2025/05/17 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 講師研究室」にルーベルさんが現れました。
ルーベル > 講師の中には学院に自身の研究室を持つ者も多数存在する。
学院が優秀な講師らを囲い込むために準備することもあるし、講師側が学院から部屋を借り受けることも。

ルーベルは後者ながらも献金等も行い、改装等もある程度自由にしてよいと許されており。
自身が活用しやすいよう実験具や文献などの持ち込みに加え…執務机を置いたり来客対応用のソファセットや簡易な寝室などまで構えて、さながら学院内に構えた私室のようにと扱っている。

自身の研究以外にも執務や、授業の準備などもここで大抵は行っており、魔導士貴族に用があるならここを訪れるのがいちばん話は早い、という場所。
共同研究者、協力者、成績や貴族との縁で便宜を図って貰おうとするもの、既に魔導士貴族によって魔術、魔法薬などの毒牙に掛けられた者など、来訪者は様々。

その日も研究室では部屋の主が魔術の研究を進めながらに、自身が受け持つ授業の受講者の成績なども確認している。
行動原理自体は自身の欲求が優先とはいえ、一応は講師らしく振る舞うつもりはあるらしく。
成績優良者にはどこへ推薦するか自身で囲い込むか。芳しくないものはどう補うのかあるいは別途の道を示すのかと思案を巡らせていた。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 講師研究室」にプシュケさんが現れました。
プシュケ > そんな仕事をしている講師の研究室の扉を叩くノック音。
大抵は、おずおずとした、緊張感を孕んだものであることが多いかもしれないが、
今のノックはどちらかといえば、きちんとした、というか、自信のこもった印象のそれ。

ルーベルが入室許可を出せば、程なく開かれる扉。
そこには年若い少女の姿があった。

少し気が強そうな印象はあるが、カテゴリとしては間違いなく美少女の中。
その仕立の良い服は高貴な生まれてあることを物語っていて。

そして何より、生徒にせよ教師にせよ、貴族以上の枠であれば、誰であるかは分かる知名度のある女生徒が、そこに。

「ごきげんよう、アルカヌム伯。私に御用と聞いたのだけれど?」

そう言いつつ、研究室内へと足を踏み入れてくる。
そういえば、ルーベルが自分に用があるから研究室へと告げたのは誰だったか。
少なくとも疑う理由がない相手なのは確かだった。

ルーベル > 幾人か、近日中の成績優秀者、あるいは何らかの才覚見せる者に目星をつけていれば、響くノックの音。
それに応じて扉に仕込んだ術式を飛ばせば、室外で待つ来客には扉に入室の許可を示す表示が浮かぶのが見えただろう。

開かれた扉から室内に入ってくるのは幼さを多分に残しながらも女らしく見える少女。
髪や肌の艶はしっかりと手入れされた…手入れする余裕を持つ者であることが窺える。

「おや、プシュケ様。わざわざご足労いただいて、恐縮ですのぅ」

講師と生徒の身分は学びの場ではある程度隔てなく扱われるも、この場では臣下として振る舞うために立ち上がる。
相手は王族。イフレーア・カルネテル家の王女に恭しく一礼を向けてから、暗金を細めて好々爺を装って笑みを浮かべた。

もっとも…この国では今や、王族とはいえ他者の欲望に晒されることを免れられない。
少女は年若さゆえか、案内した者…あるいは魔導士貴族の表面上の立場ゆえか、警戒もなく一人でこの場に訪れたようではあるが。

彼女が属する王家は一芸に特化した才を見せる者が多く彼女もまた、芸術分野でその才能を如何なく発揮している。
嘘か誠か、その審美眼は人間相手にも通じるのだとも。

彼女を自身の塒ともいえるこの場に呼び込んだのはその才を研究できないか、己の力に転化できないかと考えての事。
併せて―…美貌の王女への邪な欲も、この国の貴族らしく持ち得ていて。

魔導師貴族の力への執着と探求心、それに様々な欲望は、少女の瞳にいかように映るものか。

プシュケ > 「貴方はここでは講師ですもの。色々お忙しいのでしょう?気にすることもないわ。」

姉とは違い、魔術系の授業は取っていないプシュケは、ルーベルと授業で絡むことはほとんどなかった。
とはいえ、知己がないわけでもない。

なぜなら、ルーベル・アルカヌムは英雄の一員であり、王都でも有数の魔術師でもあるのだから。
表敬を受けることもあり、宴や夜会で会うこともあっただろう。

臣下としての礼をとるルーベルの様子に、鷹揚に返礼を取れば、そのままルーベルの近くまで歩いていく。
その瞳は、ルーベルの姿を捕らえたままで。
そして、目の前に至った時に、すぅっ……と細まった。

