2024/09/15 のログ
ケイオスギャラリー > 扱うのはありとあらゆる骨董品。
絵画や石膏像のような美術品・芸術品から、アンティークなデザインの椅子などの家具まで、もちろん芸術品の範疇であれば剣や鎧まで幅広く扱うここは骨董品店『』。

お店には看板はない。
ただ誰が見ても骨董品店だとわかる雰囲気だけある。
手元に未鑑定の武具があれば、持て余している芸術品があれば店はアナタを歓迎するだろう。

もちろん冷やかしも歓迎である。
お店の中は暖かく、今の時期は涼しく。
甘いハーブの香りとともに客の訪れを待っている。

今宵も店主はカウンターの奥で椅子に座りながら、品物を磨いてその時を待っていた。

新しい商品が骨董品が、新しく芸術品となる素材が店を訪れることを……。


きゅっ、きゅっ

今シルクの布で磨いているのは手のひらサイズの二つで一セットの黒曜石で出来たガーゴイル像、それを丁寧に丁寧に磨いている。

丁寧に、丁寧に、丁寧に。
買い手が早く着きますように。
早く持って帰って貰えますようにと願いを込めて。

カウンターの傍には赤い布がかけられた絵画もある。
それもまたおすすめの逸品であり、フードの奥から時々視線を送り、それもまた早く買い手がつかないかと、考えている。

「客が来なければ何にもならん。」

ガーゴイル像を磨く手を止めて、ため息交じりに愚痴を零す。

老若男女どれでもなくどれでもある聞き手により聞こえる音の違い摩訶不思議な声で。

ケイオスギャラリー > 今扱っている骨董品は様々あれど、店主が奨めるのは……。

『二対一体セットの手乗りガーゴイル像』
黒曜石で出来た掌サイズのガーゴイル像。
精巧な作りで飾っても遊んでもよし、ただ嫉妬深いので両方同じくらい遊ばないと、遊ばれてしまう。

『深淵の絵画』
キャンバス一面が真っ黒に塗られている不気味な絵画。
絵は自らのキャンバスに鮮やかな絵が描かれるように、素材に向けて手を伸ばして引きずり込もうと。

あとは一見してシンプルなドレスであるが裏地に触手がびっちりと生えた不思議なドレスや、魔導仕掛けのマッサージチェア、諸々と奥の倉庫に行けば色々とある。

――…ここはそういう骨董品店。
主のいない骨董品が眠る場所、骨董品が完成を求めて獲物を待ちわびる場所、アナタが芸術品にされる店。

頼まれれば普通の鑑定や解呪程度はしてみせる。
そんな店主のガーゴイル像磨きは続く。
時々ふと顔を上げて店の入り口を見てはため息を吐きながら。

ご案内:「平民地区 骨董品店『』」からケイオスギャラリーさんが去りました。