2023/11/23 のログ
ご案内:「孤児院」にリセルシアさんが現れました。
リセルシア > 王都の外れ――貧民地区の一画に佇む小さな孤児院
屋根が落ちかけたそのボロボロの建物を見れば、その運営状況は推して知れるだろう。
そんなボロ小屋であっても、ないよりはマシとばかりに幾人かの子どもたちが身を寄せ合っていた。
日々の食事は、時折行われる炊き出しに頼るばかりで。
そんな孤児院に、見習い治癒師の少女が通うようになったのは、ほんの偶然で。

「こんにちは、みんな良い子にしてた?」

市場で買い求めた食材を手にした少女が顔を出せば、幼い子どもたちがわぁっと駆け寄ってくる。
さすがに年長組の子たちは、そんなことはしないけれど、表情を見れば疎まれているとことはなさそうで。
もみくちゃにされつつも、そこは手慣れた様子で幼子たちをあしらう姿は、この孤児院の保護者かと見紛うばかりで。

ご案内:「孤児院」からリセルシアさんが去りました。
ご案内:「トゥルネソル家」にリーナさんが現れました。
ご案内:「トゥルネソル家」に影時さんが現れました。
リーナ > 影時の判断は、考え方は間違っていない。基本的に、ドラゴンと言うのは己の実力で、叩き潰すものと思われている。
 それは間違いだ。魔力を持ち魔法を扱うが、人間など矮小なのだから、其処迄せずに、物理(それで)十分と思って居るだけである。
 苦手とかそれ以前に、弱い者相手に、全力を出すのか?が、殆どだと思われる。

「そう言う訳では~……ないとぉ、思われますぅ。
 ドラゴンを魔法とかぁ……小技とかぁ、使わなくてもぉ、人はぁ、殺せますしぃ?」

 だから、多分こうではないだろうか、と、言う見解を言葉にする。
 リーナは、人竜であり、人の姿をした竜だから、魔法とかを使ってでも戦うのだけど、それは、純粋な竜と比べて弱いから、なのだ。
 そして、そんなリーナでさえ、人の頭を掴んでクシャぁ、とできる程度の筋力は有るのだから、そういう事なのだろう。
 ちゃん様……は、礼儀正しい、フィリお姉様とか、リーナだからなのである、他は、ちゃんで終わるので安心してほしい。

「ふふ、スクナマル様ぁ♡ヒテンマル様ぁ♡」

 もっふもふ、なお腹を指先でくしゅくしゅ、となぞる様に撫でてみたり。
 ふっかふかな、尻尾を頬ずりして見せて、とろとろーんと、蕩ける表情、垂れ眼なめが、さらにとろぉん、と。
 ほっぺたも、ほんのりあかぁく染まってみる、可愛らしくてたまらない小動物に、すりすり頬ずりする女の子の図。
 エサ、と言われても、流石に初めて見る二匹、何も持ってきていないので、それはごめんなさい、だったりする。

「家系~、と言うわけでは無くてぇ、竜の特性と思われますけどぉ。
 でもぉ……そのお言葉はぁ、竜胆叔母様をぉ疑っているように聞こえますよぉ?」

 出来るし、やっているが、見ていて思った。
 竜胆がそのような不手際を良しとするだろうか、そして、それを知った時にはどう考えるか。
 プライドの塊で傲慢の叔母は、激怒、で済むだろうか。
 自分の領域(とくいぶんや)の作業を疑われた、と感じてしまえば。
 それこそ、今この瞬間にこの結界を閉じて、此処に居る全てを永遠に閉じ込めてしまうという事さえもしかねない。
 見ていて今気が付いたという、そう言うリーナもぽやぽやしているからなのだけども。

「ぅぅん~……そう、ですねぇ~。
 特にぃ、破綻もぉ、浸食もぉ……なさそう、ですわぁ?」

 指さされた、箱のある当たり。
 その妖刀と言われる刀があるけれど、それはしっかり封印されているのか。
 特にリーナには脅威も周囲の歪みも把握は出来なかった、正しく結界に囚われている。
 其処から少し、視線をずらして。

