2024/03/02 のログ
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド・訓練場」にエレイさんが現れました。
エレイ > まだ日の高い時間帯。
冒険者ギルド裏手の訓練場へと、男は足を進めていた。
護身術の指導をしてほしい、という依頼を受けてのことで、手の空いていた男が引き受ける流れになったわけなのだが──

「さて、どんなヤツが出てくるかねぇ……」

どこか楽しげなつぶやきが口から漏れる。
男はまだ、その依頼者の顔も名前も、男か女かも知らない状態であった。
伝えられなかったわけではなく、『知らないほうが面白い』と男が敢えて聞かなかったのだ。
どのみち人となりは直接会わねばわからないのだから、自分の目で
見定めたほうが早い──それが男の理屈である。
依頼の内容にもよるが、この男は時にそういう雑なノリで依頼を受けることがしばしばあった。

「即刻Uターンとかいう案件だけは勘弁して欲しいところだが……およ、時すでに先に来ていたようだったな。
感心感心──」

そうして訓練場に足を踏み入れれば、先客の後ろ姿が見えた。おそらくあれが今回の依頼者だろう。
ちゃんと先に来て待っている姿勢に感心しながら、ざしざしとそちらに近寄っていって。

エレイ > 果たして、待ち受けていたのはどんな人物だったのか──
ご案内:「平民地区 冒険者ギルド・訓練場」からエレイさんが去りました。
ご案内:「骨董品店『』3」にケイオスギャラリーさんが現れました。
ご案内:「骨董品店『』3」からケイオスギャラリーさんが去りました。
ご案内:「骨董品店『』」にケイオスギャラリーさんが現れました。
ケイオスギャラリー > 広いと言われれば広いかも。
狭いと言われたら詫びの言葉もない。
平民地区にひっそりと存在する骨董品店。

客は入店した何もかも。
冒険者であれ、貴族であれ、貧民地区の住人であったもだ。
人間でもミレー族でも不死者でも、人型で対話可能であれば誰であれだ。

店内にはそんな客相手に薦める品の数々が展示されている。
通常の半分くらいの大きさの女神像に手のひらサイズのガーゴイル、真っ黒に塗りつぶされた絵画に大鏡、珍しいところではビキニ鎧に両手剣などの武具まである。

その奥には店主が頬杖をついて暇そうにしている。
全身を怪しげな外套で身を包み、露出しているのは煙草を咥えている口元だけ、店内にはそんな店主の咥えている煙草のようなものの香りが広がっていて――ひどく甘ったるい香りがするだろう。

さて、今宵はどんな素材が届くのだろうか。
今宵はどんな美術品が選ばれるのだろうか。
酒の肴か、甘味の代わりか、どんな顔でどんな声で、楽しませてくれるだろうか。

交尾を繰り返しながら己と同じ石像へと変えるガーゴイル。
無数の手を伸ばし獲物をキャンバスの中に引きずり込み淫靡なる絵に変える絵画。

それとも、あれか、これか、それか、どれか。

新たに生まれる美しく卑猥な芸術品に唯一外部に露出している口元を柔らかな笑みの形に歪め、その芸術品の素材となる者が訪れるのを待っている。

平民地区にある骨董品店『』。
窓からはあたたかな光がこぼれている。
その明かりはまるで通りかかる者を誘い招く誘蛾灯が如く。