2023/11/19 のログ
ご案内:「平民地区 何処かの店舗」にグルエルさんが現れました。
■グルエル > どこかのとある店舗の前。
ガラガラと車輪が立てる音をさせながら王国の徴税官の紋章を掲げた馬車がゆっくりとした速度で向かってくる。
そして店舗の前で馬車は止まり、御者席から従者が下りてドアを開ける。
中から現れたのは王城勤めの徴税官が着る官服を身に纏った背が高く、やせ気味の男。
つかつかと店舗の入り口へと向かえば、従者が先んじて店のドアを開き、男は店内へと入っていきおもむろに懐から丸められた一枚の紙を開く。
「私は王城勤務の徴税官、グルエル・リカーフォートである。
この店は未納の税金があり、その徴税及び税を納めなかったことによる追徴課税金を回収に来た。
大人しく払うなら良し、もし払わぬなら店主の身柄を拘束させて頂く。
これは王城より発行された徴税命令書である」
従者は徴税官を名乗った男の背後に立ち、護衛であるかのように店内へと鋭い眼差しを向けていく。
男が広げた命令書は確かに王城から発行される書式であり、押された印もまた徴税の為に発行される書類に押される正式なもの。
しかし、店主、もしくは店にいる者には未納の税金、と言うのは寝耳に水であるかも知れない。
■グルエル > そんなはずは、そう言い訳をする女店主へと書類を見せる。
正式な書式で作られた書類であることは、店を経営している店主にも分かり、ぐうの音も出なくなってしまう。
そして税金を未納した、ということで付される追徴課税金の余りの高額さにこんな大金は払えない、と言う女店主に男はいやらしい笑みを浮かべ、待ってやる代わりに……と取引を持ちかける。
取引を断るなら、この店の営業許可を取消しになる上に身柄を拘束させて貰う、そういえば女店主はなくなく取引に応じるしかなく。
従者に入り口を閉じさせ誰も入らないように指示をしてから、自分は女店主と店の奥に入っていき、しばらくすれば響くのは女のすすり泣く声、いつしかそれは女の嬌声に変わり、また一人、無実の民が不正の毒牙にかかったのであった…………。
ご案内:「平民地区 何処かの店舗」からグルエルさんが去りました。
ご案内:「富裕地区:酒場/個室」にレヴィアさんが現れました。
ご案内:「富裕地区:酒場/個室」にレイ・L・アイリスさんが現れました。
■レヴィア > ここは富裕地区にある高級なBAR【灼月の祈り子】
知る人ぞ知るBARで看板はわざと読み辛く汚してある。
店構えでいえば平民地区にある高級な酒場の雰囲気であるが、一歩店に踏み込めば、この店が高級なBARである事がわかるだろう。
店員はバーテンダーを含めてすべて亜人で揃えられている。
中にはこの店でしか会えないような希少な種族もいるが、基本的にはミレー族でも見目麗しい者が多く、気に入った者が居れば見受けができるという話。
――…そんな高級BARの個室。
VIPルームではなく1階にあるごく普通の個室に一人でソファーに寝転がっているのは吸血鬼の少女?である。
ここ1週間ほど自分の手でチラシを配り、配った後はこうして面接会場と決めている此処で待機しているのだが、人が着た覚えがない。
『メイド・・・賃金は要相談』
『男装執事・・・賃金は要相談』
『抱き枕・・・上に同じ』
『面接会場は・・・・・・・・。』
完璧である。
賃金をケチるつもりは全くない。
だからチラシに賃金が幾らと書けないので要相談。
交渉なんて考えてない、見目麗しければ採用、即言い値。
だからもっと、わーっと応募者が来ると思っていたのが、全く来る気配がなくて、真黒な床、真黒な壁、天井からは室内を照らす艶やかなライト、窓はないけど絵画が飾られて、テーブルには5本のワインとワイングラスが置いてある個室でソファーに寝転がて、どうせ誰もきやしないとごろごろしているのだ。
なお、5本のうち蓋が開いているのは4本で1本は未開封。
蓋が開いている中で1本が飲みかけで、室内には柔らかなワインの香りと、そのワインの香りの中にはほんのりとバラの香気が混ざっていた。
■レイ・L・アイリス >
「……此処か……」
チラシを片手に見上げるのはとあるBARの手前。
看板は汚れて読めない。灼月……よく読めない。
訝しげに金の両目を細めれば首を傾げた。
黎明騎士団団長、パトロールの最中ではあったが、すれ違った人物の落とし物。
……と、思われるチラシを片手に追いかけて此処まで辿り着いた。
チラシの内容は一応目を通した。
メイド、家事手伝いの募集らしい。
