2023/11/19 のログ
ショコラータ > 「そうそ。異界の何の言う前に、私達ですら地の底も海の底も知らないのよ。」

この世界、なんて範囲でさえ。
広いお空の向こうに何があるのか、どころか。
自分達の足元はおろか、潜れば何とかなりそうな海の底すら知らない。
ゴーストに干渉出来ると得意になったところで、魂の行き付く先の先なんて分からない。
大袈裟に言ってもささやかな事よと笑う。

「戸惑うくらいなら返す必要無いって思うのは恩知らず?
 だって戸惑ってんのよ? ストレートにお礼するのに何か疑問の残る価値観って事でしょ?
 それでもとりあえずお礼出来る方が円滑に事を運べはするんでしょうけど、
 貸し借り無しの関係性が一番上手くいくなら、変な遠慮はそれを邪魔するかなって。
 …ま、コルボは面倒見良さそうだもんね。」

相手が人付き合いを引いて考えるタイプの場合でも、コルボはグイっといきたくなったらいくんでしょうねと。
対してこちらは、割と私は私で人は人、他人に興味を持つ事はあってもそれで合わせるとは限らず、
教員としては社会性を不安に思ってくれたりするのかもしれないが、あけすけに。

「――は?」

指ではなく表情か。これまた照れ隠しに 何言ってんの、キモイ、こっち見んな とか言い出しそうになるが、
一瞬 あ? ってジト目になった後は、まあ悪く思われたんでないなら別にいいわ、よくわかんないけど、ともじもじ。
――する間にも屋上である。

「いやそれは… 自意識過剰じゃなくて? ただ教員が女の子連れてるの見てからかいに来たんじゃなくて?」

その女こっちに寄越せを教員に対してやろうとしていると?と、いささか疑問に思ってしまうけど、そこはコルボの経験か。
だとしたらそんな勘違いは一度修正してやらねばと、自分を軽く見られたようにも思い臨戦態勢取りそうになるが、スルーか。

「……ん、うん。確かに高みの見物は悪く無い。」

まあいいやと夜景に注意を戻したが、寄り添うシルエットどもが落ち着かず、自分もその一つになっているのがちょっと嫌だ。
しかし肩を抱く手に『離れろ!』とするのは、それはそれで子どもじみている気がして。
…ちょっと緊張したおすまし顔で、立派なホテル。
――イイところなんじゃない?という感想を持つが、ホテル初めてに加えて世間知らずであるとこの価値を知るのはまた今後だ。
ご家族で、と言ってくれているのは気遣いなんじゃないのか。
色素の違う二人に対して向けられた違和感のある言葉をわざわざ修正するのには『ちょ!』と顔赤くしてクワッと口開く。
何言ってのお兄ちゃん冗談ばっかりふざけんなと、口にしそうになるがとにかく居たたまれない。
目立たずやり過ごそうと方針転換して、俯きながらの移動ではせっかくの内装をあんまり見ていなかった。また帰りにだ。

「――たくさんいる恋人の一人ですって言ってやれば良かったのに。」

ホラもっと見栄張んなさいよと可愛くない事を言ってしまうのは部屋に入ってから。
帰る!とか言い出しかねないムードの無さであるが、覚悟は決めているらしく。
こんな部屋になんで絵画?と、ベッド以外は適当な部屋を想像しており、面食らいながら部屋の中。

「――カバン? んあっ! ああ、着替えとか忘れてた…」

混雑状況を見ればあらかじめ部屋を取ってあったのだと察せられそうなものだけど、
なんとなく流れで雪崩れ込む場所というイメージがあると、アレは誰のカバンかと。
言ってから、誰のカバンであるにせよ、私はあまりにも軽装で来てしまったと思い出す。
着てるもの着て帰ればいいのだけど、そもそも何時間? いや泊るの? と具体的なイメージが無くてオロオロ。

「あ、浴びる。 浴びるけどもちろん。」

いよいよか、とギクシャクしてきた。

コルボ > 「……ラータってこうして話せば知識に自分の見解もあるし落ち着いてるし、
 学院での評価マジで勿体ないな」

 そも学院での評価など些末であろうかと思う。己が知識の及ばぬものへの見解など
 そうそうあるものではないというのは、僧院の名家に生まれたから感覚が薄いのだろうかと。
 あとそういう生まれには希薄と印象がある感情も、表情がこうもころころ変わるのだから。

「いや、やりすぎて妄信とか信奉に近い感じになるのさ。
 俺が何しても守ってくれるとか、そういうの。子供と大人の差が埋まらないうちは、そういうもんなのかなって思う。
 だから価値観も何も、与えられるままに受け止めちまう。

 ……それでも自分の考えはあるし、俺がいない時はしがらみがなくなって普通に動くけどな」

 恩以上に呑み込まれている、面倒見が良いと言われれば、嗚呼、面倒見が良すぎたのかと改めて思って、
 ……痴漢に対しての評価じゃなくないか? と考えるが

 グイっと行きたくなったらと言われればだからお前にもな、と返す。
 だからこそ、レイプされた時に居合わせられなかったのは未だに引きずっているが、最近は表に出すこともなく。

