2023/11/20 のログ
■レヴィア > 聖なる騎士からの『警告』は当然受け入れよう。
なんせ聖なる騎士であるから、吸血鬼を狩るのに特化している者達と比べても同程度に危険度は当然高いか、下手をすればそれ以上であろう、怖い。
それに聖騎士といえば厄介な後ろ盾がいる可能性もあり、貴族としての身分があって人間の世界に混ざりこんで生活する吸血鬼としては痛い腹を探られて、地位を汚されても面白くない、いや、この聖騎士様は大変面白いが。
自由奔放、我儘放題、可愛いは無敵、な吸血鬼も隠れたわわを諦めざるをえない、なので、女性のたおやかな手首をつかみはするが、その両腕を広げることもせず指先だけで胸元に悪戯するのも我慢して、――ただルビー色の瞳を潤んだ黄色い瞳に近づけるだけ、バラの香気とワインの酒気が香る唇を寄せるだけで、止めた。
「じゃあ職務終わったらお迎えにいっていいかしら。
必要あれば花束のひとつをもっていくけども。
あっ!欲望はささやくほうがお好みかしら?」
吐息絡み合う距離で、すり、とお尻を動かして距離を詰めるだけで止めて、言葉を紡ぎ、駄々洩れの欲望のおかわりの言葉を加えて、視線を重ねたまま、かくりと小首をかしげる。
紅色の髪も一房だけある桃色の髪もふわりと揺れて、微かなバラの香気を髪よりも香らせながら、問う、じゃあ仕事の後ならよくない?と。
「止まったし?止まったので、実力行使は望まないし?
それに仲よくなればOKなのでしょう?ねぇ仲良くなりましょ?名前、聞かせてくれるかしら?」
三度目の矢継ぎ早である。
好奇心が十分に刺激された吸血鬼は聖騎士に興味がでた。
その包み隠れた胸部装甲にも興味はあるが、女性自身も大変好奇心をそそられる。
だから、吸血鬼は言葉に従う。
聖騎士という天敵にも近しい存在への恐怖もあるが、もっと相手のことを知りたいと思ったのも事実、だから従い、相応の対応を望まないと。
弱弱しく揺れる首にはかみつきたくなるが、それも我慢しておくことにして、さわさわ、ギシギシ、ふにゃんを拒む防壁を崩すでもなく、その門は距離を詰めることで開けてもらうことにした。
で、仕事の後にお迎えにいくぞ、という事である。
視線はもう興味の先である胸元にではなく、ぴったりとその明るい黄色い瞳へと合わせて、じーっと、じーーーっと、期待に満ちた瞳で返答をまつ。
あと花束は赤いバラを決めていた。
好きな花だし。
■レイ・L・アイリス >
恐らく、傍から見れば数刻にも満たない時間だったかも知れない。
だが、レイからしてみれば永遠と錯覚するくらいの時間だった。
美しい紅も、愛らしい桃色も、至近距離で此方を覗き込んでくる。
吐く息が交差するほどに近く、少し動けば互いの唇が重なる。
息を呑み、熱い吐息はやや小刻みに早く、心臓は早鐘を打った。
どうか、諦めてと願った一心は、なんとか願いは届いたらしい。
「─────……はぁ~~~~~……。」
比較的女の子が出しちゃいけないくらい大きな溜息が漏れた。
思わず脱力、深く肩を落として天井を仰いだ。一時はどうなるかと思った。
仮にも無辜の民。実力行使にでなくて良かったし、何より諦めてくれて良かったと思う。
もし、このまま際どい空気を続けられていたら、きっと羞恥心でおかしくなっていたからだ。
ふぅ、と息を整えて視線を彼女に戻したが、なんだか相変わらず近いような…。
「……期待に答えられないのは申し訳ないが、そういうのはもっと、こう……特別な相手とすべき駆け引きだと思うぞ。」
とりあえずむす、と唇を尖らせて注意を一つ。
言葉通り貞操概念も倫理観も結構固めだ。
別に、そういう職業ややり方を否定すべきではないが、やるならばそうでありたい。
という、レイ自身の考え方でもある。
「と、とりあえず距離が近いから一旦離れてほしいのだが……何?」
むかえにくる。思わずぽかん、と目を見開いた。
「む、迎えに、とは?いや、職務が終わったら指定した宿屋で休むつもりだったが…さ、囁きとは何を!?」
今一言葉を意味を理解していないらしい。
困惑の表情を浮かべたまま、見つめ返す黄の瞳。
幾ら同性(?)どうしても、何時までも近いとそれはそれで気恥ずかしい。
とは言え、目を離すのも失礼だから見つめ返すしか無いということだ。
桃色に映る黄色は未だに潤んでいた。
「確かに止まってくれたからしないが……い、一旦落ち着いてくれ!?
