2023/11/14 のログ
■アドラー > 地図をテーブルに置き、懐のポケットに手を忍ばせる。
取り出したのは小さな鉱石。漆黒を指先で転がしながら眺め、上に持ってきて、青空に透かす。
「やっとの想いで手に入れたんだ。加工段階で失敗されては困る」
手に魔力を通す。すると鉱石が呼応し、青く、黒い光で輝く。
光に伴い熱を帯び始めていく。表皮が熱に耐え切れなくなる前に魔力の放出を止めると漆黒の鉱石へと戻る。
魔黒石。特定の魔力と親和性のある鉱石だが、産出量が少なく加工も困難。
それが約30㎏。
用途の幅も狭いため、軽視されてきた故、収拾が大変だった。
様々な商人、炭鉱夫、御者と掛け合い、ついに手に入れられたのがその量であった。
「次は優秀な加工屋か」
これで作るのは武器。自身の魔力と親和性のある鉱石で作る武器は完成すれば強力な逸品となるだろうが
問題は冶金、鍛冶技術のある者の捜索。それもかなりの腕前の人物が必要だ。
■アドラー > 「…決めた」
しばらく天を仰いでいるとふと何かを決心したように地図を広げる。
懐にあるペンと小さな鉱石を交換すると平民地区のとある場所に丸を付ける。
場所は、ヴァルケス武器防具店
店主は鉱石の加工、武具の製造に関して、かなりのやり手との噂だ。
様々な噂は聞くが何がどう本物か。まずは見定めさせてもらおう。
「決まったのならばさっそく行動しようか」
コーヒーを飲み干し、ペンと地図を外套の内にしまう。
代金をテーブルに置き、テラス席の手すりを飛び越え、大通りへ。
行き交う人々の合間を縫い、目的地へと向かった――――
ご案内:「平民地区 大通り沿いのカフェ」からアドラーさんが去りました。