2025/03/04 のログ
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ご案内:「霊桜教施設」にキュリアスさんが現れました。
キュリアス > 【待ち合わせ待機中】
ご案内:「霊桜教施設」にミホ・クギヤさんが現れました。
キュリアス > ある昼下がり、猫は散歩をしていた。
そして尻尾に針がある虫を見つけ、遊んでいた。
遊んでいたその虫が死ぬと、腹が減ったので食べた。
不運なのは、その虫のほうであるが……猫のほうも不運だ。
なぜならその虫は……嫌不運か?見てわかる通りの毒虫だったのだ……。

「にゃあ~……にゃあ~」

見るからに顔を青くしている猫を、とある施設の職員が見つけ、運んでいる。
自分でろくに動けないくせにかなり重いのか、職員が二人で前足を持ち上げて運んでいた。

『おい、すげぇにゃあにゃあ言ってたけどこんなの拾ってよかったのか?』
『知るかよ。だってこんな見た目が派手なネコ、ぜってぇ普通じゃねぇだろ』

などと職員たちは話しており

『とりあえず一番この手の扱いにかけてるあの人に診せようぜ』
『まぁ蛍光するネコとか明らかに普通じゃねぇしなぁ……しかも……この重さ……コイツかなりデブだ!!』

やいのやいの、男たちの言葉を聞きながらそのネコは顔色の悪くさせながらも
文句など言えないほどに今は弱っており、屈辱的に引きずられることとなるのだった。

ミホ・クギヤ > 確保、収容、保護。ではないけど怪異と付き合って行こうねというスタンスで、芦原会は今日も日陰に平常運転。
ド辺境宗教国家の大使館的なテンプルは、地元民から適度にうさん臭く思われながらも努めて行儀よく現地に馴染もうとしていた。
その構成員たる一人、供物として養育されたにしては年かさな巫女の本日のお勤めは、ひたすら紙を折る仕事。
小間使い的な式神みたいなやつにやらせればというザ・内職を、
神具の一部になるのだから心こめてやんなさいという事でペタペタペタペタ。
欠伸を嚙み殺して目をしぱしぱさせるバイト巫女感覚で燈明の油が足りなくなるのをじっと待っていたら、
何か拾ったとお呼びがかかる。

「――はいはいはいよ、どしましたー? 猫だって?
 いつもいっぱい来てるじゃないか、その辺放しておけば皆と一緒に吉川和尚からご飯もらうでしょう。」

面倒くささ半分解放感半分、猫拾って来たなんて聞いたら放っておきなよと女子にあるまじき冷たさだけど
わざわざ声がかかった意味は考えるし、であればほとんど冗談である。
神様めいたお猫様なのねと、エージェントに連行される異星生命体のようなポジションのその『猫』を見て
ああん?とうさん臭げに眉根が寄った。

「――ああこの… この、子? うん、この人は。知ってるけどナニ、連れてけって頼まれました?ではなくて?
 あー―― ほらどうしたええと… えー―― 名前、あー、あの、あれだ、タコの。
 ああキュリアスだったか、それとも同族みたいな人違いもあるのかね。なんでノビてんだいらしくない。」

疑念半分、心配半分。知らない仲ではないが知ってると言うには何も知らない、縁のあったお猫様?の頬をむにむにして、
いよいよ反応が無いようならとりあえず医療班を兼務する他隊の協力も仰ごうか。
化け猫の解毒治療なんてどうしたものやらだけど、放っておくには忍びなく――

「なに重たい? そうだっけ? やっぱりコレ化け猫じゃなくて猫に化けてるヒトなんじゃ――」

人心地つくまでは慌ただしく、出来る事をするか何も出来ないと判断されたら、
低危険度の収容室、地下座敷牢めいた場所にて座布団くらいはもらえるだろう。
関係者?の巫女はしばらく付き添うし、しばらく話が出来ずとも、その後もちょくちょく顔を出す事になるが。

キュリアス > 『おっと!コイツが例の奴ですぁ!』
『見てくれがあんまりにも怪しいんで、弱ってるけど連れてきやした!
 どうすりゃいいっすか?』

などなど、なんとも緊張感のない職員たちの様子はこの巫女との気安い空気を感じられるか。
目が疲れているであろう彼女に若干の同情を見せながらも、仕事は仕事。
というわけで彼女に診せることになったわけだが……。