別にそれ自体はどうということではないが、不法投棄でないなら当人に届けるべきだ。
いっそ、何処かに貼っておくのも善意かと思ったが、それで迷惑がかかったら本末転倒だ。
「……なんだか知らないが、妙に緊張するな」
別にメイドになりに来た訳では無いが、妙に緊張する。
……改めてチラシを見るとなんだか、如何わしい事も書いてあるような……。
「だ、抱き枕、とは?まさか、そういうものなのか……?」
所謂"夜のお世話"、というのだろうか。
もわんもわん、と脳内に過る雑念にかぁ…と耳元まで真っ赤な熱がこもる。
はわわ、と思わず湯気が出てしまったところをぶんぶん、と髪を振り回すしてなんとか払った。
ふぅ、落ち着くんだ。と胸に手を当て深呼吸。……よし。
きりっ、と表情を切り替えて戸を開いた。
他の騎士団員ならともかく、こういう場所には馴染みがない。
少し静かな雰囲気だが、なんだか妙な雰囲気だ。
レイは差別はしないが、人が全くいない店というのも妙な雰囲気だ。
そこに現れる純粋な人間にはわずかながらにも視線は集まる。
なるべく目を合わせないように、件の人物の居場所を聞けばそのまま個室の方へと向かった。
こんこん、数回のノックの後に扉を開けた。
「失礼する。ここにこのチラシを落とした者がいると聞いたのだが……」
■レヴィア > 流石に1ヶ月も誰も来ないとなれば吸血鬼であれ気が緩む。
そうで無ければスカートをはいた姿でソファーに寝転がり、威厳の欠片もない姿を人目に晒す筈がない、……筈がない。
普段は『カワイイ』を重要視しており、ソファーで仰向けになったり俯せになったり、飲んだワインを放置したりワイングラスにワイン残したまま放置などしない、……たぶん。
完全にだらけきっている為、扉をノックする音に反応が遅れた。
聞こえていなかったわけではない、この部屋に来る者はいない、隣室と間違えてノックしたか、ノック音は隣室の音で入室を希望する声も隣室のが偶然響いたに違いないという思い込みがあった。
よく考えればここは防音も完ぺきな個室。
慢心、油断、色々と言葉はあるのだが、吸血鬼はそのどちらもであった。
ソファーには仰向けになって寝ている。
ワインよりも鮮やかな紅色の髪はソファーから垂れて黒い床にぎりぎりつくかつかないかの状態で、「んあ?」と間の抜けた見た目相応の声帯に調節した少し高い声色で声をだすと、髪より透き通るような紅色の瞳を細めて、扉のほうを眺めたのちに――慌てて起きた。
「あら、いらっしゃい。
応募者かしら?えぇチラシを配っているのは私(わたくし)で、チラシの内容の通りお屋敷で働いてくれる方を募集しておりますわ?
ささ、どうぞおかけになって?」
取り繕う為にか言葉は矢継ぎ早もいいところ。
キッチリとソファーに座りなおして、ワンピースの裾とか、髪形を手櫛で整えたりとか、ソワソワっとしながら、口元に微笑みを浮かべて、ソファの自分の隣をポンポンと叩いて来客を招く。
ここは個室。
高級そうな黒塗りのテーブルはある。
だけども椅子はテーブルに対して三人掛けのソファーが一つしかなく、座るにしても隣しかない。
吸血鬼はその辺の機微には詳しくない。
初対面を面接者を隣に座らせる事に嫌悪もなく。
どうぞ、どうぞ、と隣をポンポンとたたき続ける。
来客が来た嬉しさのあまり、その来客の口から『落としたも者がいる』とうフレーズは耳の片方から、耳のもう片方へ、そして室内に素通りしていた。
■レイ・L・アイリス >
まず最初に目に入ったのは紅だった。
透き通るような紅の髪に、美しい外見。
見た目には随分と気を使っているのは感じた。
美しい女性…だ、とは思うのだがなんだろう。違和感。
女性としての勘か、或いは虫の知らせなのかなんとも言えない違和感を感じる。
「んん……?」
そのだらしない姿も相まって、思わず目を細めてしまった。
それはそれとして、別にくつろいでるところを邪魔する気はなかったから此方もは、と慌ててしまった。
「す、すまない。貴女のくつろぎを邪魔する気はなかったんだ。
長居をする気はなんだ。ただ、貴女が落としたチラシを……、……」
「(……アレ、話聞いてる……???)」
ちょっと不安になってきたぞ。
もしかして、噂の押し売り募集(※そんなものはない)と言うやつなのだろうか。
それとも実は初めから狙……っていたなら、あんなにくつろがないな、うん。
困惑する一方でなんだか相手は嬉しそうで余計に申し訳無さが際立ってくる。
おろおろとマフラーと金髪を揺らして右往左往。そして……。
「あ、ああ……な、なら、少しだけ……」
────流れに押されてしまった!