何かを見通したかのような、何かを見透かしたかのような、そんなぞくっとした寒気を感じさせたかもしれないが、
プシュケ自身はそこには特に何も告げるでもなく。

「アルカヌム伯は一代の英雄ですもの。
とはいえ、私への御用というのが私自身は思いつくものではないのだわ。
受けるかどうかは約束できないけれど、まずは聞かせてもらえないかしら?」

同時に、ルーベルの『人脈』からすれば、イフレーア・カルネテル家の爛れた肉欲の世界について、知りうることだろう。

ルーベル > 王女の言葉に静かに頷いて見せる。

王族への一定の敬意を見せる態度は王国貴族らしく。
けれども必要以上に畏れることのない振る舞いは自身の目的以外にあまり頓着しない魔導士貴族の気質を思わせるだろう。
それは夜会などで感じるものや、噂で聞く男の印象とそう外れることもないはずで。

近づく少女が瞳を細めるのにも、男は特に動じた様子もない。
様々な"欲"に晒されるのは、王族で年若い娘である彼女はなれたものであろう。
彼女の異才で己の思惑が察せられることも魔導士貴族としては織り込み済みでもあって。

「英雄などと。偶さかの槍働きが王国には都合の良い話題になったというだけのこと。
 それも含め私は私の知見を広げ魔術を探求することにしか能もありませんでなぁ。
 プシュケ様はその御年で才知を強く発露されておられる。
 イフレーア・カルネテル王家のお歴々はみな同様とお伺いしておりますが…
 それの根源を探りたいと思うは不敬でしょうかのぅ?」

迂遠に言葉を操って伝えるのは、目の前の王女を探ることでイフレーア・カルネテル家一門が発揮する才覚について研究したい、という意図。

彼女の一門の爛れた関係は、まことしやかに貴族間でも噂に上がるもの。
そちらにも興味を示していることも、隠せないのか…隠そうともしていないのか。
男の暗金の瞳は、彼女自身の審美眼で整えられたのだろう衣装を纏うその身体を足元から這うように顔まで舐め上げるように這う。

プシュケ > ルーベルが紡ぐ言葉。それは、イフレーア・カルネテル家の一芸の根源を探りたいというもの。
その言葉に少し片眉が上がる。
長くを生きるルーベルには、そこに若干の警戒が込められていることを知るのは難しくはないだろう。

目の前の王女は、力を持ちつつも、結果的には小娘である。
力を持たぬ子女よりは手ごわくとも、結局は腹芸では数段落ちるのだ。

暫し考えるように目が伏せられて、その後に今一度ルーベルを見つめれば

「1つだけ、聞かせて。
それを求めるのは私が初めてという事で良いのかしら。
それとも既に、誰かと始めていること?」

イフレーアの根源を探るとなれば、どのようなアプローチを考えているのか、それとも既に行われているのか。
そこを気にしている様子。
特に、最も大切な双子のもう一人。姉は守ろうとしているような、そんな心算が見え隠れ。

貴族や王族の子女が怖気を感じることが多いであろう舐め上げるような視線には、
涼やかに受け止め受け流すのみ。
ここについての忌避感はさほど強くなさそうだと察せられるか。

ルーベル > 少女の整った相貌の中、眉が片方形を変える。
それが男の言葉への警戒心の現れであるのは察するに易く、むしろ当然と思えた。
己の探求心のために才能を調べたい、などと言われて喜んで受け入れる者など稀だろう。
まして王族としてそれらに類する思惑に触れることなど、いくらでもあるのだろうから。
男の視線にさほど意識を割く様子がないのもそれを現している。

だからこそ、次いで返された言葉には"誰か"に、臣下たるべき者の二心が向けられないかと案ずる様子が窺えて。

「お話を持ち掛けたのは、そうですな。学院でならこのようにお話しする機会もあるかと思っておりましたし。
 もちろん、私自身の探求心に根差すお話でありますから… 対価としてはこれまで以上の忠誠と、図りうる便宜を。
 あるいは、王家として、ご協力いただけないかと正式に王城へと遣いをやりましょうかのぅ。
 御姉妹には確か…薬品類に造詣深いお方もおられるとも聞こえますし」

