2024/01/30 のログ
コルチカム > 「首輪とするには……逆では?」

 サークレットの所為で、頭の中が、とてもきれいに整理整頓されているような気もする。
 話を理解し、言葉を返す事が出来るようになっていた。
 そして、自分に掛けられていた魔法自体も、理解はしていた。
 理解していて、抵抗できる程に、頭が良く無かった、と言う所でもあるのだろう。

「でも、良いな、これは。
 今までと違う、戦いを楽しめそうな気もするな。」

 にぃ、とケダモノのように、口角を吊り上げて、歯を見せて笑って見せる。
 今までは、力任せにぶちのめしていた所が、スキルとして、攻撃を行う事も出来るようになる。
 フェイントや、作戦を理解して動くこともできる。

「肉を狩るのも……今までよりも上手くできるようになるし。
 美味いものも、もっと、美味く、喰えそうだ。

 ……なあ?肉、無いの?」

 知識はあって、知力も増えた。
 ただし、修羅の国で生きてきた性根は直らない。
 先程、肉を求めたので、腹もグーと、鳴っている。
 肉食いたいんだけどーと、イェルドを見下ろす。

イェルド > 「……ほほう?」

分かるか?と。受け答えに一定の知識の蓄積を踏まえ、思考したと思わせる反応に思わず笑う。
そうでなくては困る。確か、伝説の何やらとまではいかなくとも、最上級同然の代物であった筈だ。
これで改善されなければどうにもならない。
または、改善されてこの位まで、という逆説も勿論成り立つわけだが。

「オレが思う以上に、いい方向になったようだな。良いぞ。とても良い。
 その額飾りはくれてやる。オレが外せ、という時は外すな」
 
水浴びや風呂の時、寝る時まではとは言わんが、と言い足しながら、知性の増強振りに満足気に頷く。
打撃武器に技なんぞあったものではない、という考え方は正しくない。
考えなしに振れば、当たるものも当たらない。考え、タイミングを計りながら叩く。
能力で支配しながら操るより、個別に命を下してより複雑な行動を実行させるメリットは、何よりも大きい。
支配の証に彫り物を増やすではなく、こうして多少は飾り気を増やすのも所有者として当然なことでもある。

「考えるべき時に考えろ、なんていう手間が省けるなら、それに越したことはねーな。
 ……色気は、いや、いいか。お前はそれで良い。
 
 おーまえ、なぁ……干し肉で良いなら、ほら。酒も飲むか?」
 
服を着るようになれば、とは思わない。着させようとして非常に抵抗したことを思えば、今でも同じだろう。
下手に脱がせるよりも手間がない、というのも一応ありはする。清潔にしていれば問題はない。
ただ、今は食い気がやはり変わらないコトばかりが、問題だろう。
しかたねーな、と少年らしい表情で吹き出すように笑い、指を鳴らす。背中に銀色の氷の結晶の如きゲートが生じ、そこに手を突っ込み、取り出すものは数ある。
布袋に収めた干し肉、葡萄酒が満たされた瓶、そして二つの盃だ。それらを執務机の前のテーブルの上に並べ、手近な椅子に座そう。

コルチカム > 「言語化できなかっただけだ。」

一応ダークエルフであり、精霊魔法の素養は有ったし、魔力を感じる事は出来た。
蛮族過ぎて、それを理解するよりも前に、彼に従わされていただけだ。
判ると、頷いて見せてから、ふぅ、と一つ溜息を。

「ああ、この……輪っかは、気に入った。
 額飾りというのか。」

思考が強化されて初めて考えるのが、戦闘方法と言う戦闘民族。
まあ、これで、更に戦闘の幅が出るのは喜ばしいと思うのが蛮族だ。
で、サークレットの事を知らず、輪っかと言うぐらいには、物を知らぬ。
知力が増しても、知らない者は知らない、と言う事は証明されたか。
外すなと言われても、外す気はない位には、気に入った。

「色気?
 腹が満ちたら、幾らでも相手してやる。

 ああ、酒もくれ。」

彼は、色気でコルチカムを従者としたわけでは無い。
とは言え、男だから溜まる者も有るのだろう、そして、自分の上位にあるモノだ。
一度は、彼に負けているのだから、所有物なのだから。
彼が望むならそれに応えるのは当然のこと。
唯、腹が減ってるから、其処を先に見たしたいだけ。
干し肉を食って、酒を飲んで。
気分が良くなったなら、馬鍬えばいい。

椅子の上に胡坐をかいて、干し肉を一つ。
ガムのようにもぎゅもぎゅ噛んで、瓶から、手酌で酒を入れる。
主の分にも入れる程度には、知恵は増えたらしい。

イェルド > 「……言葉になりそうで、ならなかった。
 いや、そもそも当て嵌まる言葉を知らなかった……いや、考えてもキリがないか。
 前に身の上は確かめたつもりだったが、オレも分からなかったもんな。色々と」
 
逆に向こうの有様こそ、言葉にしようがなかった程――とも言える。
社会性を持つ獣の群れというのは言い過ぎでも、色々と未開が過ぎる。思考探査の魔法を使う方が早かった位だ。
知識を糧にする魔族が見れば、如何に表現して詳らかにするのかどうか、気にはなる。
だが、そこまではしない。そんなモノこそ厳重に縛し、拷問装置として使役するのが自分たちのやり方だ。

