2023/09/23 のログ
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」にエレイさんが現れました。
■エレイ > ──温泉旅籠内の、主に宿泊客向けに用意されたサービスの一つが、このマッサージ室である。
その施術室はいくつかの個室に分かれており、客は専用のカウンターで受付を済ませた後、各個室で待機しているスタッフと
一対一でマッサージを受けることになる。
なお、客にどのような施術を行うかは、スタッフの判断にすべて委ねる、というあたりはこの旅籠らしいといった所。
ついでに、各個室内には客に安心感を与え、施術への抵抗感を知らず知らずのうちに薄れさせてゆく効果を持った、
ほのかな香りのアロマが炊かれていたりもする。効果がどれほど出るかはその客次第なのだが。
「──さーて、今日もブブイーンと張り切ってやりますか、ねぇッ……と」
その中の一室に腕をグリングリンと回しながらやってきたのは作務衣姿の金髪の男。
知り合いからの依頼という形で臨時のマッサージ師としてやってきている冒険者、という立場は今も変わらないのだが、
もうすっかりここの一員として馴染んでしまっていた。
そんな自分に時折疑問を持たないでもないが、男自身としてもなんやかんやこの仕事は
気に入っているのでまあいいか、とあまり深く考えないことにしたのだった。
「今日はどんなお客が来るかねぇ……」
ともかく、男は施術台の傍のスツールに腰掛け、腕組みしながら客待ちを始める。
出入り口のカーテンが開かれ客が現れるか、あるいは魔導機械の通信機を通して客室への
出張依頼が来るか。
いずれかの訪れが、今日の男の仕事の開始の合図となるのだろう。
もしかしたら、受付を経ずに紛れ込んで来てしまうような珍客が現れる、なんてこともあるかもしれないが。
■エレイ > やがてカーテンが開き、客が現れれば男は笑顔で迎え入れ──
ご案内:「九頭竜の水浴び場 マッサージ室」からエレイさんが去りました。
ご案内:「トゥルネソル家」にリスさんが現れました。
ご案内:「トゥルネソル家」に影時さんが現れました。
■リス > 富裕地区の一角にある、トゥルネソル商会が持つ豪邸。
リス・トゥルネソルを初めとした、竜の一族が住まうお家は、煉瓦仕立て、三階建ての砦の様な頑強な作りのお家。
ドラゴンたちが本来の姿でごろごろできる位には庭も広く、箱型の家屋は並の砦よりも頑強。
何せ、飛んできたドラゴンが屋根にぶつかったりする事さえ見越した強度になっている家だったりする。
その中、一階部分は、来客の為にで来ているようなもので、リスの執務室や、メイドや執事の待機部屋、食堂お風呂などが集まっている。
今回は、執務室に、リスが座っていて、かり、かり、と書机に筆を走らせている。
今日は来客があるから、客が来たら、家令長に案内するように言づけて。
リスは、本日中に終わらせねばならぬ仕事にとりかかっていた。
静かな書斎に、ペンの音が、響き渡る。
■影時 > 何も知らぬものが見れば、その威容と行き交うモノ/者故に遠巻きにし兼ねない。
それこそ王都内を巡回する騎士団の詰め所とさえ思いそうな佇まいをもつ、砦めいた豪邸。
そんな場所に出入りするものは多い。素知らぬ顔で門を通る男もまた、その一人だ。
予めアポイントメントを取り付けていれば、来訪を告げてメイドが取り継し、家令まで引き継ぐまでは淀みない。
慣れた風情で腰に差した打刀を鞘ごと外して、封印めいた札が多く貼られた長細い匣に収めるまでも、慣れた習慣らしい。
ただ、旧来より少しばかり違うのは、
「……お前らは、ああ、いいや。大人しく後ろに入ってろ」
最近仕立て直したことで、パーカーめいた意匠が加わった羽織のフード。
男が羽織る上着のそれの中で何やらもぞもぞと動くものがある。
茶色い毛並みの尻尾が見え隠れする中、男は持参した薄い風呂敷包みを小脇に抱え直してそう声をかける。
邸内ではお静かに、と言わんばかりの家令の目配せに肩を竦めて応え、案内される先もまた、見慣れた場所と云っても良い。
