同等かそれ以上の膂力を持つこの牝に勝てる道理はない。
少なくとも門番のアレは自身と同等程度の力の持ち主ではあったが、この巣穴では強者に分類される側だったのだろう。

となれば、やはり目指すは巣穴のヌシか。
女鬼は洞窟を進む足を早める。どんなタマが現れるものか。

宿儺姫 >  
足を進めるにつれ、妙な予感はしていた。
いかにオーガが巨大な種であるとはいえ、洞窟は無用に広く作られた扉も大きすぎる。
それこそ…作りが荒いのもあるとはいえ、大型のオーガが全力で押さねば開かないような。

「──。成程。デカい」

辿り着いたのは恐らく最奥。
周りに転がる白骨には人や魔族らしきものだけでなく、巨獣、そして竜のものすらも見受けられた。
長命種(エルダー)
道中にいたオーガ共など、彼奴の暴の庇護の下、集っただけに過ぎなかったと人目で理解出来る巨大きさ──。

さぞや大食漢。
子飼いのオーガどもは食料を此処へと運ぶのが仕事だったのだろう。
その巨体は大空洞に寝そべりながらも、その鬼の到来に反応する。

血の色のような真紅の瞳はゆっくりと起き上がりながら、闖入者たる女鬼を見下ろす。
オーガ達との戦いで流れた血の匂い、あるいは──牝の肉の匂いに反応してか。
そのでかい図体、手には大木を思わせる野太い棍棒を持つオーガの巣の主の身の丈は、洞窟の天上に頭を擦るかと思う程。

宿儺姫 >  
緑とも、赤とも茶ともつかぬ、泥のような黒肌。
人間であればこのオーガには恐らく別種の名をつけるだろう。
相対する女鬼も沸き立つモノを感じ、牙を剥き嗤う。

しかし次の瞬間。
その巨体から発せられた耳を劈くような咆哮が洞窟そのものを激しく震動させた。

「ッッ──!!?」

女鬼は眼もよければ、耳も良い。
鼓膜を破壊せんとする轟音にして一瞬、その動きを封じられた僅かな隙に。

巨鬼はその図体からは想像もできぬ速度で女鬼の眼の前に迫っていた。

宿儺姫 >  
次の瞬間。
動けずにいた女鬼を真横から薙ぎ払うように巨大な棍棒が振るわれる。
大木に薙がれるに等しい一撃は無防備な女鬼の身体を大きくくの字に折り曲げ──。

「(───折れ…ッ!?)」

ごき、ぼきん、と自身の左腕から響く鈍い音を聞きながら、女鬼はそのまま洞窟の壁面へと叩きつけられていた。

「ッッがはっ!」

肺が押し潰れ、咳込みにも鮮血が混じる。
衝突にて崩れた壁面の岩を跳ね上げ、即座に立ち上がりはするものの──。

「──、耳と左腕は当面効かぬな」

ごほ、と再び咳き込む。
キー…ン、音が響いたままの耳もまだ燦然としない。

「じゃが生憎、隻腕には慣れて──ッッ!」

反撃へと転じるため、その腰を深めに落とし突撃せんとしたところへ、既に追撃に動いていた巨鬼の巨大な牙が迫っていた。

宿儺姫 >  
「ッおおっ…!!」

火花を散らせ、大きな口が閉じられる。
普段防御などまるで考えもしない女鬼が直感的にその攻撃──噛みつきを躱した。
身の危険に野生の勘が働かねば、危うくその上半身を食い千切られるところ──。

「──…我を喰おうというのか?面白い!」

左腕が効かぬのも構わず、その側頭部へと渾身の蹴りを叩き込む。
ぐらりと僅か、その巨体が揺らぐ──そこへ。

「図体がでかいからと…調子に乗るな──!!」

先の一撃のダメージなど感じさせない、乱撃が次々に叩き込まれてゆく──。

宿儺姫 >  
脳を揺らされ、巨鬼が膝をつく。
相手を殴るチャンスを、闘争心が襤褸を纏ったようなこの女鬼が見逃すことはなく─。

洞窟の大空洞に肉が肉を叩き砕く音が延々と続き──

「くは…っ、はーっ……」

荒く、乱れた呼吸に肩を揺らす女鬼、その背後にて。
その顔面を見るも無惨にボコボコに晴らした居鬼が、ゆっくりと大の字に──。

ズズ、ン…と震動を洞窟に響かせ。洞窟のヌシたる巨大なるオーガは倒れ伏した。

「なんっ…たる……我の本気の打撃でもまるで壊れぬとは…。頑丈にも程があるぞ…」

散々攻撃を打ち込んだものの、ダメージの蓄積でダウンさせるのが精一杯。
その骨一つ、返礼をくれてやるに足りなかった。

「──やれやれ。やはり得物の一つくらいは、要るか…?」

膝をつき、そのまま力尽きたように座り込む。
かつては巨獣の首をも跳ねる大鉈を用いていたものだが、全盛期の身体を取り戻して以降は純然に力と肉体のみの闘争に傾倒していた。
が、強敵を求め歩いていれば、このような怪物にもぶち当たる、ということを十分に納得できた。

宿儺姫 >  
──…みしり、再び洞窟内に緊張が戻る。
倒れた巨鬼が、ゆっくりとその図体を起こしていた。
己を叩き伏せた牝鬼を見据え、その巨体に見合う巨大なペニスまでもを熱り立たせる。
牝を捻じ伏せ、喰らい──そして犯さんとする雄の本能の暴走を見てとり、女鬼もまた嗤い、立ち上がる。

「──呵々。まだ我を喰らうことを諦めておらんか。
 ……好し!その牙も、熱り立った汚らしい肉棒も共々に叩き折ってくれるぞ」

相対する巨鬼と女鬼。
再び、洞窟の中に剛力同士のぶつかり合う轟音が響き渡った──。

ご案内:「自然洞窟・オーガの巣(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。