2023/12/11 のログ
ご案内:「いずこかの山道(過激描写注意)」にアマツキさんが現れました。
アマツキ >  
鬼は困っていた。

遠く向こうの山々に山賊を喰らう巨躯の悪鬼がいるらしい。
遠く向こうの山々に天を衝くような巨大な蛇がいるらしい。
遠く向こうの山々に湖を飲み干すほどのドラゴンが住まうらしい。
遠く向こうの山々に強大なる魔人が暴れているらしい。
遠く向こうの山々に以下略。

「記憶違いじゃったかなあ」

確かそんな感じのことを魔族の街の酒場で耳に挟んだような…。
で、泥酔状態で早速探しにやってきた…ような?

「うーむ」

山道の岩に座り込む。
つまり眉唾の情報を聞いて早速強そうなヤツを探しにきたという短絡的な行動の結果なのだが。

鬼は迷っていた。
どこじゃここ。

ご案内:「いずこかの山道(過激描写注意)」にカレリアさんが現れました。
カレリア > 「—————————!!」

それは突然の咆哮
巨大な絶叫をあげたそれは雲の上から山中の窪地に落ちていく
遠目には煙をあげるドラゴンが墜落しているのが見える

途中で飛び上がる事も出来ず地面に落ちたそれは瀕死の重傷でまともに戦ないのは明らか
そしてその傍らにはこの場所には不似合いの黒いドレスを着た女が1人地に伏せたそれを見下ろしている

アマツキ >  
「おおッ?!」

突然の、耳を劈くような咆哮。
何事かと立ち上がり空を見渡せば、煙を棚引かせながら墜落する…竜?か。

地響きと共に墜落したであろう位置から立ち上る砂煙。
ただ事ではあるまいと、一足飛び、女鬼は駆け出し、竜が墜落した窪地へと疾走る。

「…上から落ちてきたのは見えたが、はて」

この場に他の竜が降りてこない、というからには同族の縄張り争いというわけでもあるまい。
地に伏した竜を眺めていると、その側に年端もいかぬ少女の姿を見つける。
その、あまりにもこの惨状に相応しくない姿に思わず眼を奪われる。

よもやの考えが過ぎる。
これの竜をこの童が?、と。

カレリア > 「随分手古摺らせてくれましたこと。
誇りと言えば聞こえはいいですけれどここまでやらないと頷かないのは最早おバカさんでしょう。」

うめき声に恨み言を乗せるドラゴンを見つめ思案する
これ以上やってしまえばそのまま死ぬ、ただまだ反抗的な目をしているのは明らか

「さてどうしましょう…と、あらこんばんわ。

えぇと…この辺りにお住いの方でしょうか?
驚かせてしまったのであれば申し訳ございませんわ。」

振り返れば少し離れた場所に人外の女性
鍛え上げられた体や額から生えた角は噂に聞いた鬼の特徴と見て取れる
まぁ、人間でないならカレリアの対応は変わらない
奇麗なカーテシーと共に一礼する

アマツキ >  
その呟きは鬼の耳にもはっきりと通る。
今しがたこの竜を地に叩き伏せたのは目の前の少女に他ならぬ、と。

──この飛竜、もし自分が戦ったとして息すら切らさず討ち果たすことが果たしてできるか。答えはすぐに出る。否であると。

つまり、眼前に立つ黒衣の少女は見目通りではない怪物に違いない───。

ぞわりと沸き立つものを感じ、殆ど反射的とも言って良い。
強者との闘争を求める女鬼の気性が無条件に反応してしまうのは、致し方なし、か。

地を割り、駆け跳び──翠の眼光を迸らせながら、その手に持った身の丈を超える大鉈を振りかぶっていた。
表情は、牙を剥いた笑み。
少女の一礼に対するには、余りにも慇懃無礼ま振る舞い、不意打ちにも近しい一撃を少女に向け、振り下ろした───。