「――ドーモ、リス殿。予定通りに参上した」
ノックの後、応えのあとに開かれるであろう扉。それが開いたタイミングに合わせ、挨拶の声と共に一礼を行おう。
挨拶は見慣れた間柄でも大事なこと。室内のソファなどに座すのもまた、許可、許しを経てからだ。
■リス > ノックの音、そして、其処から掛けられる声は、家令長の物。
『お嬢様、お客様です。』
と端的な言葉に関しても、今回の来客は彼一人だけ。
かりかり、と筆を走らせていた紙、作業を止めて、入り口の方へ視線を向ける。
それと同時に、静かに扉が開かれて、家令長と来客―――家庭教師の影時が入ってくるのが見えた。
来客に対して、少女も椅子から腰を浮かせる。
確かに、今回呼んだのはリスではあるが、彼の方が年上でもある、だからこそ、敬意と言う物は表すべきだ、と。
「この度はお忙しい中、どうも有難う御座います。
ささ、お疲れでしょうから、お掛けになってくださいまし。
今回は、東方で飲まれている玉露と言う物を取り寄せてありますので。」
にこやかに案内をしながら、同じくソファーの体面へと移動し、彼に着座を促して。
メイドたちに指示をして、玉露と、水まんじゅうを持ってこさせる。
先に失礼しますね、とソファに腰を下ろせば、ソファーはリスの体重をしっかりと受け止める。
ふかふかで、柔らかく包み込むような、クッションのあるソファーだった。
「重ね重ね、お忙しい中、有難う御座います。
そして、このようなタイミングになってしまったことを、謝罪しますわ。」
リスは、平民だからこそ、迂遠な話題は好まない。
必要な事、や契約などは直球で入る事が多い。
今回足を運んでもらったのは、彼との契約更新―――なのだが。
妹のラファルだけだと思っていたが、最近は、娘たちも教えを乞うているらしい。
直ぐに契約をし直したい所だったが、お互いの時間が上手く取れずに、此処迄引っ張ってしまった、と言う状態。
正直リスとしては、額に汗を垂らしつつ、本当にすみません、と頭を下げる事案。
■影時 > このような直接挨拶し、目通りを願う程ではなくとも、定期的には書面として報告書は出しているつもりだ。
今でこそ無頼を気取るのも余り意味がない肩書を得ているが、契約履行の対価に金銭を得る以上、重要なことと言える。
万一例えば大怪我を得てしまう、課外授業で大きな成果を上げた等のイベントが無くとも、月一回程度は必ず。
そうすることで現状の把握、継続的な問題点の対処に関する奏上、等々が出来るというもの。
とは言え、継続的な問題点の解決は――、一朝一夕では果たせない。
こればかりは他者からの強制、矯正ではなく、当の対象者自身が変わるしかない点も含むが故に。
「此れは此れはご丁寧に。
然らば、遠慮なく。そこまで気を遣ってくれなくとも、無碍にするのは流石に心が痛みます故」
では、と。会釈と共にソファの方へと歩み、袴と羽織の裾を払ってはゆっくりと座そう。
この手の調度というのはなかなかない、とはいかなくとも、触れる場所が少ない。
商会の財のチカラを伺わせる一端だ。そして、何の気負いも衒いもなく出される茶と菓子さえも。
腰を降ろせば座面の柔らかさに、ついつい背すら沈めそうになる。其れを我慢しつつ、膝上に置いた荷物を解こう。
「そちらにも都合があれば、それこそやむを得ぬことかと。
とはいえ、現状把握も含めて席を設けていただきたかったのは事実。まずは此方を」
ついついいつもの口調になりかけるが、これもまた仕事、大事な場面でもある。
非常勤講師としての仕事もそうだが、本業たる家庭教師の仕事内容、範囲の変化を踏まえて一度報告等、話を通しておきたかった。
その意思は先方からもあったが、諸々あって機会が折り合わ合わず――今に至る。
滅相もない、と。ゆるりと顔を振り、持参した風呂敷包みの中の封筒をテーブルの上に滑り出させよう。
中身は、現状把握している契約内容の確認を含めた書類。これまでの講義、教授内容。経過観察的な点も含めた纏めと。
弟子にして忍者の免許皆伝を与えた者と、冒険で手に入れた特殊な槌の使い手となったもう一人との。