2024/05/18 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート・奴隷闘技場(過激描写注意)」に宿儺姫さんが現れました。
■宿儺姫 >
襤褸を纏い、手足には枷をつけ。
奴隷が見世物として戦う闘技場に在るのは一匹の女鬼の姿。
装いこそ奴隷と見て違和感はない。
しかし枷につながる鎖は捩じ切られ、用を為していない。
広くとられたコロシアムの中央。
緑の荒い肌の巨躯…無数のオークに囲まれながら、屈強な女鬼は愉しげに嗤っていた。
奴隷を凌辱するための悪趣味。
しかしその場に在る女鬼にとっては、よいケンカ相手が無数に湧いてくる。最良の場所だった。
■宿儺姫 >
屈強な女鬼が華奢に見える程に野太く、筋骨に覆われたオークの雄。
見た目だけならば女鬼に勝てる道理はない。
──しかし。
真正面から殴りかかり、まずは一匹を拳の交換にて殴り倒す。
その巨躯に搭載された筋量と同等以上の力が凝縮された肉体である誇示としてはこれ以上の闘争はない。
二匹目、やはり真正面。
蹴り込んだ怒涛の一撃はオークの分厚い脂肪混じりの筋繊維を軽々と貫き、昏倒させる。
奴隷の凌辱を愉悦とする観客達には不評だろうが、
一部の者は美しく亜麻色の髪を棚引かせる女鬼の奮闘ぶりに目を奪われはじめていた。
■宿儺姫 >
女鬼はオーク達の攻撃を避けようとしない。
巨大な拳をその身に受けながらも、止まらずに己の攻撃を無理やりに通す。
破城の槌が如く、並の攻撃では止まることすらしない。
無論傷つきはする。
血風が舞い、纏う襤褸は千切れほつれ、浅黒い肌を晒す面積は増えてゆく。
「くくッッ、かかかかっ──!!」
愉しげに嗤いながら肉体のみを用いた闘争を繰り広げる女鬼に目を奪われる者が増えゆく中、
女鬼を囲む巨躯のオーク達は一匹、また一匹と倒れてゆく──。
■宿儺姫 >
如何に体幹に優れ、密集した筋繊維が支えるといえど互いの重量差は顕著。
疲労は蓄積し、徐々に女鬼の動きは鈍る。
そして打撃の交換にもやや押し負けはじめた頃──。
「ぐ、──ッッ」
一匹ずつでは分が悪いと。
悪い頭が漸く理解したオークは二匹がかり、女鬼を仕留めにかかっていた。
一匹が背後からその首と胴を掴み、もう一匹が無防備となったその身体へ、その手に持った野太い棍棒を振り下ろす。
幾度となく振り下ろされた棍棒はいくつもの打撃痕を女鬼へと刻み、それでも叩き続ける。
──そんな暴力の嵐の中、未だ眼光潰えず獰猛な笑みを浮かべて見せた鬼は、とどめとばかりに降り降ろされた棍棒目掛けその剛脚を振り上げる。
小気味良い音を立てて砕け散った棍棒にオークが気を取られた一瞬、鬼を羽交い締めにしていたオークが剛速で投げ飛ばされ、もう一匹を壁まで吹き飛ばし押し潰していた。
「呵々。今一歩、一撃一撃の重さが足りぬな──」
勝ち誇るように嘲笑う女鬼は満身創痍に見えてまだまだ余力を残しているかのような口振りで仁王立ちしていた。
■宿儺姫 >
立ち上がろうとするオークの首めがけ、大振りの廻し蹴りを叩き込む。
大きく鈍い音が響き、倒れ伏したオークは倒れ伏し、ぴくりとも動かなくなる。
「ぐは…っ」
十数匹いたオーク達は誰も彼もが気絶、あるいは瀕死で辺りに転がる。
しかしそれでも相当に堪えた様子の女鬼は闘技場の真ん中にどかりと形の良い尻を降ろし、疲労感と共に大きく息を吐く。