「にゃあ~……」

キュリアス、と呼ばれればその猫が力なく青いゲッソリとした顔でもじゃ巫女を見上げて。
頬をムニムニしてみれば、前のような柔らかさではあるがだいぶ体温が下がっているのがわかるだろうか。
相変わらずの異様な体毛ではあるが、その輝きは幾分か失せている様子であり。
煩わしそうにムニムニされ続けて、ようやく口を開く。

「さっきから猫のことグチグチ言いすぎにゃ!まるでモノみたいに!
 ミホちゃんまですごいひどいこと言ってるにゃ!う”っ!」

叫んだらまた気分が悪くなったのだろう、それきりまた黙ってしまう。
ゴロゴロと喉―――ではなく腹が唸る。
「はうぅ」というなんとも可愛らしい苦しみの声とともに身悶えする猫。
どうやら非常によろしくないものを食べたらしい…………。
ミホの見立てによると、なにか呪いのようなものをかけられた上に毒を飲み込んでしまったと。
そういう風に見えるだろうか。幸い猫は普通の猫ではなく、抗えているから今の状態という訳で。
まぁ、つまり。時間経過で治るのを待つしかなくなるわけである。

『じゃあ俺たちはここまでっすね、あとの見張りはお願いします!』
『知り合いみたいだし、気楽になれますから交代なんて必要ないっすよね!ミホさんなら大丈夫!』

などと言って、ほかのエージェントはどっかへと行ってしまう。
座布団にくるまる猫の姿は、以前の快活的な姿とは程遠く。
冷や汗を出しながらミホを見上げて。

「にゃあ……こんな屈辱的に誰かに運ばれたのは、初めてだにゃ……っ!
 ここはいったいどうなってるにゃ!もっと猫の優しく……あうぅ……おなかいたぁい……」

威勢のいいことを言おうとするたびに、こうやってすぐに体力を失っている様子であった。

ミホ・クギヤ > 「うん悪いヤツではないんだけど、ないと思うんだけどね。」

だけど、が付くのである。
人の満足を糧にすると言う超常のお猫様。
報われない善人の味方でもしてくれているうちは良いけれど、価値観の共有には怪しいところがあるしどう転ぶか分からない。
とはいえ、そんなのはそもそも人間様からして皆さんそうなのだ。
もにゅもにゅとほっぺをこねても反応が無いと一抹の不安を覚えるが――

「――お、喋った。文句が言えんならまだ平気だね。
 ニンゲンから同胞として扱われたいんならヒトの姿に戻りなって。でなきゃこっちからしたら猫だからねえ。」

モノって言うと酷い気がしなくもないけど、家族なんて聞くと嘘を言うなと言いたくなるペット飼ったことない人。
スゴイヒドイ事?何か言ったかい?と同僚と真面目に顔を見合わせて、まあいいか、別にいいよねとアイコンタクト。
ぞんざいに扱いたいわけではないけれど、煮ても焼いても食えそうにないならそう簡単に死ぬことも無いだろうみたいな。
――なんかヤバい声が聞こえると、前の口でも後ろの口でもここで粗相をしてくれるなと縁側に運び出す始末。
適当な空き火鉢に端切れでも詰めて粗相対策したりて、からの診察で呪いとか絡んでるようだとやっぱり専門の人を頼るけど。
プロの見立ては『寝てりゃあ治る』で一安心。
そして『知り合いなら後は任せた!』という非常にやり易い押し付け先は、逃げられず。

「ナニを食べたんだナニを。
 ちょっとやそっとの毒やら呪いじゃケロリとしてそうなのに、よくあるのかいこういう事は。
 虫? ソイツ他にもいなかった? 食われない限り異常性は無いくらいの可愛げがあると良いんだけど……」

この虹色した超常猫をこうも苦しめる虫となると素性が気になってくるが。
当面の悩みとはつまり手間をかけて報告する/しないであり、
戻っても眠たい内職の続きじゃあ忙しいフリしておこうかねという打算も少し。
キュリアスから聞き取り調査を続ける座敷牢。
辛気臭いところだけれどせめて暖かくはしてあげよう。

「――いつまでグチグチ言ってんだい甘やかされ過ぎだ。
 そもそも大の男が一人じゃ抱えられないくらいの体重しておいて、誰になら猫らしく抱えてもらえるって?
 やっぱり化け猫じゃなくて猫に化けた人だろう。」

でもそんなに重かったかなあ?と持ち上げたくなるが、苦しんでいるようなのでそっとしておく。
さする?と、どうしたら良いのか分からない感じで覗き込みながらおずおず手を伸ばし。