2024/08/17 のログ
ご案内:「王都 平民地区/雑貨商店」にセリアスさんが現れました。
セリアス > 平民地区の大通り沿いにある雑貨商店。
文字通り雑多なものを扱う商店も、暑さの盛りの季節に合わせた商品に寄せている。
薄手の被服や日除けの道具、虫除けなど。

一般的な雑貨類が主な取扱ではあるけれど、店主の趣味か少し風変わりなものも置いていて。
多少の値は張るが避暑の効果を持つ魔導具や、日焼けをケアする道具などもある。

暑さが人出を制限しているのか、客の入りはいつもより少ないくらい。

店員はそれでもやることがそれぞれあり、忙しなく動いていて。
そんな中で、店主たる男は額に汗を流し、金糸を其処に張り付けながら。

「ああ、暑い……。 ――……ああ、うん。こういうときのためのもの、ではありますか……」

そう言いながら壁際に置いてある腰高の箱のような魔導具に触れる。
魔力を溜めれば、室内を定温に保つという触れ込みのそれ。
話し方の胡散臭さは一級ながら腕も一級の知人の技術者から売り込みをかけられたもの。

幾度か試しに動かして売り込み通りの効果が出ることは知っていたものの、
開店中に本格的に稼働させることはまだなかった。

その日の暑さは、試運転への不安よりも現状への不快感が上回るほどのものだったらしい。

低く稼働音が鳴り、魔導具の周辺から涼し気な空気が流れ始める。
ほどなく、魔導具付近は外寄りは幾分かマシな温度と湿度になり。

魔導具の稼働の様子を眺めながら、量産はできないと言っていたことを惜しく思いつつも。
知人の気まぐれで、少なくとも店の中では快適に過ごせることに感謝しながら。
汗が渇き、額から浮いた髪を軽く頭の後ろに掻き上げるようにして、一息ついた。

ご案内:「王都 平民地区/雑貨商店」からセリアスさんが去りました。