2024/04/01 のログ
ご案内:「平民地区 酒場」にメアリさんが現れました。
ご案内:「平民地区 酒場」に枢樹雨さんが現れました。
■メアリ > 日帰りで仕事を終えて王都へと戻って、顔見知りの店で軽く飲もうかなととある酒場へと入る。
「ん……?」
店に入れば夜の酒場らしい賑やかさが伺える。
その店内の奥、そこで何やら店主が客と揉めているようにも見えて、どうしたんだろうと不思議に思えば
挨拶がてら店主と傍に立っている客らしき女性?の元へと向かう。
「こんばんは、マスター。どうされたのです?」
困り顔の店主に声を掛けつつ、横目で異国情緒あふれる浴衣にも似た服を着ている女を見れば、異国の旅人
だろうかと内心首を傾げて。
■枢樹雨 > 肉体を得て数日―――。
酒の美味さと酒の種類の多さを知った妖怪は、早速欲の赴くままに新たなる刺激を探し求める。
見つけたのは、酒の杯らしき絵柄を掲げたひとつの扉。
迷うことなくその扉を開け、適当な椅子に腰掛けたのが数十分前。
テーブルの前には空になった杯が2つと、食べかけの食事が乗った皿が2枚。
そして傍らに立つ、この店の店主だという相手。
困っているらしいその顔を、前髪の隙間から仄暗い瞳で見上げ、妖怪は首を傾げている。
「ごるど、とはいったいなんだ?何故私はそれを君に渡さないといけない?
店とは酒や食事を振舞う場所だと思っていたのだが、何か違うのか?」
淡々と、抑揚のないしゃべり口調。
下手をすれば質の悪い言い訳を並べる食い逃げ犯だが、仄暗い青の瞳には、純粋な疑問の色しか浮かんでいない。
――と、そこへ新たなる声が届く。
ゆるりと視線をやれば、まずその美しい髪に目が留まって。
■メアリ > 「――ふむ、なるほど。つまり無銭飲食と……
分かりました。ではこの人が食事した分は私が払いましょう。あ、それとエールをふたつお願いしますね」
マスターから事の経緯を聞いて、腕を組みながら苦笑いを浮かべる。
そして再び横の女を数秒程見下ろすと、何を思ったか店主に自分が代金を持つと言って
女の向かいの椅子に腰を下ろしつつ注文を伝える。
困惑した様子の店主であるものの、払ってくれるのなら、まぁ……とその場を離れていったことだろう。
「……さて、と。あなた、お名前は?
見慣れない変わった服を着ていますけれど、異国の方?」
テーブルに腕を置きながら、その黒髪の隙間から見える綺麗な青碧色の角を一瞥してから問いかける。
何故この変わった女の代金を自分が持ったかといえば、簡単な事。
見慣れない姿をしたこの相手に気まぐれながらも興味が沸いて、酒の肴に何か面白い話のひとつでも
聞けるかもしれないと、そんな気がしたから。
■枢樹雨 > 顔見知りか何かだろうか。
勝手知ったると言った様子で店主と言葉を交わす女性を見上げるまま、
明らかに自分に非がある旨の説明が横でなされているのに、右から左にスルー状態の妖怪。
銀の髪に、青い瞳。露出する肌には、妖怪の観点からすると凡そ女性に似つかわしくないいくつかの傷。
それが不躾であることを知らない妖怪は、遠慮なしに頭から足の先まで女性を観察。
満足いくころには何やら店主との話が終わったようで、また先ほどまでとは違った困惑を見せる店主と、
女性の顔を交互に見遣る。
すると店主が離れていくのだから、不思議そうに首を傾げて。
「………私は、枢(くるる)。これは着物だ。私が居た国では、皆これを着ていたよ。
――君は?この国の人?」
隠しもしない、頭の上の二本角。あまりに堂々としているからこそ、そういった種族だと納得されていたのかどうか。
目の前に腰を落ち着けた相手を真っ直ぐに見つめ、問いに順に答えていく。
左腕を持ち上げ、垂れ下がった着物の袖を見せたりと、動きは全体的にゆるやかに。
■メアリ > 女の視線に気がついてはいながらも、特に気にする様子はない。
その代わり、己もまた相手の姿を遠慮なく観察させてもらう事になるのだけど。
「枢様、ですか。あ、私はメアリと申します。どうぞお好きに呼んでくださいね。
――キモノというのですね。浴衣と似ている気がするのですけど、それとはまた違うのでしょうか……
えぇ、私は此処の国の人間ですよ。」
