2024/07/09 のログ
ご案内:「美術品サロン」にプシュケさんが現れました。
プシュケ > よく通っている美術品のサロン。
毎日通っていては意味がないが、月に1回程度、展示品が切り替わった後くらいのタイミングで通っている場所。

今日も展示品が切り替わった連絡をもらったので早速やってきたわけで。

「…………」

静かなサロン内、一つ一つ展示されている美術品を見ている。
そして、その自分の動きを店内の客も見ている。

どうやら、自分の動きで価値を類推するつもりらしい。
そうなってくると、分からないような動きをしてしまいたくなる。
よって、一つの美術品に対して、興味があるものもないものも、同じくらいの時間をかけて楽しむことにした。

自分が長く見ていれば、それが高価値と思いたいのだろうし。

自分自身の目で見て良いと思ったものは、世間一般の価値と違っても良いものなのだ。
そして、そう思う人間が目利きになる。

目利きになれないとおもったのならば、目利きに金を払ってみてもらえばいい。
それすらやらずに儲けようという根性が気に食わなかった。

プシュケ > 自分がそういう動きをすることで、横合いから何とかしようとする連中はあきらめた様子。
しばらく後にはそういう連中はサロンを立ち去って行った。

これでようやく好きなように見ることが出来ると安堵すれば、ざっと一度確認した時に一番気になっていたもの。
プラチナ台にエメラルドとルビーを配したティアラの前へとやってきて、ゆっくり本格的に愉しみ始める。

「……この部分の細工がとっても繊細……ごてごてと沢山宝石を配しているわけでもなく、趣味もいいわね。」

ほ、と小さく吐息が漏れる。
ただ、貴族に高く売るだけならもっとそれっぽいものをつくることはできただろう。

だが、そういう作りを捨てて、とても『趣味が良い』で気になっている。
この辺りは市場価値というよりも、個人的な好みの部類に入る。
こういう個人的な好みこそが、美術工芸品の価値なのだとプシュケは信じて疑わなかった。

プシュケ > その後、そのティアラの美しさ、繊細さ、趣味の良さを存分に堪能して、流石にそろそろ帰らなくてはならない時間になってから、サロンを離れていった。

趣味が良くて、心奪われたのにあえて買わない。
この辺りは、プシュケの不思議な所で矛盾している所。

だが、それはそれで人間らしくでいいじゃないか、そう思っているプシュケは、今日はいい日だ、と思いながら家族のものへと帰っていったのだった。

ご案内:「美術品サロン」からプシュケさんが去りました。