2023/08/14 のログ
ご案内:「どこかのとある店舗」にグルエルさんが現れました。
グルエル > どこかのとある店舗の前。
ガラガラと車輪が立てる音をさせながら王国の徴税官の紋章を掲げた馬車がゆっくりとした速度で向かってくる。
そして店舗の前で馬車は止まり、御者席から従者が下りてドアを開ける。
中から現れたのは王城勤めの徴税官が着る官服を身に纏った背が高く、やせ気味の男。
つかつかと店舗の入り口へと向かえば、従者が先んじて店のドアを開き、男は店内へと入っていきおもむろに懐から丸められた一枚の紙を開く。

「私は王城勤務の徴税官、グルエル・リカーフォートである。
この店は未納の税金があり、その徴税及び税を納めなかったことによる追徴課税金を回収に来た。
大人しく払うなら良し、もし払わぬなら店主の身柄を拘束させて頂く。
これは王城より発行された徴税命令書である」

従者は徴税官を名乗った男の背後に立ち、護衛であるかのように店内へと鋭い眼差しを向けていく。
男が広げた命令書は確かに王城から発行される書式であり、押された印もまた徴税の為に発行される書類に押される正式なもの。
しかし、店主、もしくは店にいる者には未納の税金、と言うのは寝耳に水であるかも知れない。

グルエル > そんなはずは、そう言い訳をする女店主へと書類を見せる。
正式な書式で作られた書類であることは、店を経営している店主にも分かり、ぐうの音も出なくなってしまう。
そして税金を未納した、ということで付される追徴課税金の余りの高額さにこんな大金は払えない、と言う女店主に男はいやらしい笑みを浮かべ、待ってやる代わりに……と取引を持ちかける。
取引を断るなら、この店の営業許可を取消しになる上に身柄を拘束させて貰う、そういえば女店主はなくなく取引に応じるしかなく。
従者に入り口を閉じさせ誰も入らないように指示をしてから、自分は女店主と店の奥に入っていき、しばらくすれば響くのは女のすすり泣く声、いつしかそれは女の嬌声に変わり、また一人、無実の民が不正の毒牙にかかったのであった…………。

ご案内:「どこかのとある店舗」からグルエルさんが去りました。
ご案内:「平民地区の外れ 名も無き病院」にペッツルートさんが現れました。
ペッツルート > 「明日の授業は薬草学4項目だから……この辺りあれば良いかな?」

(既に病院は終わりの時間も近い。少ない客も幸い大ごとではなく、時間を引き延ばしたリジェネレートを掛けつつ栄養補助や消化促進の薬草を適宜処方して様子を見る形にした。
大体が夏バテばかりなので消化促進をさせる事で物を食べさせ易くしたり、栄養補助の薬草を与えれば快方に向かうだろう。
リジェネレートはこれだけ暑いと運動するのも大変だ。だから効果を弱くして時間を長くしたリジェネレートで体力を少しずつ使わせる事を目的にしていた。)

「他人事ではないんですけどね。」

(その医者は深い溜息を吐く。溜息の原因は悪魔との交換日記であり、眼の下のクマが少しだけ色黒くなった様にも見える。
精神安定と、性欲を抑える薬を少しずつ服用して耐えているが、いずれ限界も来る。
そういう時には、そういう場所で発散するしかないのだが……出来ればそういう物やそういう場所には縁を遠くしたい目的もある。

王立の学院での授業も、目の毒になるので控えめにしたいのだが懐事情からそうもいっていられない。背に腹は代えられないのと、清楚や清廉では腹が膨れない。
短く刈った髪の毛のサイド部分を指先で掻くと少し気は紛れるのか、しきりにカリカリと掻いて明日の準備を進めていた。)

ペッツルート > (手にしているのは軟膏の素材になる傷周りの消毒になるもの。
皮膚回りの炎症に効果がある物。ちょっとした食中毒くらいなら腹の調子を整えてくれる薬草。そして粉末にして肌に刷り込む事で虫が寄って来なくなるもの。
何れも一般的な薬草だったり、安価で手に入る物だが冒険初心者に持たせたい物だった。
一つずつビンに詰めて、乳鉢で粉末にしたものは注意して袋詰めにする。リュックサックよりも小さな黒いベルト付きのバックパックにそれらを纏め、参考書籍となる物を鞄に入れた。自分の身分証は首から下げる形でその鞄の隣に置いておけば忘れる事もないだろう。)

「そろそろ時間かな。」

(見上げた時計は病院が終わる時刻数分前。悪魔と契約してしまった為に背負った業は深い。罪も重いが後悔はしていない。
命の順番に拘った事。自分の知識や技量が足りなかった事が最大の原因だったのだから。目に刻まれた刻印を通じて自分の姿に化ける事が出来る悪魔の映像が流れ込んでくる。
悪趣味な事をしているようだが、止める事も出来ない。止めようとも思わない。無人の待合室を通り、扉の施錠を行い。
今日の会計分のゴルドを金庫に仕舞いながら、今日の客に言われた事を思い出す。)

「王都には入らないという約束は守っている様ですが。大丈夫でしょうかね?」

(傭兵が自分に良く似た姿を外の迷宮で見たという話だった。
もちろん、医者である自分がその時間、そんな場所にいる筈もないのだから他人の空似か、空目をしたのでは、と。笑い話で片付けつつ。他の客人と同じ様に1つだけアドバイスをしたことを思い出す。

『私は王都から出る事は殆どありません。外で遭った私は、きっと私ではないでしょうから油断しないでくださいね。そういうモンスターもいるかもしれませんから。』)

ペッツルート > (明日の学院での臨時講習が終わった後は発散をする必要はあるかもしれない。薬を服用していても限界と言うのはある。
医者として患者に手を出すのも、講師として学生や同じ学院の教師に手を出すのも極力避けたい。
となれば、向かう先は1つ。安くはないが、自分自身の誇りを捨てたくもない。本業がおろそかになるのも問題なのだが、それ以上に悪魔の心配をしている自分が正常なのかどうなのか。
悪魔は人間の敵になる事も多く、害を働く。それでも、それが生きると言う事に直結しているならば断じるのはどうなのか、とも。

少なくとも今時分は苦しんでいる。薬を服用しなければいけないくらいに追い込まれてもいるが、同時に悪魔の力を借りていなければ。
何処かの空の下、英雄未満の冒険者が嬉々として剣を振るい、魔法を放ち。そして迷宮や洞窟、数々の難題に挑戦をする事が出来なかったと考えている。
頷く事も誰かに同意を得ようとも思わない悪魔への価値観。それを肴に弱いリキュールでも含んで寝よう。そう考えた男は、魔導冷蔵庫から細長いビンを1つ取り出して寝室に向かうのだった。)

ご案内:「平民地区の外れ 名も無き病院」からペッツルートさんが去りました。