緩やかな動きを目で追いながら、着物と言って見せられたそれを見つつ小さく首を傾げる。
早速エールが届けば、一つを女の目の前へと「どうぞ」と一言添えて差し出して。
「ひとまず乾杯しましょうか。
……分かります?かんぱいって。」
酒の満ちたグラスを両手に持ちながらそんなことを告げるも、どうにも店主の話を聞いた様子一般常識が
通用しないところもある様子で、念のために確認をと
■枢樹雨 > 己が貴方を不躾に観察したから。ではない。
ただただ他者の視線に無頓着な妖怪は、貴方から向けられる観察の意にもなんら気にした様子はない。
似た色でありながら、雰囲気のまったく違う青を、向かい合わせるのみで。
「めあり。メアリか。…浴衣は、この国にも存在しているのだね。
浴衣は、着物の種類のひとつだよ。私が着ているこれよりも、格式が低い。
誰もが気軽に袖を通す、日常的なもの。――君も、きっと着られる。」
答えてくれる貴方の言葉を、ひとつひとつ受け取り噛み砕いて行く。
この国の人間でありながら浴衣という単語が出てくるのであれば、それはそれなりに当たり前として存在しているのだろう。
なるほどと、ひとり納得するよう呟く間もあるも、するすると平らな言葉が並べられていく。
しかし、其処へ新たなる杯が差し出されるなら、ぱちぱちと数度瞬きを繰り返し、両手で杯を持った上で首を傾げる。
「わかりは、するけれど、…………乾杯。」
対価が、必要なのではないか。
一応それなりに店主の言いたい事が伝わってはいた妖怪は、新しい杯の意図を読みかねる。
ただ酒はうまい。ので、己の杯を思い切り貴方の杯にぶつけよう。
妖怪の知るこの国での乾杯は、男達の雄々しい豪快な乾杯だったものだから、非力ながらそれは勢いよく"どんっ"と。
■メアリ > 「へぇ、そうだったのですね。どうりで良く似ていると……
――私に着れますかねぇ。浴衣もお友達に何度か教えてもらってようやく
着れるようになったくらいなのですよ?」
手先が器用ではない己が着れるだろうかと、身に着ける装飾品が多そうにも見える女の着物とやらを
見つめながら首を傾げている。
「――ならよかったです。はい、かんぱ……――ッ?!」
乾杯くらいは知っているようだと思えば、けど、と言い淀んでいる様子が気になりながらもひとまず
盃を交わそうとグラスを前に出した。
――そして勢いよくぶつかるグラス。
目の前の女が非力でなければ届いたばかりの酒が粉々のガラス片と共にテーブルの上に広がっていたかもしれない。
女に酒をおごるつもりではあるが、酒屋のテーブルにまで酒を飲ませるつもりはない。
「もうっ、そんなに勢いよくぶつけたら割れてしまうでしょう?
……乾杯はこれくらいで良いのですよ。」
小さくため息を付きながらグラスを持つ女の手を引き寄せて、己のグラスと女の持つグラスをこつん、とぶつけた。
これくらいで良い、とまるで幼子相手にでも教えるように。
女から手を離せば、グラスに口を付けて冷えたエールをこくこくと飲んで
■枢樹雨 > 「そうかい?それならば私が着せることもできるよ。
ああでも、君は胸が大きいから少し苦しく感じるかもしれないね。
私も、少々苦しく感じる時がある。」
穏やかな話口調。柔和な表情。それらはどこか、手先の器用さ…丁寧さを感じさせる。
そもそも和装が比較的特異な着方である事を知らぬ妖怪は、楽勝くらいの心持ちで首を傾げて見せる。
そして己の胸元に手を置き、相手の胸元を見遣る。それは女同士の気安さと言うより、恥じらいの欠如。
「――――??」
怒られた。とまでは思っていないが、覚えたばかりの乾杯を披露したところで、注意をされてしまう。
両手に杯を持ったまま首を傾げていると、優しい手が新たな乾杯を教えてくれる。
ガラスの杯が、小さくも涼やかな音を鳴らすのに双眸を細めれば、貴方に倣って口許で杯を傾け。
「――うん、美味しい。そして学んだ。ガラスの入れ物は、優しく扱わないといけないのだね。」
酒の美味さは相変わらず。けれど思えば、先日とは入れ物の質が違った。
手の中の杯を、前髪の隙間からまじまじと見つめると、その向こう側に見える貴方に視線を留め、杯を置き。
「それで…、私の解釈違いでないのであれば、酒には"ごるど"という対価が必要なのだろう?