 スクナマルとヒテンマルの巣箱の近くに、金の瞳を移動する。
 不思議なもの、と言うよりも、疑問が強く、目を細めて。

影時 > 「――成ぁる程。一理あるか。
 小技やら何やらなくとも、遣ろうとさえ思えば思い思いの手段で為しちまえンだろう。
 人に比べて、ドラゴンと云うのはその幅が広いように思える」
 
もっとも、これは一部の人間は例外――であるという現実は考えないものとする。
本気の有無は抜きとして、傾向と地力が許す範囲でとはいえ、可能性の幅が広いと。そう考える。
筋力でくしゃぁが一番手っ取り早い舐めプであったり、念入りにやってしまいたいなら、魔法という手立てもあるだろう。
敬虔も力量も足りていないただの人間では、成し得ようもないように見えるからこそ、脅威/驚異たりうる。
純粋な竜でなくとも、それでも特筆すべき実例を何度も見てきたからこそ、思うものは多い。

「――ちやほやされてェとは言わンが、お前らは、ったく……」

さて、飼い主たる男の手のひらサイズの小動物は、この季節となれば文字通り生きたぬいぐるみめいた心地になる。
ふかふか毛並みは偶に就寝中の飼い主の顔に乗っかり、強制的に愛でろとばかりに窒息させにかかりにくるが、日ごろの手入れが行き届いてる。
故にやわらかーく、ちょっと身じろぐだけで、毛先さえも震えて触れる手指や頬を擽り返す。
男の肩の上に乗った二匹が、名を呼ばれるともっと遣り易いように頬ずりする相手が立つ方に寄ってゆく。
黒い眼をくりくりさせたり、きゅっと瞑ったり見せたりする中、尻尾は程々にしてほしいのか。困ったように耳をぱたつかせる。
餌はあとで飼い主がそっと渡すだろう。気づけばヒマワリやカボチャの種を持ち歩いたり、羽織に彼らが拾い集めたどんぐりが溜まっていくのだ。

「そういうモンかね? その点を論じるにゃ、俺にとっての竜の知己はこの家しかなくてなぁ。
 世話になっている以上、疑いはせンよ。実際諸々助かってる。
 だが、俺も……いや、ラファルもフィリもか。
 結果と記録に基づいているとはいえ、分からねぇトコもあるものを持っているし、纏っている。念には念を入れておきてェのさ」
 
実際、この家の(もの)に世話になっている。俸給も含め、大変有り難いことだ。
が、他の竜種の知己、知り合いは?と呼ばれると、居ないと答えざるを得ない。
個体で大きな差があるのなら、群れの違いを考慮するとまた変わるのではないだろうか?という疑問は当然のように生じる。
そして自分たちが所有し、扱っている武具の材質もまた然り。
発見場所より持ち帰った記録は何度も通読したけれども、~~ではないか、という不確定要素が解決していない。
そんな代物を出し入れする倉庫も出来れば、一手加えておきたい。妖刀モドキの短刀と、男が身に纏う鎧と手甲もいずれも同じ素材だ。

「……ああ、良かった。宿屋に置いてる具足も一緒に置いても大丈夫そうだな……と、どうしたね?」

故に今、短刀を安置する場所に広げられたテーブルクロスは広い。短刀と鎧、そして手甲の置き場とするためだ。
いずれも使い手の氣を吸い、蓄えることで性能を増し、時に開放することで還元することもできる代物だ。
それこそ若しかすれば、長く使えば何らかの魂も宿るかどうか、という可能性もありうる。
男が使う術と、この空間を紡いだ術者の業の噛み合いの悪さの懸念は――少なそうならば、其れで良い。

ホッとしつつ、武具の安置場所としたテーブルの傍に立つ。
何処ぞの酒場やら何やらが廃業したのか、売りに出されていたものを買い取ったものだ。
頑丈であれば武具の置き場にもなるだろうと見立てたが、結果としてはそれで正解だったらしい。
倉庫の床に貴重品やら何やらも直置きしてしまうのも、それはそれで何か気分的によくない。
ぽんぽんとテーブルを叩いてみれば、連れの目線に顔を動かす。巣箱のエリアに置いたものが気になるらしい。