カレリア > 「これは…もしかしてこのドラゴンのお知合いですか?」

振り下ろされる大鉈
何もせず当たれば即死どころか二つに割れるか肉塊の出来上がり
しかし鉈はカレリアの振り上げた手が受け止める

「襲われるのであればせめて理由を聞かせていただけますか?
どうしようもない理由でないのなら、殺したくありませんので。」

超高密度の魔力を纏い異常ともいえる身体強化をかけた体が受け止めた一撃はカレリアの足元を陥没させる
魔術師でも万全に準備を整えて防げるかどうかの代物を正面から受け止めた

理由も分からず襲われたが相手は人ではない
ならまずは理由でもと襲い掛かる理由を尋ねる
譲れない理由でもなければ穏便に済ませる事が理想である
もしだめなら、できれば殺さない位に戦うしかない

アマツキ >  
「──!?」

振り下ろした大鉈が受け止められる。
決して加減などをしたわけではなく──証拠に、受け止めた少女の足元が地響きをあげて陥没している。
衝撃を逃したのか、あるいは単純に…この程度ではまるで通じぬのか。
鬼の頬に僅か、汗が伝う。それはある種の予感であったが、今は高揚のほうがそれに打ち勝つ──。

「っ…そのような竜など知らん。
 が、貴様が叩き落したのだろう?───くく、そのような強者、挑まずでいられようか!!」

理由らしい理由などその口からは出てこない。
好戦的、という言葉を形にしたような表情からは──穏便になど済まないといった気風を感じさせる。
そして返答と言わんばかりに、両肩に力を漲らせ、巨大な大鉈へと籠める。

先程の一撃を受け止めたのであれば…このまま全力を迸らせ、その矮躯を圧し潰さんと。

カレリア > 「えぇ一応、乗り物人間を狩るのにも便利なので従えに来ましたわ。

成程…バトルジャンキーの方でしたか。」

ある意味で一番厄介と言える理由に苦笑を浮かべる
敵対するのは悪意ではなく好奇心が近いそれ
そのせいか求められた場合はその対処がし辛い

「良いですわ、お相手して差し上げます。
ですが先に言いますとマジックキャスターが本職ですので…後で卑怯と言わないでくださいまし。」

じゃらりとスカートから鉈を防ぐのとは反対の手に魔力を込める
足元から土の柱が鬼の腹目掛けて突き出てくる
人であれば貫通するほどの威力…だが目の前の彼女なら死にはしないだろう

アマツキ >  
少女の言うバトルジャンキー、というものがどういったものかは知らないが。
おそらく自分のように見境なく強者を見つけると襲いかかるような性質の者を揶揄する言葉なのだろうことは明白。
それを否定する気などは、女鬼とて毛頭ない。

「───何?」

まじっくきゃすたー?
卑怯という言葉を使う限りは、搦手を使うのか、と踏みはしたが。
それ以前に自身の全力を以て圧し潰そうとしている大鉈を片手で抑えている、それ自体が脅威と言える。
恐らく単純な力ではないのか。
が、目の前の少女は相手をする、と言葉を返した。
僥倖である。

「くく…感謝するぞ───ぐはッッ…?!」

僅か思考がとられた瞬間、足元から突き出した岩柱が女鬼の屈強な腹を捉える。

大きく目を見開く。
貫かれこそはしなかったものの、大きく減り込み身体を宙に浮かせるそれに、大鉈から手が引き剥がされる──。

「ッ、魔法の類、ということか──」

ごほ、と血を吐きながら、少女を見据える。
自身の一撃を受け止め、圧し潰されもしなかった相手が…それが本職でない、とは。
本来なら愕然とするところ、鬼は益々眼をギラつかせていた。