私はそれを持っていないが……、そうか、ご馳走してくれるのか。そういうことか。」
乾杯前の言い淀み。その意図を改めて言葉にするのだが、貴方の返答を待たずに勝手に得心する妖怪。
表情こそ大きく変わらないが、上機嫌な様子でまたひと口エールに喉を浸し。
■メアリ > 「――?……苦しく感じるならば前を少し開いて緩めれば良いのではないのですか?
浴衣でも前を開いている方もいらっしゃるかと思うのですが」
胸もとを見られても恥じらいを感じさせる反応は帰ってこないだろう。
不思議そうに尋ねながら、単純な疑問を投げかける。
己の言う前を開いている方、というのは主に男性であるものの、それが男女共通の着こなしの一種だと
勘違いをしていて。
「――ふふ、ガラスでなくともあんなに勢いよくぶつけなくとも良いのですよ。」
そう言いながら可笑しそうに口元を指先で軽く抑えて笑い。
この町でもよく男性辺りが勢い付いて盃を勢いよくぶつける姿は見かけるので、それの真似だろうかと
思いつつ、前髪の隙間からこちらに注がれる視線を感じるとそちらを見て。
「えぇ、えぇ……そういうことですねぇ。
んふふ、理解が早くて助かります。」
己がご馳走するという旨も理解していなかったのかと思えば肩を揺らして笑いながら頷き。
「あなたが異国の方というのは分かりましたが、なぜこの国にいらっしゃったのです?
それにその角、人間ではありませんよね。……その様子からして魔族でもないのでしょうけれど。
――この国に滞在するのならその角は隠しておいた方が無難ですよ。
貴方のその角から魔族だと勘違いする人は確実にいるでしょうし
皆々そうでないにしろ、魔族に対して良く思っていない人間はこの国に沢山居ますからねぇ……
それにとても綺麗な色をした宝石のようですから、好事家の貴族にでも狙われる可能性だってあるでしょうね。」
気まぐれながらも善意の言葉には違いない。
お酒をちびちびと飲みながら相手の綺麗な角をぼんやりと眺めつつ告げて
■枢樹雨 > 「前を?それでは着物の美しさが損なわれてしまう。
……いや?思えば下町の女は普通に気崩していたか。
あれは働く者、乳を赤子にやる者のの特権かと思っていた。
――では、君に着付ける機会があれば、胸元は緩めてあげようね。」
着物文化の国に長く居ながら、知識に著しく偏りがあるのは肉体持たぬ妖怪だったからか。
他国の住民である貴方の言葉に目から鱗とばかり、前髪の下のたれ目を僅かに見開き頷きひとつ。
己の着物の衿を二本の指で摘まみ滑らせながら、貴方の胸元を見る。
「それにしても、君は傷だらけだ。――何故?」
杯を置き、白い指が貴方の胸元を示す。そして事実を述べる。
半分程残っていた鶏肉の料理と蒸し野菜を貴方にもと勧めては、子供がそうするように問いを投げる。
そして貴方からも問いが投げ掛けられるなら、情報が語られるなら、野菜と言葉をのんびり咀嚼した後にフォークを置き。
「何故。…何故だろう。気が付いたら、この国に居た。自ら、この国を選んだわけじゃない。
しかし、そうか。角は、人の子にとっては異端か。 面倒事は、避けたいところではあるね。
でも、君は"そう"ではない。…ならば君も、異端?」
妖怪が知らぬことを察し、丁寧に説明をくれる貴方。それをじぃ……と見つめる妖怪。
頭にある青碧の角をひと撫ですると、ひとまずの了解を見せる。
そして顔を出すのは、貴方への興味で。