2024/04/02 のログ
メアリ > 「えぇ、もし機会があればその時はよろしくお願いしますね」

思い出しながら言葉を並べる女の様子を黙って見まもっていながら、何か納得した様子の言葉には一つ頷いて。

「何故と言われますと、そうですねぇ……
――仕事柄ですかねぇ。戦う事が私の仕事なので
たまにこういった傷を負ってしまう事があるんですよね」

傭兵、と言って伝わるかどうかわからなかった為、内容をおおまかに砕いて傷がある理由を説明する。
鶏肉料理を進められると、店員が先ほど気を遣って持ってきてくれたフォークを手にとって
それを口へとのんびり運んで。

「気付いたらですか。不思議な事を言いますねぇ。
服だって綺麗ですし、人さらいにでもあったという訳でもないのでしょう?

……そうそう、異端というやつです。面倒事程度の話でしたら良いですけどねぇ。
賑やかで最近なんかは広場でお祭りもやっているようですけど
そこまで治安が良い国でもないのですよ、此処。」

などと言いながら、己が異端と言われると不思議そうに首を傾げて

「異端というと?もしかして傷が多いからとかそういう事でしょうか……?」

確かに傷だらけの女は珍しいだろうと思いつつ胸元の傷を指の先で触れる

枢樹雨 > 「戦う?君が?…戦でもしているのか?もしくは魔族とやらか?」

戦う。女が。妖怪の見てきた人の常識とは、少し違う。そもそも何と戦っているのか。
そして改めて、目の前の相手の性別が女であるのか。
疑問に思ってしまえば、ずず…、ずず…と、座ったままの椅子を引き摺りながら、貴方の左隣に移動していこう。
別に目が悪いでもないが、至近距離で貴方の身体を確認し直そうと。

「人さらいはないね。この国の地に足を着くまで、私は肉体を持っていなかったから。
 花弁のように、風に乗って飛ばされてきたのかもしれない。
 まぁ、私が居た国も、人さらいや人斬りくらいはあった様子だ。そんなものと思っておくとしよう。」

己の事ながらよくわかっていない妖怪は、天井が隠す空を見上げ、思いつくままを言葉にする。
そして貴方の隣りまで移動したところで、自分の杯を引き寄せて。

「そうじゃない。私が異端であるのに、君は普通に接している様に見えるから。
 仲間、とうことかと思ってね。――そうでないのなら、…私はこのあと攫われる?」

メアリ > 「そんなとこですねぇ。
魔族に限らず、私を雇った人間にあれが敵だと言われたら
魔族だろうが魔物だろうが人間だろうが関係なしに戦いますよ。」

椅子ごと己の左隣にやってきた女の姿に目を丸めてすこしばかり驚くも、変わっている、というのは
店に入ってマスターから話を聞いた時点で理解しているので、突っ込むことなく好きにさせる。

ぐび、と一気に残りの酒を呷ると、通りすがりの店員におかわりと適当な摘まみを注文して。

「肉体を持ってないって……幽霊かなにかですか?」

その言葉に苦笑いを浮かべながら真偽がわからない女の言葉に冗談めいた言葉を投げかけるが
正体は妖怪なのだから大きく外れたわけでもないのかもしれない。

「何を言うのです、仲間ではありませんよ。
見慣れない格好をしておりましたから興味が沸いたのは事実ですが
それ以上もそれ以下もございませんし。

――攫われるって、誰に?……私に?
あはは、私があなたを攫って何をすると言うのですか。私に女性を攫う趣味はありませんよ。」

女の言葉に一瞬きょとん、としながらもすぐに笑いだしてしまう。
先程頼んだエールと摘まみが届けば、つまみを女とシェアしつつ再び酒を飲み始めて。
食事と酒代は持っているのだから、満足するまでは話に付き合ってもらおうとそのつもりで――

枢樹雨 > 「ほう、じつに頼もしい。君は女だよね?この国では女が戦う事も珍しくはないのか。」

己の様な、異端とされる者もどうやら多く存在しているらしいこの国。
そこでおいて雇主の命じるまま戦うと言うのだから、その度胸は知れる。
またひとつ知り得た知識を喉の奥で噛みしめながら、
貴方の腕や腿や胸元を白い指先でつついて女である事を確認しようとしただろう…。

「幽霊。まぁ、そんなものだね。
 人であった経験はないけれど、触れる事も触れられる事もなく、食べる事も寝る事もない。
 だからこそ、こうして肉体を得た今は、じつに有意義だ。」

幽霊が通じるのであれば、それはとても説明がしやすい。
こくこくと頷けば口角を持ち上げ、現状を喜ぶ言葉が嘘でないと示す。
そうしてまた、酒に食事に、手を伸ばし堪能し。

「なんだ、違うのか。同じ異端であれば、どの様なものか詳しく聞こうと思ったのに。
 ――まぁ、いい。害がないのなら、存分に聞かせてもらおうじゃないか。この国のことを。」

笑うとより一層、朗らかな雰囲気が増す。それがまた、彼女の肌に残る傷との乖離を感じさせる。
気が付けば、妖怪もまた貴方へ興味を抱いていた。
それならば後は、望むままに質問攻め。この国の名前から、ゴルドの正体、ゴルドの入手方法、
知識を得るに最適な場所や、貴方の傷ひとつひとつの経緯など。

追加でやって来たつまみを嬉々として頂きながら、時間が許す限り言葉を交わす。
貴方が問いを投げ掛けるなら、先ほどまでと同じように存外饒舌な妖怪は包み隠さず答えるはず。
そして別れ際、「これが霊体」などと言って、貴方の前で姿を消すのだろう―――

ご案内:「平民地区 酒場」から枢樹雨さんが去りました。
ご案内:「平民地区 酒場」からメアリさんが去りました。
ご案内:「王都内 図書館」に枢樹雨さんが現れました。
枢樹雨 > ここが個人所有の図書館なのか、国営の図書館なのか。
そんなことは妖怪にとっては如何でも良い。
ただ其処に沢山の書物があったから、霊体となって窓からするりと入り込む。

並ぶ本棚。数多の書物。すぐさま実体へと姿を変えれば、スンと鼻を鳴らす。
香るのは、独特な匂い。紙の匂いか、手入れが行き届かないカビや埃の匂いか。

幸いにして文字を読むことが出来た妖怪は、窓辺の本棚から適当な本に手を伸ばす。
華奢な指には、少々重たい書物。
目線より高い位置から引き出した為、胸元で受け止めるように抱えれば、古びた装丁のそれを見下ろして。

「マグメール、…食と、文化。」

前髪の隙間から見下ろす装丁。其処に綴られたタイトルらしきもの。
控えめな魔導照明が照らす室内。窓からの月灯りも借りてそれを読み上げると、
その場でページを捲り、連なる文字と時折添えられた絵柄を熱心に見つめ。

枢樹雨 > 気が付けば随分と読み耽っていた。
このまま此処にある書物を読み尽くしたいところだが、実体のままでは腹も減るし眠くもなる。
静寂の室内に、溜息ひとつ。
重たい書物を元の位置へと戻したなら、妖怪は霊体へと戻り、何処かへと消えて―――。

ご案内:「王都内 図書館」から枢樹雨さんが去りました。