表情に困惑を浮かべたまま、促されるままに隣へ……。
「……えっ、いきなり隣か?ふ、普通は対面とかではないのか!?」
ゆるりと腰を下ろす直前、今更ながら思った。
距離感、パーソナルスペース。そういうの気にしないのだろうか。
逆に申し訳なく成りつつもなんだかんだ結局隣に座るレイは、申し訳無さかぎこちなく縮こまっている。
「その……貴女には悪いんだが、私は貴女が落としたチラシを届けにきただけでな……」
とりあえず胸をなでおろし、黄の双眸が視線を合わせる。
改めて、自らが来た状況を改めて説明しようと試みた。
■レヴィア > 吸血鬼の少女?は可愛いの求道者である。
長い年月を過ごしている内に目覚めたモノが『可愛い』である、可愛いに勝るものなし、可愛いに勝る武力なし、可愛ければ始祖の吸血鬼である己も油断さえする、という具合。
マフラが揺れる、金色の……金糸と見紛うばかりの美しい金色の髪を揺らして右往左往する様は見習うべきだろう、これは可愛い、悔しいが可愛い。
ちょっと「コホンッ」と咳ばらいをし、隣に座った面接者の方をお尻を少し斜めにして、身体の向きを変えて向けると、透き通るようなルビー色の瞳でじーっとぎこちなく縮こまってしまった面接者の顔から装いからチラリと見える首筋から、胸元を見て少しだけ残念そうに一度瞳を伏せたのちに、腹部、太ももまで下らせて、最後にまた女性の顔へと戻し、視線を重ねる――身長的に少し見上げる形で。
「だってこの部屋ソファーが一つしか有りませんから。
それに実際に使い心地を確かめるのに、隣に座って頂く方が好都合ですし。
ええ、えぇ解っておりますわ。
チラシを拾っていただいた、拾って思わず応募してしまった、えぇ、えぇ、それ程魅力的ですものね。」
聞いている、理解している、なんと素敵な応募者だろうか?
配ったものではなく、拾ったチラシを見て応募してきてくれるとは、それも丁寧に届けてくれる礼儀もある、これは採用ではないか?内面的には採用ではないか?と思わず微笑みに弾むものを交えて、にこーと人懐っこい笑みを浮かべる。
金色の瞳か対して向けているのはルビー色の瞳。
笑みの中に僅かな好奇心を浮かべて、早速……この日、この時、この面接のために用意したおそろいのグラスを手元に寄せると、そのグラスに飲みかけの瓶にのこったワインをトポポポと注ぎ、そっと指先でグラスの根元を押して、隣に座る女性のほうへと寄せる。
「まずは喉を潤してくださいませ。
それから面接を始めましょう、メイドの応募かしら?
それとも男装してくれるの?あっ抱き枕かしら?」
やはり矢継ぎ早である。
抱き枕であれば、この場でまずは膝枕と考えての隣への着席の促しであり、軍服に包まれた胸元がつつましやかでも、太ももさえ、柔らかければ抱き枕に良きと判断するつもりである。
――…美人、という理由で採用通知をだしたいくらいだし、その凛とした軍服姿は傍に置くにはちょうどほしい人材であった。
■レイ・L・アイリス >
美しいルビーが己を撫でる。
正しく品定め、というべき視線だろうか。
まぁ募集が募集だからある意味当然といえば当然なのだが
受けに来たわけではない自分としてはちょっと不快感は感じざるを得ない。
困ったように眉を顰めていても、そのちょっと残念そうな表情を見逃さなかった。
「人の体を見てそんな顔をするのか貴女は???
