2024/01/02 のログ
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──九頭竜山脈のとある山の麓付近にある、やや寂れた感のある小規模な温泉宿を、男は訪れていた。
ロケーション的に立ち寄りやすい場所ではあるものの、あまり目立たない隠れ家的な
建物ゆえか客は殆どおらず、人気もあまり感じられない。
食事を済ませ、ひとっ風呂浴びようと露天風呂まで足を向け、脱衣所で服を脱ぎ
タオル一枚を携え、浴場へと足を踏み入れて。
「いつもの旅籠の温泉もいいのだが、たまには違う風呂も楽しんでみるのが大人の醍醐味」
などと得意げに独り言ちながら、目前に現れた露天の岩風呂を眺め回す。
見慣れた旅籠のそれとは違う趣に、表情を緩めて。
「あっちよりは出会いの期待値は低いのがナンだが……まああそこら辺はしょうがな──て、おや?」
その視界に、先に湯船に入っている人影を捉え、男は意外そうに目を丸めた。
てっきり先客は居ないものだと思っていたので驚きだ。
そう思いつつ、タオルを腰に巻くと湯船にゆるりと歩み寄って行き。
「……やあやあドーモッ。湯加減いかがですかな?」
と、緩い笑みを浮かべながら、片手を上げつつ気安く声をかけてみた。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
■メアリ > 傭兵として護衛の任務をこなした後、適当な宿をと探してたどり着いたのが此処。
食事の前に仕事でかいた汗を流そうと、露天風呂に足を運んだのは貴方が訪れるよりも数刻前の事か―――
男が入れる露天風呂に女が1人で浸かっていたのは、混浴もしくは女が入る風呂を間違えてしまったかのどちらかだろう。
背後から明るい声が聞こえ、端麗な顔を上げながら女は振り返る。
「……どうも?湯加減は、えぇ、そうですね。悪くはないかと」
青空をくり抜いたかのような青色の瞳は、湯けむり越しに男の姿を捉えても動揺の欠片すら見せず、艶やかでぽってりとした唇でゆっくりと言葉を紡ぐ
湯けむりのみ纏う女は一般的な女性と比較しても明らかに逞しい体付きをしており、その身体にはいくつもの古い傷痕が刻まれているだろう。ひと目で冒険者かその類だと認識することは容易いはず。
■エレイ > 湯船に近づけば、湯煙の向こうに見えてきたのは女性の後ろ姿。
表情を緩めながら掛けた声に、振り向いた相手が動揺するでもなく平然と返事を寄越してくれば、
男としては意外だったようでおろ、なんて軽く瞬き。しかしそれも少しのことで、すぐに碧眼を細めて笑顔に戻り。
「そいつは重畳。では俺もご相伴に預からせてもらうます」
楽しげに言いながら、掛け湯をさっと済ませて自分も湯船に足を踏み入れ、
当然のように女性のそばまでやってくると、湯に身を沈め。
「──ふぃー……うむ、たしかに見事な湯加減だと感心するが、どこもおかしくはないな。
ところでキミは……思うに冒険者とか傭兵とかですかな? 随分鍛えているようだが……」
無遠慮にその筋肉質な身体を眺めてから、改めて顔をみやってそんな質問を投げかけて。
■メアリ > 「えぇ、どうぞ」
返事を一言返し、女は再び先まで見ていた方向へと視線を戻した。
当然のように傍にやってくる男を気にする様子もなく、男の方を見るのは声をかけられてからで…
「…そうですね。普段は雇われ用心棒のようなものです。
……珍しいでしょうか?」
身体に向けられた無遠慮な視線を思い出し、小さく首を傾げながら問い掛ける。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からメアリさんが去りました。
■エレイ > 男の言葉にも、傍に近づくことにも動じた風もない様子の彼女に、
肝が据わってんなあ、なんて内心で感心しつつ。
「なるほどなという顔になる。いや女の子でもそーやって戦士タイプとして身を立ててるコは
俺も何人か知ってるので珍しい、というほどではないですかな。