そちらのほうが私の研究とは相性が良いでしょうか、などと。
目の前の少女の表情、様子の変化を窺うかのように、暗金は美貌の少女を見つめ、細められる。

王家に対して不敬と言われ得ないことを提案しながらも、男の忠誠が"イフレーア・カルネテル家"に向けられることは彼女の生家には確かな助力となることだろう。
老いたとはいえ支持基盤を持つ英雄、今も偉才を見せる魔導士。
上手く扱えば、それこそ彼女の守ろうとするものへの助けにもなるのだから。

プシュケ > 目の前の男が、イフレーア・カルネテル家の一芸に興味を持った。
ならば、誰がその目標になるかはわからない。
この手の話に一番相性が良いのは自分のはずだ。
自分の『眼』は、二心や悪意を見通すのだから。

そんな思考を辿る中、ルーベルが口にした言葉。
その言葉を耳にすることで、視線が警戒から警告へと跳ね上がる。

「……駄目よ。私であれば、協力する。
でも、ほかのきょうだいは、駄目。
それだけは、約束して。」

結果として、ルーベルの張り巡らせた蜘蛛の糸に一歩踏み込むこととなる。
特に姉への言及こそが、その背を押す引き金となったのは明白だろう。

同時に、後ろ盾として目の前の男が有用であることは、『眼』を使わなくても分かること。
ならば、己ならば大丈夫なはず、と。

……本来は、信頼できる家族に相談すべきであったのに、姉を守るとの一心から、その大事な部分は既に抜け落ちていた。

ルーベル > 少女の表情がまた一つ、感情の揺れを伴い。
彼女が意図してか、どうかは分からないものの、契約めいた文言が発せられる。

自分であれば協力する代わり、姉妹には協力させない。

それを聞いては魔導士貴族は浮かべていた笑みを僅かに深めて見せて。

「もちろん、御心のままに。"プシュケ様にしっかりと協力していただくかわり、御姉妹には協力を乞わぬようにします"」

言葉に込めるのは少しの魔力と魔術。
強制力を持つほどではなく、彼女の踏みこませた足にと、張り付く程度のそれ。
同時に男は互いの同意を得たことを表すかのよう、片手を彼女へと差し出して見せた。

その手を取れば、交わされた言葉に自ら応じたこととなるだろう。

プシュケ > そして、王女は理解していないことが一つあった。
己は、魔術に対しての造詣がないことを。

故に、魔力を感じたり、悪意を感じる『瞳』の領域であれば理解できても、魔術の領域でその魔力が何者か、という前提となれば無力であることを。

だが、今はただ、姉を守る一心のみで、差し出された手の上に、己の手を乗せる。
王国貴族の、淑女の握手。
2人の手が触れ合い、手を取り合うことで、己の言葉が、ルーベルの言葉が契約となり、二人を縛っていく。

「……それで、私は何をすればよいのかしら?」

そのように向けた問い。
その問いと共に、この研究室を外から覗くことは、誰にもできなくなって、男の研究が、始まるのだろう。

ルーベル > 【お部屋移動いたします】
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 講師研究室」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 講師研究室」からプシュケさんが去りました。
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。

その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。

なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。

「──はーいお疲れチャン。また来てくれたまへ」

そんな中の一室から、満足げに出ていく宿泊客を笑顔で見送る、スタッフ用の作務衣姿の金髪の男が一人。
今日も今日とて知り合いからの依頼で、臨時のマッサージ師として仕事に精を出しているのだった。

「ふぃー……こういう普通のマッサージも悪くはないのだが、そろそろ一発エロマッサージでもしたいところであるなぁ」

個室内に戻り、施術用のベッド脇の椅子に腰掛けながらそんな詮無い独り言を漏らす。
今日は現状、立て続けに男の『標的』にならない客の来訪が続いたため、男はごく普通のマッサージ師として
仕事をこなすばかりであった。
男としてはそれもそれでやりがいを感じなくはないのだが、やはり役得の一つぐらいは欲しいところであった。

「まああそれも時の運というヤツなのだが……──おっとと一息つく暇もなさそうだったな」

ボヤキを続けようとしたところで、閉じたばかりのカーテンが開く。
各個室は廊下に面しているため、稀に受付を経ていない誰かも紛れ込むこともあるようだが、それはさておいて。
現れたのは男の『標的』になりうる客か、それとも……。