交友関係は大いに歓迎するが、その、順序が……ま、待て待て!」
此処までのことからお察しの通り押しには結構弱い方。
とは言え、区別の分別ははっきりしている。調子に乗ればそれこそ手痛いしっぺ返しが待っている。
始終相手のペースに乱されながらん、と一息して気持ちを整える。
「私はレイ。レイ・ローライト・アイリス。今は主なき騎士団、黎明騎士団の団長を努めている。」
「貴女は……レヴィア、で良かったかな?とりあえず、宜しく頼む」
何時間ぶりか何時もの調子を取り戻すことが出来た。
口元を緩めて微笑み、自己紹介。
「所でその、この距離感の近さは貴女の趣味なのか?
だ、だとしたらこう、私的には……今はもう少し、距離をとって欲しいのだが……」
■レヴィア > ここは富裕地区にある高級なBAR【灼月の祈り子】。
富裕地区に存在するだけであって、VIPルームでなくとも個室であれば防音も完璧であれば空調もまた過ごしやすい快適な室温に保たれている――そして壁に掛けられたハンドベルを鳴らさなければ給仕が注文を尋ねに来ることもない。
金色の髪を揺らす軍服姿の礼儀正しくお堅い美女。
吸血鬼が気に入らない筈もなく、吐息混ざり合う距離で、薔薇と葡萄の香りを言葉に混ぜて言葉を語る。
表情は穏やかで、でもどこか妖しささえある微笑みを浮かべ、貞操観念も倫理観も固い聖騎士の女性とのひと時を楽しむ、距離を変えず、固いその防壁に穴はないか探り探り言葉を選び、時を過ごす。
「ン、宿に帰る時にお迎えに行って、ワインを御馳走しようって考えてるのだけど、ほら私が花束をもってお迎えに行ったら絵にならない?」
と、冗談とも本気とも、少なくともお迎えの部分は至って本気の言葉を返答をして、真っ赤な舌を伸ばして自分の唇をなめて舌なめずりを見せながら、――もう一つだけ言葉をつなげた。
「それに交友関係は締結でしょレイさん。
交友関係から特別な相手になるのもするのも小説にはよくある展開だわ?」
と、距離に関してはごめんなさい聞こえなかったわ耳が遠くて、と言わんばかりに聞き流してから、白くほっそりとした手で女性の手首を握るのを止め、指の一本一本を名残惜し気に解きながら、そっと女性の手の甲に手のひらを添えて、手を握りたそうにしてみる。
――…夜はまだ始まったばかり。
聖騎士様に時間があるかは不透明だけど。
もし帰ろうとするなら送ろうか、もし帰ってしまうなら宣告通りお迎えに行こうか、吸血鬼は楽しそうに声を弾ませる。
今宵の吸血鬼と聖騎士がどうなったのかは個室の外からは伺えない、よくも悪くも個室にいる二人だけの物語である。
ご案内:「富裕地区:酒場/個室」からレヴィアさんが去りました。
ご案内:「富裕地区:酒場/個室」からレイ・L・アイリスさんが去りました。