違う!ちゃんと戦いやすいように"格納"してるだけだ!」
黙ってればいいのに突っ込んでしまうのが残念な団長。
余り実際の肉体に関しては好きではないのだが、そういう顔はちょっと腹立つ。
トントン、と自らの胸元を叩いてアピール。残念ながら現状は見事なプレートである。
腹部も太ももも女性らしいものであるが、暑い軍服には分かりづらい。
「た、確かに一つしかないのはそうかもしれないが……」
■レイ・L・アイリス > 「……は、ハレンチだーーー!?」
■レイ・L・アイリス >
思わず大声を上げて立ち上がってしまった。
"使い心地"って何!?そりゃもう湯沸かしもびっくりで顔真っ赤。
何を想像したってまぁ、そりゃもう"使い心地"といえばそういう事。
あわわ。金色の目が狼狽でぐるぐるしてる。抱きまくらにごめんなさいすべきかもしれない、団長。
「あ、貴女!?幾ら個室と言えど公然の場だぞ!?
お店の人に迷惑がかかるじゃないか!!この場で何を試す気なのだ!?ダメだぞ!!」
幾らこの王都が腐敗していようと、一個人の倫理観まで腐敗しない。
ビシィッ!と人差し指を暫定少女に指差し声を張り上げる。
未だに抱き枕の心地だって事忘れて、"先"まで考える耳年増だ。
とは言え、腐っても騎士団長。狼狽えはしても、落ち着きも早い。
ワインを進められばんん、と軽く咳払いをする。既に表情は凛、と引き締まり、改めて、自らの軍帽を気合と一緒に被り直した。
「すまない。私は騎士であり、職務中だ。酒は控えている立場なんだ。
……それに、何度も言うようだが、私はチラシを届けに来ただけであって、家事手伝いをしている身ではないのだ」
「流石に騎士とメイドの二足わらじは履けないんだ。何か、期待させてしまったようですまない」
職務のこととなればそこは騎士。職務に市場と怠惰を持ち込んではいけない。
申し訳無さはあるが、はっきり言わねばならない。真面目な表情を崩さず
視線を合わせてきっぱりと言ってのけた。此れで誤解が解けるといいのだが……。
■レヴィア > ハレンチだろうか?膝枕は破廉恥だろうか?
吸血鬼的にはセーフなのだが、吸血鬼的にはガブと首筋を齧る方がよっぽど破廉恥で煽情的に見えると思うのだが、今夜の応募者はそれだけでも破廉恥と感じてしまう繊細な女性なのか、なら余計に(膝枕を)させたくなる、が此処で焦らないのが始祖の吸血鬼、きゅうけつきだけどあくまでも冷静に。
――あっ顔が真っ赤になったが、大事なのはそこではなくて、大事なのは『格納』という魅惑のワードである、着やせ?脱がすとすごい?とルビー色の瞳はキラキラにもギラギラにも輝いてしまうのだった。
でも「コホンッ。」と今宵二度目の咳払い。
まずは落ち着いて相手の言葉をちゃんと聞き、それから判断をして答えよう、格納、格納……それは置いておくとして。
断られたワインをワイングラスをすすっと根元をもう一度だけ押して女性のほうへ。
「あら、勧められたモノを断っていいのは騎士のマナーとしては一度だけ、と意地悪を言わせていただいて、如何かしら?美味しいワインだと思うのだけど。」
3本と半分を空けているので味は保証できる。
あとマナーは遥か昔に聞いた覚えがあるような無いよう、感じなので若しかしたら、細かいことは気にするの止めておいて、微笑を浮かべる唇は少しだけ応募者……ではないらしい、女性に向けて少し妖しさを深めて笑みの形へと。
「………判りました。
あのチラシから良くぞそこまで見通したと褒めましょう。
レヴィア・スルーク・ビネヴィア、感服致しました。
メイドではなく家事手伝いではなく護衛、ないし剣術の教師での応募でしょう、えぇ男装の執事であればその辺りも、もちろん毎日なんて言いません、お時間の空くときにでも愛…面倒を見ていただけたら。」
誤解は解けた。
あのチラシから護衛を募集しているところまで読み取れるとは、思わず自分の薄い胸元に手を添えて、満足げに頷いてみてから、つい、格納されていると豪語された女性の胸元に期待のまなざしを注いでから、チラと女性の瞳も覗きこむ。
