2024/01/29 のログ
ご案内:「魔城ボレリウス」にイェルドさんが現れました。
ご案内:「魔城ボレリウス」にコルチカムさんが現れました。
イェルド > どんなに放埓とも悪逆であろうとも――、一定の枠組みがあり、ルールがある。
力こそ法。ご尤も。分からず屋は分からせてやればいい。一理ある。
だが、力を以て奪い取ったと地であろうとも、法を定め、律を敷かなければ立ち行かない。
それが祖先が安堵の地を得た際、最初に学び得たことという。
自然の恵みに預かるばかりではない。否、闇の濃さゆえに混沌と化した地を御するために。

――そんなダークエルフの一族が魔大公を名乗り、治める地――ボレリウス。
闇深き森と豊かな水を湛える土地を見下ろす岩山の上に、灰色の尖塔を幾つも持つ城塞が建てられている。
その名も魔城ボレリウス。元々はその名を姓とする魔族が統治し、簒奪した黒き妖精たちが姓ともども奪い得た拠点だ。
一際大きく、高い主塔の中に土地を治める若き主の執務室がある。

「……――っ、あー! 終わった。終わったぞ」

禍々しく仰々しい細工やら調度が並べられた謁見の間とは異なり、執務室自体は実にシンプルだ。
継ぎ目も見えない位に精密に組まれた石壁には幾つもの書棚が並び、剣槍の数々が飾られている。
天井近くの壁に幾つも架けられた灯火に宿る青白いの炎は、人魂めいて熱なく。冷ややかに。
だが、当代の主はまだその若さゆえに、わずらわしさの解放を声高らかに放ちつつ、両手を振り上げて椅子を軋ませる。

「おい、コル! コルは居るか!」

大きな机に紙束を並べ、石板や書を積み上げる姿は人間たちの書類仕事の風景に確かに似る。
ただ、携わる者だけが異なる。
冒険者の如く、ラフな装いをした若き容貌のダークエルフの男が声を張り上げ、廊下か隣室の個室に居よう従僕の名を呼ぶ。

コルチカム > 「ナンダ?ヒトカリイクカ?」

呼ばれた瞬間トビラが蹴りで開けられる。
呼ばれた、だから来た。
何処に居るか、それは大事な事では無いので割愛する。
豪快に入って来たのは射干玉の黒い髪の毛を持ち、全身に紋様を掻き込んだ、ダークエルフの女。
その手には、棍棒、そして、弓を片掛にして身に付けている。
身に纏う服装としてはは、最低限のブラと腰巻程度の毛皮であり、それ以上の服飾は見当たらない。
アマゾネスを連想させる、筋肉の鎧で身を包んだその女は、蛮族らしくなく理知的な光を目に持っている。
一応、主の命令を聞き分ける程度の知恵と思考を持っていることは、間違いはない。

「ソレトモ、カリカ?メシ、カッテクルカ?」

何方にしろ、暴れる方面での思考しかないのか。
そもそも、蛮族と言う時点で、これでも上等なのだと思わせる。
どかり、どかどか、と、素足でカーペットを踏みしめながら、主の目の前までやってきて。
ボインとしている胸を強調するように腕を組み、椅子に座り、書類仕事を終わった主を見下ろした。

イェルド > 「!?」

ああ、そう来るとは思っていた。躾が足りない――という所の話ではない。
一応は同種、似たような経緯の変化を得たのだろう。
発生の経緯は如何様に考えられるだろう。それは重要ではない。
問題なのは、発生からどのように発展したのか、ということである。
先住者と云うべき魔族達の隙を伺い、或いは触発されて狡猾さと知性を磨いたか、そうではないか。大別できるのはそんな処だろうか。

「……扉は手で開けるものと、オレは教えただろうに」

覚えねーなぁ、なんて言葉は言わない。嘆息と共に革張りの豪奢な椅子に深々と座しながら、足を伸ばす。
長靴を履いた足の踵を机の天板に乗っける姿勢もまた、傍から見れば大変行儀が悪い。
先代から引き継いだ家臣、長老めいた歳の老ダークエルフやら魔族達から見れば、嫌がられること疑いない。
だが、気にしない。今ここに居るのは、当代であるこの己と従僕の女のみだから。