キミのボディは実戦もしっかりこなしているっぽい見事な身体だったので思わず3回連続で見つめてしまったが」
首を傾げての問には眉下げて笑って手をひらひらと振り、視線の意味を明かすような言葉を楽しげに返し。
「おっとと自己紹介を忘れていた感。俺は旅人で冒険者のエレイというのだが呼ぶときは気軽にさん付けで良い。
いわゆる同業ってヤツなのでヨロシクだべ」
それからはたと思い出したように、何故かドヤ顔をしながら自己紹介。
そしてそっちは? と名乗りを促すように笑みのまま目を向けて視線を合わせ。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
■メアリ > 日々欠かさず手入れを怠らない肉体を褒められ、女は微かに笑みを浮かべて感情を顔に滲ませる
「ありがとうございます」
ドヤ顔で語られた自己紹介に最後まで耳を傾ける。気軽に呼んでくれと言ってくれる男の厚意に甘え、そのように呼ばせてもらおうと、その意図を含んで頷いた。
「エレイさん、よろしくお願いします。……あぁ、失礼致しました。私はメアリと申します。」
男の名を聞いてから向こうに促されるまで、名乗ることを忘れていたと気が付き、申し訳なさなそうに眉を八の字にする。
「エレイさんも、今日はこの辺でお仕事を?」
本来使われる通りから外れた人気のないこの宿を使うのだから、そうなのだろうかと思いなんとなく尋ねてみる。
それと同時に軽く曲げていた脚を湯船の中でぐっと伸ばし、太腿の上から内側に沿って刻まれた古い傷を掌でなぞった
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」にメアリさんが現れました。
■メアリ > 他愛もない会話を重ねてから、女は湯船から立ち上がり男に軽く会釈をしてその場から立ち去った。
「何処かでまたお会いできることを願っています―――」
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からメアリさんが去りました。
ご案内:「九頭竜山脈 山中の温泉宿」からエレイさんが去りました。
ご案内:「辺境の村」にサウロさんが現れました。
■サウロ > (小規模な村ではあるが、新年を祝う祭りが夜通し行われた。
一昨日の夕刻から村の広場に集まり火を焚いて、村の女衆が食事を作り男衆が牛と豚を締めたり、広場に会場を設営する。
半日をかけて火炙りにした仔牛の丸焼きや、スープにサラダ、ひいた小麦で作ったパン、
それらを酒と共に掲げて年の瀬から新年に変わる日を祝う。
朝方には子供でも飲めるような温かい甘い汁を振る舞われ、明けた年の昼頃まで祭りは続いたらしい。
長い長い祭りが終わった翌日のこと。
村の一員ではないが、村に滞在する唯一の医療師とも呼べる人物に弟子入りしたサウロも参加させて貰えた。
あまり酒は飲まなかった分酔いつぶれることもなく、祭りの会場の後片付けを手伝っている。
広場の食事の残骸やらそのままになっている木皿やコップ、あちこちに散らばる酒瓶など、
祭りの後は何処もこんな感じなのだなぁと苦笑しながら片付けをし、村の女性たちにも礼を言われた。)
「さて……と」
(あらかた片付け終わったところで一息吐く。
金糸の髪の下、冷たい風で冷えないように汗を拭い、からりとよく晴れた空を見上げた。
広場にある丸太に腰をかけて、白い息を吐く。
少し休憩をしたら、また片付けをして、それから…と予定を考えながら、周囲を見渡す。)
ご案内:「辺境の村」にノーマさんが現れました。
■ノーマ >
ざわり、と村民がざわめいたのが見えたか、聞こえただろうか。
それは、村への新たな来訪者に対する反応。
「やー、こんなとこに村があったんだねー」
そんな村民たちの反応とは裏腹の、のんびりとした声。
ただ、異様なのはその格好があまりに普通だったこと。
そう、普通なのである。
武器も携えず、ただ普通の軽装で。
確かにある、旅の汚れが逆に浮いている。
「あれ、なんか片付け中?