リーナ > 「判りやすくぅ云うならぁ……、其れこそ、影時様がぁ、ゴブリン一匹にぃ、秘奥技をぉ、繰り出すようなぁ、モノですわぁ。」

 叔母であるラファルや、姉である、フィリを師事する彼が、普通の人間だとは思わない。
 だから、引き合いに出してみる、彼であれば、油断なくゴブリンを斃せるだろう、秘奥技を使わずとも、其れこそ、片手間で。
 それと同じような感覚なのだ、と言ってみる、理解していただいている様なので、うんうん、と頷いてこの話題は終わろう。

「はぁぁ……あはぁ♡」

 毛皮のほわわに、彼等の体温はしっとりと。
 手入れのされている毛皮の、彼等の臭いも仄かに、とろとろぉんと、頬ずりし続ける。 
 凄く、幸せなオーラが華のようにふわふわしていました。

「はいぃ、だってぇ……ドラゴンはぁ、宝物をぉ、魔法の道具をぉ含めて集めますよねぇ?
 それは、判らなければぁ、とおもうのですぅ。

 念には念をぉと言うのは、判りますけれどぉ……。」

 流石に、術者の性格などを加味するならば、本人に聞いた方が良い気もするのだ、と。
 それに、竜と言う存在がぽこじゃかいても仕方があるまい。
 トゥルネソルは、特殊も特殊と言って良いし、人の中にいるし増えるし幅広いし。
 とは言え、特殊なのは、リス以下の、人竜だけだ、他は、殆どは祖母の竜種、リヴァイアサンが殆どだ。
 後は、陸に住むために祖母が従えた、ラハブとか、普通のグリーンドラゴンとか、である。
 ただ、その辺りの事情は、影時は知っている事ではない、のだろう。伝えてもないだろうし。

「いいえ~、スクナマル様、ヒテンマル様の巣箱の近くにぃ。」

 良いながら、とてちてとてちて、と近づいて行く。
 巣箱に隠れるように、小さな小さな、お札のような物。
 二つに折りたたんであり、本のようになっているそれ。

「魔導書……だと、思いますぅ。」

 二匹の獣が持つに、丁度いい様な大きさの本が、置いてあった。
 表紙には、スクナマル・ヒテンマルと書き込まれている。
 その隣には、小さな、丸い丸い魔晶石が置いてある。
 リーナは、しげしげと眺めてみれば、矢張り、そう書いてある、一ページに一つ。
 つまるところ、二つの魔法が書き込まれている、魔導書、スクナマルとヒテンマル用と、言う物だろう。
 ご存じですかぁ?と首を傾げて、影時を見やる

影時 > 「あー、そりゃそうだ。……あの類に一々大技を叩き込むなんぞ、無駄が過ぎる」

冒険者がよく遭遇する魔物、その中の最弱の類とみなされがちな名を聞けば、嗚呼、と息を吐く。
それは実にもっともである。武器を使うまでもなく、無手でその首を刎ねられる類である。
だが、それも一体一体を丁寧に相手取る場合でもある。
何を勘違いするのか、群れてしまうと妙な動きやら猛威を振るう厄介者の代名詞でもあるらしい。
立ち回り次第、状況次第で大技を解禁する必要もある。状況判断、ケースバイケースだ。

「なぁ、ヒテン、スクナ。寝てるときに顔に乗っかるならこういう女の子にしとけ、な?」

小動物とはいえ、生き物らしく独特の匂いは少なからずある。ぬいぐるみではないのだから。
それが悪臭の類ではないのは、飼い主が瞑想も兼ねて焚く香や諸々の世話の賜物か。
数刻前は日向ぼっこもしていたからだろうか、干した布団めいた香りもまた、しあわせオーラを引き出すに違いない。

「……ふむ。
 歌劇や絵物語で語られる悪竜とかが、歯向かってきた多くの敵の持ち物を褥にしていた、みてぇな話も見たな。
 
 いや、見てくれて忝い。今度改めて菓子折り抱えて、肝心の術者殿にお伺いを立てるとするかね」

氣と魔力は似る、同質とも異なるとも云える説を見るが、少なくとも魔力については分かるものに聞く方がいい。
タイミングとして竜眼を頼れそうな持ち主が通りかかったお陰で、懇親も兼ねて誘ってみたが、話については尤もである。
トゥルネソル家の竜事情はすべて知り得ていないが、宝物を蓄える性格、傾向というのは竜の在り方としてポピュラーであるらしい。
成る程と頷きつつ、胸の前で腕を組み、思う。近日、否、早めに土産を添えて施術者に確認をした方が良い。
そう考える。否、そうしよう。心配し過ぎかもしれないにしても、わざわざ土地を用意してくれたのだから、軽んじ難い。
ついつい周囲や天井を振り仰いでしまうのは、若しかしたら見られているかもしれない――と思えばこそ。

