2023/07/31 のログ
ご案内:「迷路通り」からタン・フィールさんが去りました。
ご案内:「或る怪談話」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > これは例えば茹るような夏場の日の夜に酒場に貴方が足を運んだ時だとする。これは例えば酒を一杯飲んでいる際に見知らぬ誰かと同席になったとする。そして酒を酌み交わしている間に酔いに意識と思考を散漫にしながら懇談に興じ。そして相手が一夜の納涼に怪談話でもと切り出したとする。
貴方は賑やかな酒場内の席についており、その同席している相手が目の前に居て、話を始めていた。
『ところで知っている?』
『このマグメールには…いや、『にも』だけど怪談話が沢山在るの』
『毎日数え切れないぐらいの人が出入りして行くし、悲喜こもごもの人間ドラマが生じて当然』
『そういったものを種子にして、噂話が発芽して花開く事も在るよね』
『これはそんな他愛のない噂話の一つ』
『昔々或る所に、凄くやり手の金貸しが居ました』
『良い金貸しの条件って何だと思う?資金が豊富?利息が安かったり、担保無しで高額を貸し付けてくれる?』
■ドラゴン・ジーン > 『答えは貸した金をきちんと取り返す事。何をしてでも。そうしなくちゃ貸し倒れになっちゃうもんね』
『その金貸しのやり手たる所以は、貸した金を返して貰う手腕でした。それこそどんな方法を使っても』
『脅しや暴力なんて当然。でもそんな事をしても基本は1ゴルドにだってならない』
『だからあらゆるコネクションを駆使して、人間をお金にする方法を採っていた。命を搾り取るみたいに、まるで死神』
『でも本当に死の世界にまで足を踏み込める訳じゃない。だから貸した相手が死んでしまったらそこまで』
『普通はね、さっきコネクションの話をしたでしょ?金貸しには死者と接触出来るような技術を持った仲間が居ました』
『その仲間の力を頼りにして『死んでも働かせてた』訳、死は救済ではないってね』
『……それで或る日に貸し付けをしていた負債者が一人首を括ってしまった。でも今言った通りに死んだぐらいでは許されない』
『金貸しは死者を呼び出して返済を迫った。それで死者はついには観念して、自分の隠された財産がある事を語った』
■ドラゴン・ジーン > 『いや、解る。それなら何で死ぬ前にそれを支払いに使わないんだって思うでしょ?だから疑いを持って金貸しはその隠し場所とやらに足を運んだ、仲間達を連れて』
『でも、結論から言ってしまうとそこには死者の言う通りに財産が埋まってた。それも目も眩むような』
『金貸しはおおいに喜んだ。でも。死者はそこから更に続ける。他にも隠された財宝の場所がある、って』
『…一度は信用した。だから金貸しは足を運んだ。その場所がマグメールから遠く離れた辺境にあるお屋敷だというのに、殆ど警戒せずに』
『そして金貸しは言われるままにその敷地の土を掘り返したの、仲間達にも手伝わせてね。そこから出て来たものは何だと思う?金銀財宝?』
『いいえ、そこから出土してきたものはもっと別のものだった。屍。それも酷く古い、肉が腐り切っているか、あるいは完全に白骨化している』
『恐れ戦く金貸しは気付いた。周囲には悍ましい量の死霊たちが集まっていた。そして陰気に笑いながら彼ら彼女らは言う訳』
『お前は周囲に恨まれ過ぎたね。死者達の中で忌み嫌われ、お前を罠にかけることに決まったんだ』
『今まで取り立てで苦しめられた分、今度はお前がその苦痛をもって返済をするんだよ。勿論…『死んで』からも』
『人気の無い屋敷の敷地内で響き渡る恐怖の絶叫を聞き、それを助ける者達は居なかった…』
■ドラゴン・ジーン > 『その後において、その屋敷では、この時期になると夜に悲痛のうめき声が聞こえて来るの。自らの『墓穴』を掘らされた金貸しの』
『それで此処からが相談なんだけれども。一緒にこれから屋敷に足を運んでみる気はない?噂話では金貸しは膨大な財産を隠し持ったまま死んでしまったんだって』
『だからもしも、その無限の苦痛から金貸しを助ける事が出来るなら、そのお金を得る好機がやって来るかも…?』
相手はそのように会話を括って誘い掛けて来る。今の話の真偽はさておいて、本当に話に出て来た屋敷はあるようだ。酒精の巡っている表情からは相手がどのような意図をもって持ち掛けて来たのかは計り知れない…。
貴方はこの話に乗ってもいいだろう。それが如何なる論理に導かれたのかは貴方の性格や考え次第になるが。そして勿論貴方はこの話を突っ撥ねてもいい。慎重深く振舞い人の集まる場所で生きて行くならば、そのような判断力は決して馬鹿には出来ない。
少しでも油断していれば、話に出て来た金貸しのような憂き目を見ないとも解らないのだから。
ご案内:「或る怪談話」からドラゴン・ジーンさんが去りました。