「今までにもそういった手合はおったがな…呵々、やることは変わらん。…力で捻じ伏せるのみ」

口元から血を零しながらもまだまだ余力は十分。
強靭な肉体は見ての通り、タフネスも並ではないと。
大鉈を手離した女鬼はすぐに体勢を立て直し、一足飛びに少女、カレリアの美しい顔を目掛けて大斧を振るうような蹴りを繰り出す──。

カレリア > 「マジックキャスター、主に魔術を扱う者達の総称みたいなものですわ。
色々多いでしょう?魔法剣士に魔術師に他にもちらほら。」

魔術無しの身体能力であれば最初の一撃で絶命している
それを簡単に受け止めたのは魔術のなせる技

距離が離れれば次の手を打つ

「貴女の様に肉体が素晴らしい方は確かにそうなのでしょうね。
私達の様な魔術に頼る者も同じですわ。

力と手数ですり潰すのみです。避ける事をお勧めしますわよ♪」

宙に光の球が浮かぶ
魔力を物質化させる密度にまで圧縮したそれを迫る鬼の足にぶつける
魔力そのものを操り固めたそれは通常の物理法則と違い魔力を消滅させる以外に壊れるという概念が存在しない

アマツキ >  
物理攻撃によって破壊されることがない。
即ちそれは、絶対不壊の存在に蹴り込んだ側…女鬼の力がそのまま返ってくるに等しい。

「ッ!? ぐ、おッッ…ぅ…!!」

女鬼の口から苦悶の声が漏れる。
弾かれるようにして更に後方へと飛ばされる。

「ッ──」

知らずとはいえそのまま蹴り込んだ脚は、根本の骨が砕けたか。
狂気の笑みに染まっていた女鬼の表情が変わる。
魔術士、魔法剣士、諸々知ってはいるが…搦手ではなく力と手数で磨り潰す、ときたものだ。
で、あるならば最初っから真っ向勝負を挑む鬼からしてみれば、余計に歯噛みしようというもので──。
力で劣っている、とういうことに他ならない。

「生憎、避けることなぞ、したことがないのう…!!」

無理矢理に立ち上がり、無事な方の脚を踏みしめ、飛び上がる。
避けずとも喰らって耐えれば良いという考えしかもたぬ鬼は再び果敢に、正面から爪撃を見舞おうと飛び掛かる。
距離をとられること、それ自体が相手にとって有利ということは理解っている。故に速攻、ダメージを気にして後退することは不策である、と。
多少の被弾の覚悟を決めた女鬼が迫る──並大抵では止まらぬ、という意思をその鋭い眼光に見せながら。

カレリア > 「ちょっ…教えた意味がありませんわね。」

避ける事を勧めてまさかそのまま蹴り抜くとは思わなかった
何か搦め手を使うかと思っていたが、悪い意味で予想が外れてしまった

「対抗策があればその恵体で押し通せると思いますわ。
ただ、魔術師を相手にするならせめて気は使えないと限界がありますわよ。」

かつて出会った闘気の使い手を思い出しながら迎撃に移る
折れたであろう足でまだこちらに突撃する姿には畏怖と手加減では足りない事を嫌でも理解させる

ならばマジックキャスターの本来の姿を分からせるまで

「死なないと良いですわね。」

両の手を使い魔術を編む
突風が無数の刃となり無数の土槍が地面から突き出す
土槍の質量に足を取られれば正面から電撃を撃ち出し体の中を駆ける

はたから見れば処刑以外の何物でもない飽和攻撃が目の前の彼女一人に向けられる

アマツキ >  
避ける、防御(ふせ)ぐ。
そんなことよりも力、殴打、粉砕、圧壊。
文字通りの肉体で以てのみ敵を打倒してきた鬼にその選択などはなかった。
無論、今再び自身に降りかかる、無数の魔法に対しても。

相手が並の魔術士程度であれば無理やりに魔術を受け、通り、殴り潰す。
それで済むだけの話だった。
ただ、生憎と今宵目の前に現れたこの少女は、並どころではなく───。