「お前のそういう睨む目、どういう時にするか段々分かって来た」

 もう、睨まれても逆に上機嫌になる有様で、睨んでいると言いながらそういう男は睨まれて笑っているのだから。

「ん? ああ……。隣にいる女の顔覚えておけば、俺がいない時に襲えるだろ?」

 そう言う奴等もいるんだから遠慮なくやっちまえ、と。
 女を軽く見て、その要因が己を軽んじた行為であるのだからと、であれば、
 道理の外にはみ出したのは相手が先だから、相応に痛めつけるのが”作法”であろうと。

 そんなことを話しながら、夜景を眺めてゆったり歩く。
 ここでなら振り払わないで緊張するかなと思ってしまっているのは年甲斐もなくいたずら心が芽生えているから。

 それだけ、楽しいのだと。
 ホテルでのやりとりには今日一番の動揺に愉快そうに笑って。

「……恋人はいねえよ。今のところ作るつもりもないしな。」

 と言う。生徒とも、他の女性とも、あらかじめ話した上での割り切った関係なのだと。
 それでも、依存されていることは自覚しているが。

「んまあ、王都を一望できるしな、それなりに高いってか。
 デートに誘うのに、それこそ抱くって先に言っておいて適当な部屋で、なんて思う程俺はお前を軽んじてないよ」

 絵画を見て動きが止まっている、なぜなのか、という反応に背中から声をかけつつ、
 適当な引出しを開けて。

「服までは、クローゼットに普通のしかないけど、下着類だけでいいならここにあるの好きに使っていいからな。」

 と、上等な絹生地の下着類がご丁寧にサイズごとにも取り揃えられていて。
 ……そう言う行為で想定外の下着の損失などを想定しての用意なのだろう。
 衣類さえ、持ち帰ってもいいのだという。

 相応に、貴女とのデートの為に金をつぎ込んでいることが、アメニティと呼ぶには充実し過ぎた部屋の備品がそれを物語っていて。

「……あんまり硬くなってると、一緒に風呂はいっちまうぞ?
 それとも……、一度初めの区切りつけた方がふんぎりもつくか?」

 と、固まっていれば、背後にゆっくりと回り込みながら、両腕を回してきて抱きすくめて、
 耳元で優しい声で囁いて。
 振り向けば、唇が触れ合いそうな距離で、落ち着いた様子で。

ショコラータ > 「――はぁん、遊び人冥利に尽きるってやつなんじゃないの。」

コルボにのめり込んでしまう女の話となると。
ナンバーワンホストにでもなればいいんじゃないのって、ちょっと冷たい。
とはいえその場合は、それこそ女の方も好きでやっているのだろうし、何も言う事は無いと。
痴漢としか見ていなかったらこうしていないので、特に評価する発言をしても意識はしていなかった。

公開レイプについて思いを口にされたなら、ストーカーにでもなるつもりかと、またややこしい事になるので気持ちだけで十分。

「――分かったつもりになるのは勝手だけど正解と思うんじゃねーわよ。」

照れ隠しのケースもあるが、普通に引くわーという時だってやっぱりジト目のような気がする。
感情によってちょっとずつ表情は違うのかもしれないが自覚なく、分かってる、なんて言われると思い込み禁止と。

――つけて来た男子達には、説明されてようやく合点がいった。
有名な遊び人が連れている女、そりゃそういう評価になるかと、なんとなく理解してしまう。
とはいえ絡まれてホイホイされるなんてちょっと考え難く、ナイでしょうと軽く手を振って。

――そうしてホテルにて。
恋人いないとの言葉には、常套句な感じがして笑ってしまった。

「そういうのいいから! 他の人にも同じ事言って―― …ん?
 …いやごめん、私も含めてだわね、標準語ムズカシイ。」

お前だけだよ、みたいに聞こえてしまったけれど、フロントで恋人の何のと言ったのが冗談で、
作るつもりも無い、との部分が本当の本心だろうと思えば、自意識過剰を恥じながら、そうでしょうねと。

「――お金のかけどころが間違ってる感じがするんだけど… ああいや、でも、うん、そっか。 ありがとね。
 ……んでも、なんかカバンおっきくない? この後どこか行くわけ?」

絵画、正直要らないと思うのだけど嫌いじゃない。
普通にしげしげ眺め、いわゆるラブホでなく普通の宿泊にも利用される場所なのだろうかと思っておいた。
良い部屋取ってくれたのだと聞けば、そこまで気を遣ってくれなくても良かったんだけどともじもじ。

ほほう?と野暮ったくもないであろう、自分のより洗練されてそうな引き出しの中を覗き込めば、
後でと言わずに今から上下でもらっておこう。

「――い!? いいやいやいや入るからっ! 区切りって何キタナイって…!」

意識しちゃってお出かけ前に入浴しているのでさほど汚くもないかもしれないが。
お祭りの中をしばらく歩き回っていれば十分。 シャワー無しはあり得ぬと、優しい声に赤面して ぐいー! 引き離す。

