2023/10/14 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 整備担当区画」にルシータ・ヴァルケスさんが現れました。
ルシータ・ヴァルケス >  
 平日の午後
 学園内で学びを行う傍ら 昼餉を過ぎた後は勉学に励む者
 武技に励む者など 共同で行うものからばらけた選択科目に移る者もいる。

 放課後になっても各個で足りないものを埋めていくように教員の傍
 下働きや助手の真似事をする者もいる中、明日野外活動に赴くグループ等
 そういった者らは自身で点検する他、一部に当て過ぎたせいで鈍らとなった部分
 そこを気にして相談に来るなど、精力的な姿は鍛冶師らも適当に行う者はいない。

 その武器が錆びれば己が死ぬのだ

 使う者に対し使わせた者の責任
 それが鍛冶師にはある。
 選んだ相手や作った者ではなく
 限定的なこの場所で、その状態で渡したのだから。


 その中には、小柄な風貌も交じる。
 ドワーフ
 小柄 且つ 筋肉質
 強靭な斧や槌を振るう見た目に合わない力持ち。

 体現するように傍には鉄や槌が備わる中、額のゴーグルをつけたまま
 当人である ルシータ は茶色に染まる紙巻をホルダーにねじ込んで咥え、その先端
 赤くじりじりと燃える中で紫煙を燻らせてはどっかりと丸太椅子に腰を下ろしている。


  「お前(おはん)は武器ん振い方が真っ直ぐすぎる。
   じゃっで一部だけが疲れちょい。

   手加減して折れんごつすっなとはゆわんで、当て方に工夫したり先端とかをもっと使えんのか。
   これならまちっと厚うして鈍らにすっ代わりに限界を伸ばすほうがよかど。」


 ドワーフ訛りのキツイ言い方
 小柄な見た目にそぐわない大人の風格を見せる言葉に、指で差す刃は二か所。
 真面目に頑張っているからこそ出ている愚直な所が出ているのだ。
  

ルシータ・ヴァルケス >  
 剣を扱う青年に対し、それは先生にも言われたことだろう。
 一番衝撃を当てれる場所に旨く当て続けた結果がこれ。

 ルシータは、一番威力を当てるやり方は好ましく思うものの、それは斧や鉈
 打撃武器のように重く剣のように鋭い何かでしか発揮できないだろうと。
 剣を見れば欠けも錆もないものの、緩やかな波が薄く出来上がる場所
 刃先が丸くなってしまっているのを見ながら、指で圧して軽く引く。
 それでも痕しかつかない。


   「骨ごとやらんで肉だけ断てばよかとに。
    骨に当たっまで振うから剣が駄目に(やっせんごつ)なっちょい。」


 使う剣が鋭さにやや傾いている
 切れ味が気持ちよくてスパンといってしまっているから骨でなぞられている。
 かといって、腕はルシータほど力が帯びておらずか。

 咥えっぱなしの中指丈の黒いシガレットホルダーの先
 煙を零しながら灰が落ちるのも構わず、先生にも言われている小言を繰り返すのはそのせい。
 思いっきり振るより旨く斬れ である。

 研ぎ続ければ剣は細くなるから余計に消耗品だろう
 後数度同じことが起こればまた武具を支給品に頼るしかない。
 ルシータは剣の研ぎを始める為、水桶に漬けて置いた砥石を数個出しながらそう呟いた。


   「いっそ山刀 ファルシオンのごたっ形を造っ方が良さそうじゃな。」


 治せなかったらそう造るのも吝かじゃないというものの
 あれは種類としては独特 一般的な片手剣には手配されない。
 ただの学生が贅沢に剣を変えて注文し続けるのは非現実的故に、青年も悪癖を変えるよう努力するだろう。
 そんな学園内の、整備区画の日常の一幕。

  

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 整備担当区画」からルシータ・ヴァルケスさんが去りました。