2025/05/11 のログ
ご案内:「設定自由部屋4」にルーベルさんが現れました。
ご案内:「設定自由部屋4」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 広場」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 貧民地区と平民地区の間にある広場。
そこで気紛れな貴族が高貴な物の義務と声高に主張しては行われる『救済の炊き出し』。
参加する者の思惑は様々。それこそ気高い志の者もいるし、ただの偽善と割り切りながら金を出した手前と顔だけ見せる者もいる。
実際に一食にも困る者には受けもよいのだろうけれど、貧民自体への恒久的な救いには成り得ず。
むしろ餌に釣られて寄ってきた顔立ち整った者などはこの場で囲われたり、後々所在が分からなくなったりと良い結果ばかりではないのが実態ではあろう。
貴族同士や大店商人などは評判も欲しいからか開催は定期的に行われている。
手伝いにと雇われた教会関係者、冒険者、平民なども入り混じる空間。
「面子の揃いようは兎も角、退屈に変わりはないのぅ」
そんな場所でも護衛に囲まれ施しの様子を眺めるだけの貴族たち。そのうちの一人であるルーベルが益体も無い事をはっきり告げては近くにいた貴族に苦笑される。
手ずから給仕めいたことをする奇特な貴族も居なくはないがやはり少数派。
一応は…と参加した多くの貴族やそれらの代理人はつまらない催しの一つとばかりに人の集団を離れた位置から眺めるばかり。
見るだけでは飽きたのか、何か興でも引いたのか、その席から離れて周辺へと足を向ける男。
衛兵らしき者が一応は止めるも手で構うなとばかりの仕草を見せては、人の間を歩いて周る。
なにか面白い手合いでもいないか、いっそ不埒者でもいれば面白いのにとばかりに。
■ルーベル > うろうろと会場を歩く間に配給も終わりに近づく。
そろそろ解散と知らされては、箱馬車に乗り込み邸宅へと帰宅していって…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 広場」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都 平民地区のカフェ」にナランさんが現れました。
■ナラン > 陽の光が茜色に変ってくると、街を行きかう人々の足取りと顔ぶれが変わってくる。
穏やかに晴れ渡った今日、広場で遊んでいた子供たちは一人また一人と減っていって、それを見守っていた奥様方と思われるひとたちや、近所の友達同士でおしゃべりに興じていたひとたちも同じように去っていく。当然、それを相手に商いをしていた露天商は店じまいをはじめ、その露天商からおこぼれを預かろうとしていた猫たちも一匹また一匹と草むらに消えていく。
代わりのように現れて足早に通り過ぎていくのは、仕事を終えた人たちだろう。老若男女様々な姿で、あるものは仕事道具を背負って、あるものは勤め人なのか、お仕着せのような服を手に抱えて
ゆっくりと過ぎていたはずの時間がすこし、早くなったような。
(…街の光景 って感じですね)
広場傍のカフェで、つい先ほどテラスのひと席に着いたばかりの女は
目の前に展開されていく光景を暫く眺めた後にふっと口元をほころばせる。気の強そうな表情がほんのすこし、柔らかくなる。
ギルドで見つけた討伐依頼は、夜に出発するほうがよさそうだった。それまでの時間つぶしに、色々お店を見て回ったあと。
テーブルの上に紅茶のポットを運んできてくれた給仕にお礼を言って、去っていくその姿を見送ってからポットに顔を少し近づけて香りをかぐ。
立ち上る湯気は、ほんのりラベンダーの香りだ。
■ナラン > 湯気やお茶自体が紫色ではないのが少し不思議に思って、鳶色の瞳を瞬かせてゆっくりと赤茶色を濃くしていく様を眺める。
女はふう、と吐息とともに背もたれに背を預けると、ふと気づいたように自分の右手に視線を落として、それから目の高さまで掲げた。
「………」
だれに見られる、わけではないけれど、何となく周りを一瞬見まわしてから、掲げた手の甲をすこし顔に近づける。
その距離でも、薔薇の香りがふわりと漂ってくるのに女は瞳を細めて、それからううんと悩まし気に瞳を閉じて首を傾げた。拍子に立てかけた弓がぐらりと揺れ、それを感じた女は慌てて瞳を開いて手を伸ばす。
どうにか、テーブルの上も弓も無事だった。
改めて吐息を零して、瞳を閉じる。
時間つぶしのひとつで入った石鹸のお店。石鹸自体の香りも様々あって楽しかったけれど、奇麗な瓶に入れて並べられていた香油の光景がまだ思い出せる。
ほんの少し『お試しで』と塗ってもらった指先の、初めて香りをかいだのもまだありありと思い出せる。
■ナラン > (……でも)
自分には明らかに無用のものだ。香りなど、逆に邪魔になることの方が多いだろう。
(……でも、たまになら)
何か、特別なときに。
「……――――」
吐息がこぼれる。その『特別なとき』が全く思い浮かばなくて、それからなんだか可笑しくなって、女は独り口元を隠してくすりと笑った。
視線を移せば、そうこうしている間に紅茶の色も程よくなったように思う。先ほどしげしげと眺めていた手を伸ばして、カップに注ぐとふわりと薔薇とラベンダーの香りが入り混じる。
買ってしまうより、買うかどうか迷っているときの方が楽しい
と、いつだったか会った女性が言っていたのを思い出す。今がそんな時かもしれない。
そんな益体もないことを考えながら紅茶を飲んでいると、建物の端に太陽が隠れ始めたらしい、日陰が色を濃くしていく。
あんまりぼうっとしていると出遅れてしまいそうだ。
女はまだ湯気の立つ紅茶をあわや火傷しそうになりながら、それでも十二分に香りを楽しんで
空の色が茜と群青で曖昧になるころには、長弓を背にした姿は、カフェを後にしていただろう―――
ご案内:「王都 平民地区のカフェ」からナランさんが去りました。