「イヤよ落ち着かない! ま、待ってて…!」

待てと言うのもそれはそれで気恥ずかしいが、逃げるように浴室へ。
魔法の科学でもドワーフ技術とかでも、蛇口を捻ればシャワーとか出ちゃうだろうか。
いずれにせよ念入りな入浴の音を響かせて、やけに遅いが別に焦らしているとかではない。

――で。こんな時はどんな格好で出て行ったら良いのか。
どうせ脱ぐのに元の服を着ておくなんてなんか間抜けな気がしてしまう。
とはいえ、脱ぐからといってすっぽんぽんで出て行くのもどうなのか。
タオルを巻いて行くか? あるいはもうちょっと、備え付けのバスローブくらいが丁度良いだろうか。
下着はどうしようかと考えて、沢山用意してくれているのだから沢山使う?のだろうと、それは着用しておく事にして――

「――お、お待たせ。」

本格的にお待たせしただろう。
最終的にはアメニティの下着上下とバスローブに落ち着いて。
髪を乾かす手段があるならざらりと背に流し、でないなら濡れ髪はタオルの中に。
少しのぼせた風情でお水を頂き、あまり目を合わせようとしないというか合わせられないというか。

コルボ > ちょっと冷たい感じに、少し動揺する。
こちらも割り切ってるかと思ったが、そうでもないのかと。

……過大評価と言うよりは、少女として扱わずに過ぎたのだと今更ながらに思う。
ただ心中を吐露しなかったのは正解であったことは、本人も知らず。

「多分この国で一番お前の表情見てる自信はあるぜ? 今のところはな」

今時点では、という。いずれラータにも恋人が出来る、家族も出来る。
自分は色々な女性にとって止まり木という自覚はある。

カラスは、生涯一羽としかつがいにならないとは、人は知らぬとして。

だから、人に教えぬから、軽薄な男として、けれど今は本心でケラケラと笑う。


嗚呼でも、強姦をカウントしないのであれば、初めての合意を自分がかすめ取るのは罪深いだろうかと思うけれども。

「フロントのは、お前を子ども扱いされたのがなんかムカついたから」

ムズカシイと言われれば対して男は単純な感情の問題だったのだと。
恋人ではないが、連れを幼く見るのは我慢ならないと。それは男子生徒にも対してそう。
自分が誘う相手は、安くないのだと。

「デートに誘うことって中々ないしな。どうせならラータをもてなすだけじゃなくて自分も楽しみたいのもあるよ。
 それに、余裕があれば夜景を眺めるつもりだったけど、余裕もなさそうだ

 鞄? ああ。一応の保険で持ってきてたんだよ。
 使うことがなければいいなら、それはそれで治療用とかな」

 と、鞄については今回のデートと無関係ではないようなことだけほのめかして。
 しかし目の前で下着を物色している。確かに質はいいが、おのれちゃっかりしている。
だがそこがいい。

「しょうがねえな。別に汗臭くても俺は構わねえけどラータは嫌いそうだしな」

 ここにきてあからさまに赤面して動揺して引き離しにかかる。
 周りの目線もなければ、というより、距離を詰めれば余裕もなくなるかと可愛くも思えてきて、
 もう少しいじわるもしたくなるが、浴室へと逃げていけば。

 浴室へ向かえば白いタイルに銀の器具で構成された大きめの間取り。
 それこそ、浴室で事に及べるのではないかと思えるほどで、小分けされた避妊具が隅の棚にも置かれていて。
 器具を触っていれば、魔導機械か魔術具によるものか、温かなお湯を浴びて身を清めることも出来るだろう。

 それから時間をかけて思案した末にバスローブをまとって出てくれば、

「さっぱりしたか?」

とだけ問うてきて、待たせたことに気にするそぶりも見せず、軽く手招きして。

「俺も浴びてくるから。その前にこれ。露店でのプレゼントは予定の外だったけど、
 お前からのプレゼントっていわれると嬉しかったからな。

 ……今日は来てくれてありがとな。」

 と、フタに妖精の意匠が施された木箱と、側面に森の中に佇む猫が刺繍されたトートバッグを手渡して来る。

 木箱を開ければ、三種類のリボン。緑、桃、黄の銀色の縁取りがされたものが収められているだろう。

―自分が選んだ贈り物。それを既に用意していて、渡したかったのだと。
 それを納めて持ち帰るバッグも添えて。

 ……そのバッグがアメニティを持ち帰る袋になるとも思わなかったが。

「じゃあちょっと待ってな」

 と、不意に頬へ口づけを落として浴室へと消えていく。
 ……この後、本当に事に及ぶのだと考える余韻を持たせるだけの時間を作って。

ご案内:「平民地区・公園【感謝祭にて】」からショコラータさんが去りました。
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