お取り込み中だったのかな?」
諸手を挙げて歓迎するには怪しすぎ。
だからといって疑うにも怪しすぎる女は、ただのんびりとひとりごちながら村の中を歩いていった。
その先には……
■サウロ > (何やら声が聞こえて視線を向ける。
村の外から誰かが来たらしい。年末年始も元気な村の子供がサウロの下へやってきて教えてくれた。
あるいは大人の誰かが、サウロに知らせろと言ったのか。
その人物らしき人影が広場に差し掛かれば、立ち上がってその人物の方へと向かう。
そこには確かに、村人とは異なる雰囲気を持った女性がいた。
軽装に武器らしい武器も見た限りではなく、少しそこらへんに散歩に行って帰ってきた、というような。
けれど村人ではない。そう広くない村人の顔は、昨晩の祭りでサウロも覚えている。
そこに彼女のように若い女性がいれば、忘れないだろう。)
「こんにちは、旅人さんかな? それとも冒険者の方だろうか。
ちょうど一昨日から昨日まで、新年を祝う祭りがあったんだ」
(一先ずは差し障りのない程度に声をかけ、笑みを浮かべながら彼女の様子を観察する。
旅人がくるのも、冒険者がくるのも珍しいことではないが、なんとなく変わった雰囲気を村人たちも感じ取ったのだろうか。
軽く広場を見渡してから、その片付け中だよ、と伝えて。)
■ノーマ >
「……お」
流石になんとなく遠巻きにされていた感じはわかっていた。
そこで声をかけられれば、ちょっと助かったような気持ちにもなる。
……まあ、なんとなくレベルではあるが。
「えーっと。うん、こんにちは、だね。
質問に答えるなら……一応、冒険者って方になるかな。
依頼でもないし、ちょいとばっかり道に迷ったりしたから旅人っていっても間違いじゃないかもだけどさ。」
女は冗談とも真面目ともつかない笑いを浮かべて語る。
少なくとも、邪気はないように見える。
「あー、祭り、だったかー。
なら、一日早く迷いついていれば見れたんだろうなー。」
何処か奇天烈なことを大真面目に口にする女。
どこまで本気なのだろうか。
「……と、そういえば。そちらさんは、この辺の人?
いや、ちょっと違う?」
相手を見れば、ラフな格好である。
ただ、その細身には鍛えられた筋肉が乗っていることもなんとなく察せられた。
はて、村人ってこういう鍛え方をするんだっけ?と心のなかで首を傾げる。
それが思わず言葉にも出ていた
■サウロ > 「道に……新年早々、それは災難だったね。
ふふ、そうだね。少し早くたどり着いていれば、参加できたかもしれない。
と言っても、特別なことはないんだけどね」
(笑いながら言う彼女から悪心や邪気は感じない。
物怖じする様子も、人当たりの良い様子も、多くの人と関わる冒険者や旅人らしさがある。
少なくとも、危険だと感じられるものはない、が、かすかな違和感はある。
人、と呼ぶには、少し異なる。
人の形をした、違う種族。ミレーや魔族、エルフなどの亜人、と思い浮かぶが、悪意がないのであれば、
種族を深く気にするつもりはなく。
至って普通の、人を相手にするように笑みを浮かべて対話をする。)
「ああ…いや、少しばかり滞在させて貰っているんだ。
僕はサウロ。自由騎士だ。君は?」
(拳を胸にあてる自由騎士の敬礼をするとともに、自己紹介を。
彼女の口から零れる疑問にも王都出身だよ、と答えつつ、冒険者である彼女の名も、尋ねようと。)
■ノーマ >
「いやー、トクベツじゃなくてもさ。
一回くらい見ておきたいじゃない? 祭りってやつをさ」
それはどういう意味か。
特別であってもなくても、ここの祭りを一回くらい見ておきたかった、ということか。
そうでなければ……
「ま、ま。間に合わなかったのはしょーがない。
別の機会にすればいいし。
で、そっか。サウロ……サウロね。へー、自由騎士。
自由な騎士、なんてのもあるんだねえ……そっちの方はさっぱりだ。」
確かに、騎士とは縁遠そうな風体、性格ではある。
そちらの方面に明るくない、ということもあるだろう。
「うちは、ノーマ。まあ言った通り、冒険者だよ。
それにしても、そっか。
ここで滞在、ね。うちみたいに迷ったってわけでもなさそーだけど。
休憩中とか?」
迷ってきておいてなんだが、ここは辺境。
これといってナニカ特別なことがありそうでもないのだが。
なにかあるのだろうか、などと考えながらも深い意味もなく聞いてみる。
■サウロ > 「? そう…だね、村人以外では中々体験できることではないから、気持ちはわからないでもないかな」
(王都のように露店や屋台が出たりするわけではないが、酒と食事とで歌い踊り、夜を明かす。
普段は夜更かしをしない村民たちが夜通し祝い明かすのだから、それもそれで贅沢というか、楽しい祭りではあったと頷いて。
互いの自己紹介を終え、ノーマだね、と彼女の名を覚える。
自由騎士について知らないことは別段不思議ではない。
国の騎士というわけではなく、特定の主を持たず、己の正義と騎士道を貫く者達だ。
この腐敗した国だからこそ、まっとうな活動をしている、と言える。
事情を問う彼女を見下ろしながら、腰に手を当てて軽く首を振る。)
「とある人に師事していてね。一人前の認可が下りるまで、世話になっているんだ。
その様子だと、本当に迷っただけみたいだね。
この村にも宿はある。定期的に行商も来るから、その道を使えばまれびと街道に続くはずだ。
良ければ、宿まで案内しよう。」
(村の中にも旅人や行商、冒険者向けの宿が小さいながらある。
村の食事処でもあるので、村長一家が支援しており、そこそこ賑わっているので、
食事や寝床に困ることはないよと説明しながら、村の広場から宿まで案内を買って出る。)
■ノーマ >
騎士といえば、王都でも見かけるが……概ねかっちりしているか、ろくでなしか、の両極端の印象がある。
まあ、ろくでなしということでいうとあまり人のことは言えないかもしれないが。
それでいえば、目の前の相手は……かっちりしている方、であろうか。
別段値踏みをするつもりもないのだが、なんとなく様子をうかがってしまうのは癖のようなものだ。
……少なくとも、それなりに戦える相手のようである。
「へー、師事、ねえ。騎士サマが師事するんだし、ケンゴーとか、ケンセーとかそんな感じのヒト?
