2023/08/04 のログ
ご案内:「貧民地区 露店通り」に肉檻さんが現れました。
肉檻 > 貧民地区の中でもやや奥まった区画に位置する長い通り。
その入口から少し足を進めれば、形や規模や様々なれど幾多もの露店を目にする事が出来るだろう。

そんな中、密集する露店の群れからは少し離れた場所に佇むのは、襤褸のフードを目深に被った小柄な人影。
老人とも子供ともつかぬその人物が座る敷物の上にもまた、他の露店と同様に様々な商品が値札も無く陳列されていた。
それらは何れも用途も価値も見出せぬがらくたや、真贋も定かでは無い品々ばかり。

しかしその中で一際目を引いたのは、握り拳程度の大きさをした透明な水晶玉。
他の品々とは打って変わってひび割れや汚れひとつ見当たらないそれは、周囲の明かりを受けては妖しげな光沢を放ちながら、
ただ傍らに佇む襤褸を纏った店主と同様、物言わずにその場に佇みながら、足を止める者の訪れを待ち続けていた―――

肉檻 > 周囲に灯る明かりは頼り無く、治安が良いとは決して言い難い貧民街の只中、
外から迷い込んだ冒険者や富裕地区の住人が行方知れずとなったなどの噂も日常茶飯事であろう。
それでも、このような場所でしか手に入れる事の叶わない"掘り出し物"を求めて足を踏み入れる者の姿は後を絶たない。

簡素な敷物の上で鎮座する水晶玉が、その"掘り出し物"の類であるか否かは定かでは無いが、
物言わぬ其れは周囲の幽かな明かりを受けながら、きらりと妖しく煌めきを放っていた。

ご案内:「貧民地区 露店通り」から肉檻さんが去りました。