「……ん? ンンン?
  待て待て。ちょっと待て。流石に俺も覚えがないぞ」
  
それはもしかすると、真実かもしれない。それとも元からあったものに気づいていなかったのかどうか。
武具、貴重品置き場としたテーブルを背に、小動物の避難所や隠れ家となる巣箱を置いた辺りへと己も歩んでゆく。
素朴な木製の巣箱に隠れるように、それはあった。二つ折りの豆本、という類のアイテムであるか。
ちょうど小動物たちに持たせ、拡げさせてみると、可愛さも一層引き立ちそうな雰囲気だが、見た目だけ――ではない。
こんなに小さく、ミニマムなのに何と、魔導書らしい。置かれた魔晶石は習得用か、はたまたリソースか。

尋ねられると、怪訝そうな顔つきから真顔で首を横に振る。
お前らは?と小さな子分たちに呼びかけると、分からないとも知らないともつかない、何か曖昧な仕草で小首を揺らす。
この空間を構築した術者からのサービス、贈り物だろうか?

リーナ > 「はいぃ、そういう事なのですぅ~。」

 感覚的には、本当に近いのだろう、一匹程度は其れこそ雑魚で歯牙に掛けない。
 群れると面倒臭いことになる、それは人もゴブリンも同じなのである、それを口にすることはない。
 引き合いに出しておいて、イコールとして認識できていないのである、リーナは。
 ただ、竜胆に関しては―――さあ、どう反応、するのだろうか。
 屹度、言うのだろうと、思われる。

「―――はふぅ。」

 スクナマルと、ヒテンマルの柔らかな毛皮の暖かさと、もふもふと、良い香りを堪能しきった。
 ほわわわわ、と、とても良い顔で、つやつやした表情で、天を見上げる。
 生きてる可愛いは、とても可愛いのだ。
 ぬいぐるみとは違うのである、と言う奴。

「竜が何を財宝と考えるかはぁ、個々で違うのでしょうけれどぉ。
 宝と感じるものをぉ、集めるのは、習性ですからぁ。」

 絵物語も、真実も、どれも同じことを伝える。
 例えば、リスにとっての宝は、人であり、嫁である。
 竜胆に関して言うなら、魔導書となる。
 それは兎も角、価値のある者を見抜くための目と言うのは、竜には備わって居るのだろう。
 竜胆に菓子折りと言うなら、それが良いですわぁ、とこくこく頷く。
 甘いものの方が良いとも伝えておこう、煎餅とかのしょっぱいのは好みませんわ、と。

「成程ぉ。」

 知らないという主、さて、此処に入る事が出来るのは主と、作成者、主が認めた人だ。
 流石に、影時の使いの二匹がと言うわけではあるまい。
 とことこ、と近づき、豆のような本を手にして、開いてみる。

「ヒテンマル様の方の本はぁ……隠密とぉ、魔法の盾がぁ、書き込まれてますわぁ。

 効果としてはぁ、人の意識の外に、自分を置いてぇいても、いないものと認識されるもの、ですわぁ。
 魔法の盾はぁ、上級レベル、ですわねぇ、アダマンタイトクラスの魔法の盾がぁ、周囲に展開されますぅ。

 スクナマル様の方はぁ、治療とぉ……、魔法の盾、ですわねぇ。

 治療はぁ、怪我とか傷を治す魔法ですわねぇ。中級の魔法なのでぇ、骨折とかも治せそうですわぁ。
 魔法の盾はぁ、ヒテンマル様の徒、同じもの、ですわぁ。

 この魔晶石を~燃料として発動するものぉですわねぇ~」

 使い方は、本のページに、魔晶石を付ければ発動する様だ。
 しかし、名前を書いた本人しか使えそうになさそうでもある。
 読んで、理解して、そう言う物ですわねぇ、と、魔力の溜められている、石と、小さな小さな魔導書を見やる。