やー、やっぱりそういうヒトって辺境に隠れ住んでたりするんだなー。
奥義ー、とか秘技ー、とか?」
どちらかというと物語っぽい妄想じみたことを口にする。
別に、そうだと決まったわけでもないのに……
「あー、行商もくるんだ。まあ、そりゃそうか。
急ぐわけでもないし、行商のヒトと行くのもありかな……」
闇雲に歩き回ってもいいが、地理に明るい訳では無い。
まあ、明るかったら此処に迷い込むわけもないのだが。
それなら、ものの分かる人物といったほうが確実だな、と考える。
「ん、宿? あるなら助かるなあ。
野宿できないわけでもないけど、楽だしねえ。
ちなみに、サウロもそこに泊まってたりするの?
それとも、師事してるトコに住み込みとか?」
案内してもらえるならば、こんな楽なことはない。
なんなら、この微妙な空気の中で歩いても、いいことはなさそうだし。
■サウロ > 「はは。騎士だからこそ、とは思うけれど、そこは人によるか。
剣の師匠もいたけれど、今師事しているのは癒術の師だよ。
この村の医師をしている。奥義や秘技、といういう派手なものではないな」
(伺うような視線を感じながらも、表情は至って真面目な好青年といったものを向ける。
興味を持ったのか、或いは彼女自身がよく喋るタイプの性格なのか。
気になったことは問う、というスタイルは冒険者としても珍しいことではない。
特に聞かれて困る内容でもなく、広場の出口へと向かいながら、語るのはいたって普通。
薬師であり医師であり、村人たちの生命線とも言えるような存在だ。
奥義や秘技を伝授されるわけでもなく、ただ知識や技術を教わっているに過ぎないのだと。)
「僕は宿ではなく、その師のところに寝泊まりしてる。
普段は手伝いの傍ら勉強をしたり、村の手伝いをしたり。たまに王都へお使いにいったりね。
ノーマは王都を拠点にしているのかい?
……あまり武器らしいものは見えないようだけれど、術士なのかな?」
(海を背にした王都マグメールは広い。そこで出会ったことがなくても不思議ではない。
もしくは、王都ではなく別のところか。どちらにしても、土地勘のない状態で陽もくれそうな今から出ていくのは危険だろう。
ふと、気になったことを道すがら、こちらからも質問してみる。
旅装というわけでなく、軽装である彼女は何を武器にしているのかと。
危害を加える存在でないと、それがわかれば、村人たちも安心するだろう。
彼女へ向けられる不安からの視線も和らぐはずだ。)
■ノーマ >
「へー、療術。
そっか。ある程度腕をあげて、相手の攻撃をさばけるなら他の技術を伸ばすっていう考えもあるか。
なるほどなー。」
ふむふむ、と感心したように頷く。
どちらかといえば、脳筋傾向にある自分には思い至らない方向性である。
1つ、覚えておこうか、となんとなく思う。
「知識と、技術、かあ……ま、でもそれがヒトの強みだしなー。
教わっておいて損はないし、普通かも知んないけどいいじゃん。」
知識の継承、というのはほかでもないわけではない。
ただ、ここまで精密に高濃度にできるのは言葉と文字を得ている者たちにしかできない。
それはなかなかに手強い牙と成るのだ。
「あはは、なるほどね。
騎士っていうか、冒険者っぽい感じだね。なるほど、自由騎士ってそういう感じなのね。
王都へお使いっていうのが、とくに……ん。
ああ、うん。王都の辺りが一応、中心かな。」
サウロの日々の生活を聞いて、なるほど、と自由騎士について勝手に解釈を始める。
概ね間違っていない……つもりではある。
それとともに発せられた質問には素直に答える。
「ああ、武器?