「あっ膝枕ってそんなに大声でいうほど破廉恥かしら?」とポソりと思い出したように呟くのも忘れない。
■レイ・L・アイリス >
「……そうかも知れない。が、失礼を承知で言わせて頂くが、此方にも職務がある。」
「ましてや、貴女は我等の主ではない。非礼は詫びるが、まだその酒は頂けないんだ。」
確かにそうなのかも知れないが、それと引き換えに職務怠慢の理由にはならない。
主の頼みでもなければ従う義理はない。とは言え、厚意はである以上は心苦しい。
生真面目である騎士は一度軍帽を取り、胸に合わせて頭を下げた。
上げる頃には再度、気を取り直して軍帽を被り直す。
「そうか。わかってくれ……、……わかってくれてなーい!?」
よかった、と微笑みかけた所をまた目を見開いて声を張り上げることになった。
今度は声のボリュームはちょっと抑えめ(当社比)だ。他のお客様に迷惑になるから。
「待て待て!確かに一定の腕に覚えはあるが、教えるのも教えられるのもしないぞ!?
私は騎士!聖騎士!でぃす!いず!!せ・い・き・し!!もう就職しているのだ!」
解けたと思ったら余計な方向に誤解が向いただけだった。
メイドよりは大分自分向けだとは思うが、それでも本職は蔑ろに出来ない。
マグ・メールには(多分)副業禁止みたいなのはないけど、それでもだ。
ちょっとテンパりすぎて言っている言葉もハチャメチャだが、ふぅ、ふぅ、と切らした息をなんとか整える。
「……だから、な。貴女の下で働くことは出来んんんん!?」
はっきりと聞こえてしまった呟き。なんということだ、抱き枕どころか膝枕だった。
ということは自分は、余計な想像…いや、妄想をしてしまったらしい。
羞恥心が顔を真っ赤に染めていく。思わず視線を泳がせ、肩をぷるぷる。
とにかく、何か濁すような一言を…────。
……と、考えたのだがそれ以上にまだ感じる。ルビーの愛撫。
特に自分の胸に集中している気もする。恐る恐るちらりと、相手を見やるとなんだか期待の色が見える。
「(……そう言えばウッカリ口走ってしまった────!)」
今日のうっかり、n度目。
小さいのより大きいのが好きらしい。
ぶんぶんぶん!と、物凄い勢いで禁止とマフラーが乱れる位首を振った。
「バ、バカ!脱がないぞ!それこそ、初対面で失礼ではないか!?」
ばっ、思わず両手をクロスして庇うように抱いた。
一歩、二歩。後ずさって首を振る。ハレンチはダメ!
■レヴィア > 当然2度目の拒絶は頷く他ない。
これ以上進めるのはマナー違反と同時に個人的に失礼にもあたると、ワイングラスを引っ込めて女性の前から遠ざけた。
わかってくれてない、筈がない。
ちゃんと職務があると言うことでワインは下げた。
もしかして赤ではなく白が好みで、というわけではないか。
職務であれば仕方ないことだと吸血鬼は理解した。
生真面目な真っすぐとした礼は見ていて気持ち良い。
礼儀正しい事は吸血鬼としては大加点であり、ポイントをあげたい。
「せいへき……?」ううん、聖騎士、聖なる騎士、敵?
敵かー……敵か、なら齧るしかない、残念だけど……。
でも礼儀正しいし、着やせするタイプらしいし、嫌いじゃない、逆に好感度高い、人間にしては好きな部類。
「そんなに息切れする姿を見せられると、ワインどうぞ?
一息ついて?ってまた言い出したくなるわ………。
あと大きな声はお店に迷惑よ?防音効いてるけど。」
吸血鬼が原因でありながらも、ヤレヤレ見たいに細い肩を竦めて、首を静かに横に振りながら、これ見よがしにため息をハァーっと吐き出せば、バラの香気とワインの香り混じると息を吐きだしてから、改めて羞恥に真っ赤な女性の顔を見て、生唾をコクリと飲んだ、赤くそまった女性の顔は当然そそるし、美人の朱色に染まった顔を見て興奮しない男……吸血鬼はいない。
「……ンー?私は脱いでとはいってないよ?