「狩りは行っても良いが、まだ十分残ってるだろ。この前オレとデカブツ狩ったろう?
 良いものが手に入ったから、お前にやる。――じっとしていろ

どうせなら繁殖させるかなぁ、と嘯きつつ、己が魔法をたっぷり込めた城の貯蔵庫の一つを思う。
先日狩ったばかりの大猪の肉が、大量に冷凍されている。
闇の森に棲む生き物は多様だが、間引きのようにして適宜狩らなければ、何かと差し障りが出る。手駒にするにしても限度がある。
当主直轄としている“牧場”に放牧している魔物、魔獣、或いは奴隷の食餌の確保も必要になるのだから。
それと同じ位、己が従僕の世話と面倒は重視すべきコトでもある。言葉を放ちつつ、左手を挙げて念を送る。
獣同然の従僕だからか、魔獣使いとしての力が不思議と働く――らしい。そうしながら、机の引き出しを開こう。

コルチカム > 「テヲツカウ、ブキ、モテナイ」

確かに、聞いて、覚えたけれど、それを行う積りは無い。
彼等は、知を磨いた、蛮族は、武を磨いた。
同じ種族でも、色々と違うのは、その為であり、此方は武を磨いた一族。
ただ、知に関しては、それこそ、奥の奥の秘境である世界樹のふもとに居たためか。
本当に低いのだ、命令を理解できないくらいに低い一族。
敵を斃せと言えば、その辺全てを焼け野原にするくらいに、頭が悪いし、武力に振り切っている。
言い換えれば、ヒャッハーたちだ。人生いつでも幸せでもある。
それを考えるなら、話が出来る、命令を聞くというのは、天才児レベル。

「カリナイカ。ナラ、コルチカム、タタカッテル
 ……ニククレルノカ?」

良いもの=肉。
食う寝る戦う、それがコルチカムと言うの蛮族の一日。
戦うというのは、本当に講義的であり、戦闘訓練も、自分を鍛えるトレーニングも、全て戦う、でまとまって居る。
上の者からの下賜に関しても、食べ物と言う感じだ。
ぶっちゃけ、金貨を渡すと、投擲武器として扱う。
だって、蛮族にお金使う習慣無いから、いつも物々交換。

何か貰えると、ぱぁ、と目をキラキラさせて、それに応える様に、ぐぅぅ、とお腹が鳴る。
もう、蛮族の中では、お肉貰える嬉しい、である。

その所為なのだろう。
彼の魔獣を従える能力にしっかりと掛かる。
動くな、と言われれば、其のままに、足を止めて、動きを止めて。
じーっと、主であるダークエルフの少年を見つめ続ける。

イェルド > 「オレが坐す城の中で、わざわざ気にする必要があるか。
 いや、無いわけでもない……か?」
 
城の中に敵が居ない――わけでもないだろう。
世襲が気に食わない者も居れば、捲土重来を期する魔族たちも、若しかしたら居るかもしれない。
居ない――と言い切れないところが、実にこの国らしい。この地位も盤石ではない。
来るなら来い。安定を尊ぶより、不安を楽しくも騒々しいように御し、盛り上げる方がもっと楽しい。
そのために美姫やら器量良しと傍に置くのではなく、荒々しい従僕を従える。

とはいえ……暴力、もとい、武力に振り切れ過ぎている気がしなくもないのが、難点ではある。

思考を縛って肉穴にするだけなら、わざわざ暴力装置同然のものは必要ない。
使いでが色々あるから、という実用と、傾奇たがる逆張りめいた反発心めいた考え上にこそ。

「戦いたいか?そうならあとで付き合ってやる。訓練場でもオレの寝床の中でも。
 肉とは別の、な?――そう、きっといいものだ」

戦いもまた、このダークエルフの好むところである。訓練は一日として欠かしてはならない。
広義にわたる戦いとは人生のようだが、武術も性技も磨くものには違いない。
チカラで縛る以外に大体食べ物を与えておけばいい、というのは、扱い方としては間違いない。
財布の紐は握らせない。そもそも、握らせようもない。寝床以外で握らせるのは骨付き肉と、敵の命運位でいい。
腹減り状態であれば、魔獣統御の能力が余計に強く、しっかりとかかるらしい。
そのうえで取り出したものを手に、動きを止めた蛮族の女の前へと歩もう。