えーっと、まあ……この中に、ちょいと、ね?
術はあんまり得意じゃないかな」
だらりと垂れた袖を振って見せる。
ある程度の経験や知識があれば、おそらくは暗器の類、と予想を立てるだろうか。
■サウロ > 「まぁ、今の僕は冒険者のようでもあるか…。
今は流浪の自由騎士として、国内を転々とする身だからね」
(打てば響くように相槌を打つ彼女に頷きながら、納得する様子を見せる姿を横目に補装も疎らな道を進む。
転々とする事情が事情なのでそこは口を噤むが、彼女の解釈も大きく離れているわけでもない。
要するに依頼を請けるところは似ているが、金を契機とするのではなく、義で以て動く集団、というところ。
長い袖の中に、と示されればそちらを見る。
術士ではないとなれば暗器か、あるいは華奢に見えて肉弾戦をするタイプか。
魔力を効率よく身体能力向上に使う者もいる。
重要なのは彼女が何者であろうと、人に害を成す存在ではない、とわかればいいのだ。
もしそういう人物であるなら、残念ながら敵にならざるを得ないのだが、今の所サウロはそうした危機感を彼女には感じていない。
ほどなくすれば周囲よりもひと際大きい赤レンガの建物が見えてくる。
村の中でも目立つので、宿の看板を見ればすぐにそこがどんな建物か理解できるだろう。)
「それならいいんだ。さ、着いたよ、ここだ。
────こんばんは」
(カウンター越しに声をかければ、若い娘が「サウロさん! どうしたんですか?」と出てくる。
「宿を利用したいという冒険者の方だ」とノーマを紹介すれば、娘は素朴な笑顔で「いらっしゃいませ」と迎えるだろう。
少なくとも、村に入る時に向けられた怪しむような視線はないはずだ。)
「次の行商がくるのは、三日後ぐらいだったかな。
ノーマさんも、それまで旅の疲れを癒していって。
何かあれば、子供たちが伝言役を買ってくれるから」
(お菓子でもお駄賃でも、子供たちにとって村を駆けまわるのは日常茶飯事なので、
何かあれば伝言を託すことも出来ることを伝える。
あとのことを任せれば、そこで踵を返して、出口の方へ。)
「それじゃあ、俺はまだ片付けが残ってるから、これで」
(特に他に何もなければ、手を軽く振って来た道を戻るだろう。
彼女のことは、宿屋の娘が部屋まで案内してくれるはずだ。)
■ノーマ >
「ふぅん……騎士っていうのも色々だね。
いやはや、自由っていうのも大変だ。」
サウロの言いようをどう捉えたか。ただ、しみじみとそのようなことを口にする。
おそらくは、色々と言えてない、言っていないことがあるのだろう、というくらいはわかる。
それをわざわざ聞き出そうとするほど、ずれてはいないつもりである。
まあ、ニンゲン、生きていれば色々あるらしいので、そういうものだろう。
自分とて、全部を教えているわけでもないのだ。
今のところは、それで問題もないのだし。
「おっと、どうもどうも。こんばんは」
つらつらと会話をしながらついた宿で、紹介をされればこちらも素直に挨拶を返す。
別にトラブルを起こすつもりもないし、なにより人の紹介だ。
それくらいの礼儀は、知っている。
なんてことのない宿屋だが、それがいい。
「三日後、ね。じゃあそれまでのんびりすごすかなあ。」
どうせ、暇つぶしも兼ねて来たのだからそれくらい問題はない。
それどころか、こういう小さな村の様子をのんびりと見てみるのはむしろ悪くないだろう。
「なにからなにまで、ありがとう。
騎士サマだけあって親切だなあ、サウロ。
ああ、それじゃあ……」
行きずりの自分に、それなりに親身に世話をしてくれるのはやはりありがたい。
なんてことのない行為なのかもしれないが……それはそれ。
「大したことはできないかもだけど、なんかあったら声かけてよ。
今日でも明日でも、この先でも。
ま、お礼代わりってことで。別にちょっとした仕事でもいいけどさ。」
借りっていうことで、と女は笑う。
たとえ、それがこの村を離れ、どこかで再会したときであろうと、別にいいよ、と。
いつでもどこでも何度でも。
それはもはや借りと言えるのかは分からないが、そんな大雑把な約束をする。
そして、返事があればそのまま宿の中へと案内されていくだろう。
ご案内:「辺境の村」からサウロさんが去りました。
ご案内:「辺境の村」からノーマさんが去りました。