2024/08/19 のログ
ご案内:「農村近くの洞窟」にナランさんが現れました。
ナラン > 水の滴る音がする。
靴底が踏むのは固いようでいて所々が砂利の混じった地面で、果たして地面が本当はどのくらい傾斜しているのか俄かに判別がしづらい。

「―――…」

深呼吸して、吐いた吐息が俄かに白くけぶる。もともと肌を晒さない服装をしているが、それを通して冷たい空気を感じるほどにはここの温度はひくくなっているようだ。

たまたま通りかかり水を求めた農村で、子供が行方不明になったという母親と会った。
取り乱す母親と慰める夫と周囲の村人たちに、とりあえず王都の冒険者ギルドに助けを求めるように伝えて
女は1人、子供たちが向かったと思われる自然洞窟に来た。

最近冷気を纏った妖精か魔獣が住み着いたらしく、この厳しい暑さに時折村人たちで洞窟の近くへ涼みに来たりしていたらしい。
調査のための資金を出すような余裕は村にはない。共存を選んだ村の人々は子供たちに常々洞窟に入るなと言っていたようだが…

行方が分からなくなったのは幼い兄妹。女が洞窟に潜って暫く経つ。ここまでの間に、分かれ道は無かった。
もし子供たちだけでこれだけ深くまで潜って帰ってこないのだとしたら、何らかの理由で帰れなくなっていると考えるのが自然だろう。

ここに来たかもしれない、というのは母親の杞憂で、外ではもうけろっとした顔の子供たちが見つかっているといい。
そう願いながら、夜目の効く女は灯りを持ないまま、慎重に足を進める。

ナラン > 鍾乳石がところどころ下がった天井は段々と低くなってくる。
避けるために身を低くしていると―――ふと目に着いた、最近割れたらしい鍾乳石。
屈みこんで観察するが、ヒトの仕業か獣か、すくなくとも自然に割れたような切り口ではない。

ひゅう、と冷気が洞窟奥から漂ってくる。外の外気に吸われているのだろう。

―――と、その音に乗って声が聞こえたような気がした。
ヒトだろうか、それとも。

ともあれ女にとっては進むしか道はない。帯に挟んだ短剣を確かめ、手指の動きを確かめる。
一段と鍾乳石が多くある場所を身をかがめて通り抜けて、さらに奥へと―――

ご案内:「農村近くの洞窟」からナランさんが去りました。