「っ、が、ああああッッ!!!」

全身を風の刃に斬り刻まれ、それでも止まらぬ鬼の身体を土槍が打ち据え、四肢を貫く。

「(これは、参ったのう…。此処まで差があるか───)」

最後には牙を剥き、咆哮を上げる女鬼を雷撃が灼き───

「──、ッ……か、はっ…」

ぶすぶすと、肉体から黒煙をあげながら、漸くその前進が停止する。
あと一歩踏み込めば、あるいは一太刀浴びせられたか。
振り上げられた女鬼の腕が、カレリアの眼前に悔しげにだらりと垂れる。

カレリア > 殺し合いであれば、もしくは目の前の彼女が人間であれば更に殺しやすい魔術を織り交ぜていた
だがこの物量自体は手を抜いていない
文字通り身体だけで嵐の様な魔術攻撃を目の前まで抜けてきたのだ

「電撃を打たなければあれを抜けて届きますか…貴女、どんな体していますの?」

あと一歩、そんな距離まで迫るとも思っていなかった
魔術も気も使わず己の体一つで食い破られたのだ

膝をつき倒れた彼女に手を当てて治療術を施す
血までは戻らないが傷や痛みを消す事はできる

「起きてくださいまし、貴女の強さには敬意を払います。
どうか城でおもてなしさせて下さいな。」

アマツキ >  
「──、敗け、か」

一歩及ばなかった。
…というのは良く言い過ぎカ。
踏み込めていたとしても、一撃で屠れるような相手ではないだろうことは鬼もよく理解っていた。
…こうやって傷を癒やしているのがその証拠。
例え回復したとて脅威ではない、と思われているのだ。
しかしそれは事実。
事実を事実として受け入れぬ頬、女鬼は往生際が悪くもなかった。

「どんな身体もこんな身体もないわ。
 次はあれを耐え抜く程に鍛え抜かねばならんというだけのことよ」

その場にどっかりと胡座をかく、敗けを認めつつもやや悔しげな表情を見せる。
敗けは敗けに変わらず、差がいくらあれど悔しいことに変わりはない。

「城での持て成し???
 …何じゃ、貴様魔王だか何かに縁あるものか…?」

そりゃあ格が違うわ、と肩を竦めて。

「どのような形であれ、払ってもらった経緯を無碍にするほど世捨て人でもないわな…。
 ことさら血が足りんわ。飯をたらふく食わせてくれるなら、悦んでついてゆくぞ」

ただ、立ち上がるには今しばらくかかるか。やれやれと自らの膝に肘つき頬杖で少女を見上げて。

「で、我を滅多打ちにしてみせた貴様の名を聞かせよ。
 我のことは…呼ぶのに不便があればアマツキとでも」

さてどこへ招かれるのやら、と。

カレリア > 「そうですね。
流石に魔王代理を名乗ってる以上簡単には負けられないですわ。」

実力が全ての魔族社会で魔王代理を名乗る
その意味は同じ力社会の彼女には分かりやすいかもしれない

「えぇそれは勿論。
ついでと言っては何ですが貴女の事も幾つか教えていただければ嬉しいですわ。
代わりに食事以外にももっと貴女の戦いの役に立つ情報や物を進呈いたします。」

戦闘力としても測りきれないポテンシャルを感じている
磨く前にも荒々しく力強い彼女に少し手を貸してみたい
それが今後別の形で何かの役に勝つかもしれない

「良いですわアマツキさん。
私はカレリア、役職としては魔王代理を名乗っております。

因みに一緒に行っていただくのは魔王城ですので楽しみにしてくださいませ。」

その後、戦いの間も死に体のまま動けなかったドラゴンに最低限の治療を施し
脚代わりにアマツキと自分を魔王城へと運ばせるのであった

ご案内:「いずこかの山道(過激描写注意)」からカレリアさんが去りました。
ご案内:「いずこかの山道(過激描写注意)」からアマツキさんが去りました。