ちょーっとぬぎぬぎして、ちょっーっとさわさわして、あわよくば、ギシギシ、ふにゃんってことをしたいだけよ?
大丈夫、噛みつかないから、ね?ね?」
失礼なんて聞こえないーと言わんばかりである。
おいしい肉を前にした肉食獣が如く、両手で両腕で庇うように抱くそれが取れだけ豊かに実っているか、とっても気になるわけで、女性が後ずさった分だけお尻を滑らせてスススと近づき、最後には両手をゆらっと伸ばして、女性の手首をやさしく掴もうと。
「メイドも、男装執事も、護衛も諦めるわ?だからね?
ちょっとだけ、噛まないから、ちょっとだけ、ね?」とさらにジリジリジリと追い詰めよう、着実に確実に、柔らかなたわわが隠れているという聖域を攻め落とすためにだ。
防音された個室。
柔らかな明かりに包まれた黒基調の部屋。
バラの香気、ワインの香り、温かくも涼しくもない空調。
個室を邪魔するものは誰もいない。
■レイ・L・アイリス >
なんでだろう。もう既にどっと疲れた。
ちょっとチラシをおいて帰るだけのつもりが、すっかり相手のペースだ。
いけないいけない。あまりにほっぽり歩いていると、仲間に迷惑をかけてしまう。
なんとか断らないといけないが、とんでもないマイペース少女?だ。
「だから飲まないと言っているだろう!?まったく……貴女は本当に…こう、なんだ。自由なのだな。」
とりあえず一応の言葉を選んで言った。
我が強い、とはこういうことなんだろうか。
確かにこののらりくらりとした浮世離れした雰囲気。
見た目とは裏腹に何処か含みのある余裕。戦士としての勘が、ただものでないと告げている。
はぁ、なんとか落ち着いてきた。まだ顔はほんのり赤いし熱いけど、大丈夫だろう。
「……とにかく、私は職務の最中なんだ。早く戻らないといけな……って、欲望いっぱい漏れてる!?」
再び目を見開いて声を張り上げる羽目になろうとは、より一層ぎゅっと旨を強く抱いた。
「いやいやいやいや!?もうそういうものじゃないか!?
何だったら、私の妄想と同じくらい漏れてるじゃないか!?噛みつくってなんだ!?そういうプレイか!?」
結局のところは妄想通りの事を募集していたのか。
そもそも、現況は彼女(?)なのになんでこんなに余裕なんだ。
逆に色々ムカついてきたが、少なくとも現時点では無辜の民。
無法者であれば拳(ビンタなんて生やしいものではない)で解決するのも吝かではない。
ススス、と距離を詰められるとその分交代しようとするが、手首を掴まれてしまった。
「なっ…!?」
女性らしいやや細い手首だが、戦士である身体は硬くしなやか。
再び耳元まで真っ赤になった表情に、思わず黄の双眸は潤んでいた。
手を振りほどくのは簡単だが、こういうときでも相手を気遣ってしまう。
香るバラの香りが妙に扇状的な空気を醸し出し、思わず息を呑んで硬直してしまうが……。
「ま、待て!本当にそれ以上はダメだからな!?も、申し訳ないが初対面相手に柔肌を見せるほど……そ、その……。」
「ハ、ハレンチな女ではないつもりなのだっ!だから、止まってくれ!
……さもないと、私も"相応"の対応をせざるを得ないから……!」
しかし、彼女は騎士であり一定以上の倫理観と貞操概念を持っている。
美しく蠱惑的な雰囲気には流されかけたが、それはそれ。
特別な関係ならまだしも、ましてや初対面相手には流石に出来ない。
ふるふる、と弱々しく振る首は羞恥と困惑で口もへの字だ。
一見弱々しく断っているが、一応の"警告"ではある。
流石に黙って見せるどころか、さわさわ、ギシギシ、ふにゃんは簡単には出来ない。
踏みとどまれないと言うなら、実を守るために実力行使に望むしか無いのだ。