「くれてやるから、じっとしていろ」

取り出し、掌の上に乗せた布張りの箱を開く。
その中身は金細工の額飾り(サークレット)。大粒のサファイアと左右に小粒のダイヤモンドを二つ粒ずつあしらった仕立てのもの。
もちろん、ただのアクセサリーではない。知性の額冠――とも呼ぶべきそれは、身に着けたものの知性を外付け式に大きく増すというもの。
蛮族の思考ロジックを外付けの魔法の道具を付加した場合、どのように変わるのか。文明人に近しくなるのかどうか。

コルチカム > 「ミンナテキ、ナル。」

競争相手も、敵、対戦相手も敵。
何でもかんでも、敵として認識する事が出来る。
主を望まぬものが、暗殺者を仕向ける事もある、それも敵だ。
そう言った物に対する嗅覚が強いから、此処に居ると言う物でもあろう。
戦に対する、戦いに関する事は、まず一番最初に走り出す。

暴力装置としては、満点と言う所か。

「コービカ。コヅクリスルノカ。」

そう言った事に関しても、忌避感はないというか。
産めよ増やせよと言うのも、蛮族の思考だった。
お腹が減ると、減るほど、それこそ、狂戦士と変化する。
それこそ、棍棒で敵を殴り飛ばし、吹き飛ばし、叩き潰す。
頼もしいボディガードと言えるだろう。

「………?シュウチョウカ?」

金細工の額飾り。
そう言った物を被るのは、蛮族の長……酋長のようなものだ。
動くなと言う魔法に従う様に動く事もなく。
頭に髪飾りを嵌められた。

「…………。」

髪飾りを嵌められて、褐色の掌が、その髪飾りに触れる。
確かめるように一度、二度、触れて撫でて。
再度見下ろす射干玉の瞳は、先程よりも理性と知性の光が籠って居るのは、間違いはない。

イェルド > 「そんな時のためのお前だ」

ダークエルフも同じエルフの類として、長寿を誇る代わりに出生数が少ない。
いや、出生数が何だ。社会を成す以上は、どのような出生種族であろうとも、差が出る。違いが出る。
寵姫として捧げられたモノがその実、死角であった――という事例は、既に何度も体験している。
しっかりと辱めた上で凍らせ、送り返すか、氷室に半永久的に飾り続けるかは、気分次第だ。
長く“遊べる”者ならばまだ良いが、刺客ばかりもそのうち飽きる。であれば用途が明確なモノを傍に置く方がいい。

「子作りも長の務め、ってな?」

幾らまぐわっても産まれぬなら、孕むまでまぐわればいいというのもある意味頭が悪い考え方だが、間違いではない。
その分、セックスを娯楽に出来るという発想も、快楽を伴うお陰で成り立ってしまう。
如何にも脆そうな雌を犯して壊すより、見た目に分かる位頑丈な雌を犯す方が、征服感もまた強い。
性処理もできるうえに、力任せな暴力装置にして護身となる雌というのは、諸々お得ではある。ただ一つ、知性の問題を除けば。

「……どっちかと言えば、首輪の代わりかな? どうだ?付け心地は」

向こうの文化はよく知らないが、装身具が権力の証であろうという考え方は恐らくは共通であるらしい。
証足り得るくらいには、この仕立ては豪奢と言えるものだったのだろう。
城に蓄えられた宝物、その目録にあった一つを掘り出し、下賜する。
使わずに死蔵するよりは、然るべきものに下す方が持ち腐れとならない筈だが、目録に記された内容通りの効果は果たして、見込めるか。
ぱちん、と指を鳴らし、統御による束縛を解除する。向こうの顔を金色の双眸でじっと見遣り、その知性の色を確かめよう。