2023/12/20 のログ
ご案内:「九頭竜山脈・自然洞窟(過激描写注意)」にアマツキさんが現れました。
アマツキ >  
「おっかしいのう…ここらに逃げ込んだはずじゃが…」

九頭竜山に点在するだろう自然洞窟…。
その一つ、広くも狭くもない、暗闇の洞穴を屈強な体躯の女鬼が訝しげな表情で進んでいた。

遡ること数分前。
旅商を襲ったのだと見られる山賊の一味が己のアジトへ帰ろうとしているのを女鬼は見つけ、
これ幸い、その戦利品を奪ってくれようと襲いかかった。

…の、だが。

もうこの山で随分同じような…野党を叩いては飯や酒を得ていた鬼は賊の間ではそこそこその存在が知られ、
散り散りに逃げた山賊達は地の利を活かし、逃げ果せた。
そのうちの一人を、まぁつまりは深追いしたのだが…。

「おのれ、完全に逃したか…?」

真っ暗な洞窟の中とて、鬼の爛と輝く眼にはよく見える。まだ奥は続いているが、人の気配も感じない…。
そろそろ諦めて引き返すか…と鬼が悩みはじめる頃合いである。

アマツキ >  
「しばらくぶりに酒にありつけると思ったんだがのう…口惜しい」

先に進めば進むほど入口からの灯りは薄れ、暗黒が口を開けている。
つまり、このまま進んでも奥に逃げ込んだ山賊の一味がいるとは考えにくい。
人間が潜んでいるなら、灯りかその痕跡くらいはあるものだとさすがの鬼も知っている。
鼻を鳴らしてみれば、それらしい臭いもせぬ、と。

「せめて野の動物の塒ででもあれば飯の種にはなったが…」

なんならドラゴンの類でもいい。
飯にするには手に余るが、このあたりの竜は正面から挑むのに楽しめる存在だ。

アマツキ >  
同族の雌に負けて以降、己の肉体を鍛え直す意味も含め、
野の獣に飽き足らず魔獣、竜と手当たり次第、力のみで殴り倒すという日々を繰り返していたが。
おかげで随分に肉体自体は鍛えられている、が…その所為か腹が減って止まない。
食欲、だけでなく…闘争への欲求もより高まってしまっている。
それ自体は、鬼は然程も気にすることはないのだが──。

「こうやって飯の種を逃してしまってはな…」

腹が減っては殴り合う力も湧いて来ぬもの。
──人の里に降り、襲い、人を喰らうか、と。
そう考えるには、女鬼はまだ飢えていない。

アマツキ >  
いずれ空腹に耐えられず、人の血肉を求める人喰い鬼としての本性が、闘争欲求を上回る時が来れば…。

──さて、それは、どうなるか。

今は三度の飯よりも闘争を好んでいる。

「……ま、その前に飯くらいにはありつけるじゃろ」

楽観的な鬼はやれやれと洞穴を後戻り。
帰り道、適当に喧嘩を売れる獣か竜かを探すか、と。
女鬼は塒への帰路へとつくのだった。

ご案内:「九頭竜山脈・自然洞窟(過激描写注意)」からアマツキさんが去りました。