――純血の魔、何するものぞ。
不遜極まりない思考は、簒奪者の血筋に稀に生じる異能または異才の存在あってこそ。

「サークレット、だ。お前の入れ墨を隠すと嫌がると、手頃な奴を探すには苦労したんだからな」

強化された知性で考えるのは、戦闘方法というのも如何にもらしい。
夜の性処理以前の重要事項として求めるのは、屈強たる戦闘能力であるのだから、何も問題は無い。
蛮族の女の主は剣士であり、同時に魔導士である。
異才の魔導士が前衛を欲する程の大魔法とは、必殺を期するレベルのものとなりうるとなれば、どれだけ居ても困ることは無い。
そして、現状唯一にして無二の前衛の好みについては、色々試して知った。
性質に沿った道具を探し当てるには骨が折れたが、その甲斐はどうやらあるようだ。そうなれば、祝杯も上げたくなる。

「お前から見てか弱い女が肌を露にしていると、恥ずかしがる機微のコトだ。
 じゃあ食え食え。明日の糧にすら困る位、食っても良いぞ。今はそういう気分だ」
 
性奴隷の一人や二人、他に居ればまた違うだろうが、今はそうではない。
催したら満足するまで交わる。所有物しての扱いでもあるが、それで今まで回ってきた。そしてこれからもそうだろう。
色気と思われるもののたとえを口にしつつ、祝い酒として倉庫に秘蔵されていた葡萄酒を引っ張り出す。
干し肉に飽きれば、厨房に声をかけて、猪の足を一本まるまる焼いたものを出しても良いだろうか?
そう思いつつ、自分の分にも酒を注いでくれるさまに、満足げに頷く。

乾杯まではわかるだろうか? 杯を掲げれば、促すように己が従僕の目を見よう。

コルチカム > 「ん?何のことが判らなかったのか?」

それこそ、ゴブリンなどと同じぐらいに文明の無い、蛮族だ。
思考も何もかも、戦う、狩る、ヤる、喰う、寝る程度。
知識を食べる存在が居れば、水か何かと同じに思えてしまうのかもしれない。

それは兎も角、深謀遠慮の深い主の考えていることは、彼が判りやすく言ってくれなければ、理解できない。

「この輪っかは、サークレットって言うのか。
 部族を追い出されたが、戦士としての誇りは、忘れた積りは無いしな。
 この入れ墨は、戦士としての誇りであり、力、そして護りだ。」

それを隠すのはとんでもないと蛮族はしっかりと首を横にする。
武器防具も、最低限にするぐらいに隠すのは嫌だというのだ。
主が骨を折っただけあって、ちゃんと気に入って装備している。
そのお陰で、今は知力が+20位はされていて、知力25になっているだろう。

「自分より弱い雌が、震える方が良いのか。
 戦士ではない種族の考える事は不思議だな。」

こう、女は斃して、組み敷いて犯すような蛮族一族。
戦闘もせずに、プルプル震えるのがいいのか、と。
雌として魅力的ではないのか?と、腹筋をばッきりアピール。
もしゃりもしゃり、と、干し肉を噛んで。
喉が渇けば、ワインをごくり、と一気に干して。

空になった杯を見た。
主が持ち上げて居るのを、見た。

酒を注ぐのか、と思い、器を見るも、まだ主は飲んでいない。

自分の分に捧げて。真似るように持ち上げた。

イェルド > 「記憶を覗き見ても、結局どうこうと解釈できなければ――分からないのと大差ないだろう?」

文化がないというのも言い過ぎだが、何らかの様式、道理に基づいた習慣位はあるだろう。
因果関係というものだ。観察する限りで整然としたルールを見出した場合、それにはどうして成ったか?という考察が必要になる。
知識喰いの類が居る場合、どうだろう。理解できないもの、分からないものと咀嚼した際の味配は如何様なものだろうか。

「知力のサークレット、という奴だ。かなり希少な道具だから気を付けろ。
 そこは散々知らされたし、よぉく分かってる。よぉくな。
 ……思考を縛っても着替えを嫌がられたら、オレでなくとも嫌でも察する」
 
分かっている、と。その主は大袈裟に両肩を竦めて、大変だったんだぞ、と遠い目をして見せる。
武器は兎も角として、護衛らしくするために服飾や鎧甲冑を見繕おうとしたとき、殆ど意味がなかった。
下手な防具がそもそも意味がないと知ったとしても、家臣やら何やらの苦言が絶えないのには困ったものだった。
現状として、受け入れられたというよりは、漸く慣れたという言い換えの方がもっと正しいだろう。
さて、会話が流暢に成り立つようになったのは良いが、仮にサークレットが損失した場合、代替がないのだけは注意せねばならない。
これ以上のスペック、性能を求めたい場合、冒険者の装いらしく探索のクエストにでも出かけなければならない程に。

「手籠めにし易くて、抵抗されないから、犯し甲斐があり、無惨になるのが楽しい――こんな処か。
 ったく。ざっと挙げてみたが、オレでもよく分からん。雌も強ければ犯すのも愉しいだろうに」
 
食べるものは甘くて、骨がなく、労せず――とも言うのか、それとも違うのだろうか。
美食家を標榜してそうな魔族やら同種が言いそうな言葉をざっと挙げてみて、息を吐く代わりに干し肉を咥える。
お前は魅力的だよ、とばっきり腹筋とその上の膨らみを眺めつつ、クと口の端を捩じってみせる。
だが、その口元がへの字に曲がるのは、乾杯という行為よりも先に酒を一気に干した有様だ。

「……――教えるよりも、躾けるほうがまだ早そうだな」

呆れたとも、分かっていた、とばかりに目を遠い目にして、杯を改めて掲げ、一息に飲み干す。
もう一杯とばかりに手酌に酒を注ぎ、呑み、空になれば注ぐ。向こうにも注ぐ。
食べるか呑んで腹が膨れれば、寝所まで引き込んで一戦、とでもしゃれこんだことだろう――。

ご案内:「魔城ボレリウス」からイェルドさんが去りました。
ご案内:「魔城ボレリウス」からコルチカムさんが去りました。