「所詮、豚鬼。されどこの数はなかなか、堪えるか…。
くく。しかし里の鬼どものほうがいまだ些か、剛力であったな」
観客席からはブーイングと称賛とが混じり合ったものが降り注ぐ。
見世物となることに別段抵抗もないが、趣味の良いものだなと内心吐き捨て。
「これで仕舞いか?我に無様を晒させたければもう少し気骨のある相手を用意せよ。呵々」
■宿儺姫 >
──待つこと数刻。
さぞコロシアムの運営側も困り果てたのだろう。
現れたのは…人間。
おそらくは名うての冒険者。
コロシアムで暴れる鬼を下したとなれば己が武名も轟くか。
はたまた急募の高額依頼にて現れたか。
身の丈ほどもある大剣を背にした男は、裂帛の気合と共に座り込んだままの女鬼めがけ、突き走る。
■宿儺姫 >
勝負はまさに一瞬で決した。
決してその冒険者が弱かったわけではなく…、強かったが故に。
その大剣の一撃は、恐らく女鬼の強靭なる筋繊維ごと頑強な骨格を断ち切るに十分な威力があった。
──だからこそ、女鬼の本能的な"危機感"が目覚める。
悠然と、一拍遅れて立ち上がった女鬼の肉体にめきりと剛力が漲る。
その冒険者の男が最後に目にしたのは、獰猛なまでの狂笑を浮かべた戦鬼の貌か。
それとも己の下半身が一撃の下に千切れ飛ぶ、荒ぶる鬼の剛脚の一閃か。
鬼の反射死刑と瞬発力。
ただそれのみで降り掛かった大剣の一撃よりも疾く、渾身の一撃が男の命を断った。
見るに無惨、誰が見ても絶命を免れぬ状態となった男の姿を見た観客からは悲鳴すらもあがる。
「──ふん。なんじゃ、奴隷が魔物に尊厳を喰われる様は笑うて見ておる癖に」
ただくだらなさげに、そう吐き捨てていた。
■宿儺姫 > さあ!もうおらぬのか!?我に畏怖を報せる程の猛者は!此処には!!
■宿儺姫 > 轟くような声。
びりびりと張り詰める闘技場。
確かに満身創痍であった女鬼は時間が経てば経つほどにその力を漲らせてゆく。
新たな闘争に心躍れば、覇気が巡る。
さあ戦えと肉体が声をあげる。
圧倒的なまでの自然治癒力。
口元にこびりつき乾いた血の痕を己が腕で拭い取り去り、鬼は辺りをぐるり睨めつけていた
ご案内:「奴隷市場都市バフート・奴隷闘技場(過激描写注意)」から宿儺姫さんが去りました。
ご案内:「タナール砦(過激描写注意)」にプリスカさんが現れました。
■プリスカ > タナール砦は魔族達の王国への侵攻を阻むための堅城である。
だが、それ故に一たび魔族によって陥落させられればそこは王国への侵攻拠点と化し、
奪還には多大な戦力と少なくない犠牲を必要としてしまう。
今もまた、魔族に奪われたタナール砦を奪い返そうと、
王国の軍勢が城壁へと押し寄せていた。
「ふふ、頭数だけ随分集めたものねぇ…。」
魔物達が守備を固める城壁の上に立ち、人間の軍勢を眺めて笑う女魔族。
邪悪なる魔術師の装束に身を包んだエンプーサは、手にした魔導書を開く。
「でも数なら負けないわよ?」
呪文を唱えると、城壁に魔法陣が複数浮かび上がり、それは扉に変じると、開け放たれたそれから魔物の軍勢が湧き出す。
召喚門。魔族の国と繋がっており、無尽蔵の兵力を投入できる高度魔術。
女魔族、プリスカは防衛線に最適と言えた。
「あとはここで見学ね?」
眼下で始まる戦いを、楽し気に眺めるプリスカ。
彼女を倒さねば、タナール砦の奪還は叶わないだろう。